2009年、レースから帰宅したマッチは真っ先に妻と長男のもとへ

《44年という長きにわたってお世話になった、わが家でもあるジャニーズ事務所から巣立つ決断に至ったのは、“このたびの件”がきっかけになったことは間違いありません》

 9月7日、『松井佐祐里“new normal”の小部屋』(文化放送)にて、コメント発表という形で特別出演した近藤真彦。今年4月をもってジャニーズ事務所から退社に至った理由を初めて公式の場で語ったのだった。

 昨年11月、25歳年下女性との約5年間にわたるマッチの不倫疑惑を『週刊文春』が報じた。すると間もなく、ジャニーズから活動自粛処分を言い渡されるも、本人が会見を開くことはなかったーー。

「文春の取材では、“俺は揉み消せる力がある”などと豪語していたとされていますが、時代錯誤もいいところ。アイドルとしては絶対に避けたい不倫劇だけに、さすがのジャニーズも許すはずがなく、マッチは渋々従ったのでしょう。

 そして処分が解かれる前に事務所を退所する、という離れ業をやってのけた。自身が監督を務める『KONDO Racing』が本格的にシーズンインする5月が迫ってのことでした

 と、芸能リポーター。その後も6月にはチームをサポートする企業のゲームPRイベントに“近藤監督”として出席し、7月の誕生日には“芸能人”としての復帰を見越して、チームの公式HP上に11月のコンサート開催を発表。

 そして今回のラジオ番組で《僕、近藤真彦、今後新たな気持ちで本業、芸能活動、レース活動と向き合い、進んでいく決意です》との気持ち表明し、完全復帰をアピールしたのだ。

苦境にあったジャニーズの救世主

 普通なら“どの面さげて”と言われそうな宣言だが、各スポーツ紙やウェブ媒体はこぞって復帰ニュースを取り上げた。“後ろ盾”だったジャニーズ事務所を離れ、ジャニー喜多川さん、メリー喜多川さんが亡くなったにもかかわらず、挙動が注目され続けるのはナゼかーー。

「たしかに“ジャニーズの長男”だった頃には“忖度”が働いて、マッチの動向を報じなければいけない空気があったと思います。が、そのような義理がなくなった今は各社の判断次第。それでも、こうして追いかけられる近藤真彦。かつて一世風靡したスーパースターというだけではない、マスコミも放ってはおけない魅力があるのでしょう」(前出・芸能リポーター)

 近年、若手グループがひしめくジャニーズにおいて、“やたらと偉そうなオジサン”のイメージが強かったが、かつては時代を代表する大スターだったマッチ。田原俊彦、野村義男らとの「たのきんトリオ」は芸能界を牽引し、中でもマッチは各音楽賞などを総なめする活躍ぶりで、フォーリーブス解散以降、苦境にあったジャニーズの救世主となった。

 一方で、人生を左右する悲劇が襲う。彼が22歳の頃に、最愛の実母を交通事故で亡くしてしまったのだ。その後しばらくは、舞台でスポットライトを浴びて「マッチで〜っす!」とおどける一方で、「人知れず泣いていた」とは老舗芸能プロ幹部。

「小さい頃からお母さんっ子で、“好きなことをなさい。でも、人様には迷惑をかけないようにね”と教えられていたマッチ。きびしくもやさしかったお母さんを思いつつ、夜は自宅で毎日のようにお酒を飲んでは泣いていた。そんな震える姿をそばで見ていたからこそ、メリーさんは母親がわりとして“息子を守らなければ”、と必死になっていたのでしょう。まあ、周囲から見たら甘やかしすぎていた、とも言えなくはないですが」

 1994年に田原俊彦が退社すると、名実ともに“ジャニーズの長男”になったマッチ。メリー氏からの一層の寵愛を受けるとともに、一方で並行していたレース業に本格的にのめり込んでいく。実のところは、母親に管理された世界から逃れたかったのかもしれない。

「マッチならしょうがない」と許せる

 実際の彼はというと、いわゆる“長男”タイプではなかったとも。テレビ局プロデューサーがその素顔を明かす。

『KONDORacing』公式HP上で、“復帰”コンサートの詳細が伝えられた

奔放でやんちゃ、お調子者の次男坊タイプで、マッチも実際に“本当の長男はヒガシ(東山紀之)だよ。アイツには頭が上がらない”とこぼしていましたね。おそらくは本人も“長男”と呼ばれることが重荷になっていて、それでもメリーさんの手前、それらしく振舞うしかなかったんじゃないかな。

 でも、人懐っこくて人たらし、人見知りもせずに誰とでも打ち解けられる性格は天性のもの。ちょっと横柄で図々しいところもあるけども、“マッチならしょうがないか”と許せてしまう憎めない少年っぽさがある(苦笑)」

 そんな性格はレースチーム設立にも生かされた。そして不倫スキャンダル後も、彼からスポンサーが離れることはなかったという。長年のパートナー関係にある『日産』は、傘下の『日産自動車大学校』の生徒をマッチのチームに参加させるプロジェクトを推し進めるなど、むしろ関係は良好のようだ。

「マッチのレース愛は本物です。もちろんお叱りは受けたでしょうが、彼らは“ジャニーズのマッチ”ではなく、“近藤真彦”に惚れ込んでいるわけで信頼関係が損なわれたわけではない。奥様も今回のことは許しているみたいですしね。

 実際、彼と関わったらわかるんですが、惹きつける不思議な“人間力”をもっていて、まるで“子犬”のように守らないといけない気持ちになる。だからこそマスコミも見捨てる気にはなれないんですよ」(前出・テレビ局プロデューサー)

 かつてマッチが23歳の頃、『週刊女性』のインタビューで「将来の夢」を聞かれて、このように答えていた。

《予想もつかない男になっていたい。どういう男かというと、子供っぽい大人》

 “ジャニーズの長男”から解放され、1人の男としてリスタートしたマッチ。その夢は叶っているのだろうか。