かまいたち

「数々の人気バラエティーで司会を務めてきたくりぃむしちゅーや有吉弘行さんの番組が終わり、どんな番組が始まるんだろうと思っていましたが、かまいたちの番組だと聞いて驚きました」(テレビ誌編集者)

 今秋、人気コンビ・かまいたちがMCを務める番組が3本開始されることが発表された。

売れる芸人のウラに「大物P」

「日本テレビで始まる2本は深夜帯ですが、テレビ朝日でスタートする『ウラ撮れちゃいました』は木曜夜7時台とゴールデン帯では初のレギュラーMCを務めることに。一気にかまいたちの時代がきたという感じですよね」(同・テレビ誌編集者)

 '17年にコント日本一を決める『キングオブコント』(TBS系)で優勝し一躍、全国区になった2人。

「オーソドックスな漫才から、ボケの山内健司さんの狂気全開のコントなどネタには定評があり、大阪では早くから知られた存在でした。ポスト『はねるのトびら』としてフジテレビで放送された若手育成コント番組『ふくらむスクラム!!』のレギュラーに起用された'09年には東京進出するも、番組が1年で終了。

『キングオブコント』で優勝するまで再び大阪に活動拠点を移し、キャリアを積み重ねてきました。日本テレビ系『ZIP!』の水曜パーソナリティーも務める濱家隆一さんの的確なツッコミも人気です」(お笑いライター)

 テレビ業界では、3年ほど前から“売れるのは時間の問題”と言われていた。 

「『M-1グランプリ』で決勝進出を果たした直後の'18年から、『アメトーーク!』などで知られるテレビ朝日の加地倫三プロデューサーの“かまいたち推し”が始まったんです。業界では加地Pにハマるのがブレイクの近道といわれており、千鳥が売れたのも加地Pのプッシュあってこそとの声も多いです」(放送作家)

 秋からは『千鳥かまいたちアワー』(日本テレビ系)で一緒にMCも務めるが、かまいたちの躍進の裏には千鳥が大きく関係しているようだ。

ノブの「クセがスゴい!!」といった独特なツッコミも、千鳥ブレイクのきっかけ

「いくつかの特番で千鳥をMCの第一候補にしていたもののスケジュールが取れなかったため、かまいたちがMCを務めることに。どの番組も好評だったことから、業界内で彼らの信頼度が一気に高まりましたね。昨年には、かまいたちをMCに想定した番組の企画書が各局で出るようになっていたので、今回の新番組ラッシュも納得です」(制作会社関係者)

かまいたちとチョコプラの売れ方は真逆

 引っ張りだこの理由をテレビ業界関係者に取材したところ、大きく分けて3つあることがわかった。

「売れてからそれほど時間がたっていないので、人気や実力のわりにギャラが安いんです。近年、テレビ局の広告収入が下がっていることから、ギャラの高い大物司会者や人気タレントが次々とリストラされています。

 加えて新型コロナの影響で、さらにスポンサーが減少してしまった。それにより、実力はあるものの旬を過ぎた中堅タレントのリストラも始まりつつあるんです。かまいたちはMCもできる実力がありながら、中堅タレントより安いケースもあります」(テレビ局関係者)

 2つ目はYouTubeのチャンネル登録者数の多さだ。

「テレビ局のスタッフやスポンサーは、視聴率などとにかく数字を気にします。最近はSNSのフォロワー数やYouTubeのチャンネル登録者数、ネットでの“バズり”も起用するポイント。かまいたちはチャンネル登録者数が135万人と芸能界でもトップクラス。

 同じく登録者数138万人を誇り、『悪い顔選手権』など、バズる企画を次々出しているチョコレートプラネットもスケジュールの争奪戦になっています」(前出・制作会社関係者)

 いわゆる“第6・5世代”に括られる同世代の2組。しかしエンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは“売れ方は真逆に近い”と指摘する。

松尾(右)はIKKO、長田は和泉元彌のものまねで注目を集めたチョコレートプラネット

「かまいたちは早い時期から吉本興業が正統派コンビとしてプッシュしていました。一方、チョコレートプラネットは『キングオブコント』の決勝に進むなどその実力は評価されながらも、IKKOさんのものまねで世に出た一発屋タイプ。

 その後も『TT兄弟』や『悪い顔選手権』など、いろんなキャラクターを連発。いわば“力技”で次世代のMC候補まで上り詰めた珍しいパターンでしょう」

 ブレイクを語るうえで重要な3つ目の理由が、“イジられキャラ”へ変貌したことと語るのは、前出の放送作家だ。

「大阪時代は後輩に厳しい“怖い先輩”キャラでした。でも全国放送の番組に出るようになってからはイジられる機会も増え、本人たちもそれをすんなり受け入れたことで使いやすくなったと評判です」

大阪芸人の強み

前出の大塚さんは、彼らの変化は2度あったと語る。

「1度目は『ふくらむスクラム!!』に出演するタイミングで、コンビ名を漢字表記の『鎌鼬』から、現在のひらがな表記に変えたことでコンビ名を覚えてもらいやすくなりました。

 2度目は'18年にフジテレビ系の『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』で、山内さんが妖怪に扮して仕掛け人として登場するようになったこと。

 すでに実績のあった山内さんにとってはいい仕事とは言いがたかったにもかかわらず、手を抜かずに全力でこなしている姿を見て、東京でちゃんと売れたいという強い意志を感じました」

 地上波3本に加え、ABEMAでも冠番組がスタートするというかまいたち。そんな2人に続きそうな“ポストかまいたち”も続々台頭中だ。

昨年のキングオブコントでは準優勝に輝くなど、今や賞レースの常連となったニューヨーク

「ニューヨークは毒のある芸風のため以前は尖っていましたが、テレビ朝日系の『ロンドンハーツ』などでイジられる機会が増えたことで、丸くなりましたね。次のMC昇格の最有力候補です」(前出・制作会社関係者)

 今月からABEMAでレギュラー番組が始まる、見取り図に期待する関係者も多い。

「かまいたち同様にネタが面白いのはもちろん、まじめな食レポやロケもできる。年間何百本とロケをこなしてきた大阪芸人の強みでしょう」(前出・テレビ局関係者)

 秋以降はバラエティー界の勢力図が一気に変わる!?