当時の技術では、信号を青くしようとすると光が暗くなってしまうため、そもそも青にはできなかったといわれている(写真はイメージです)

 思わず誰かにLINEしたくなる! 知って楽しい、おもしろ雑学を2つ紹介。今回は、なぜ緑色に見える信号を「青信号」と呼ぶのかと、かに缶の中に白い紙が入っている理由ついて。

新聞記事などが『青』と報道

【Q】信号機の青は緑色に見えるのになぜ「青信号」というの?

【A】当時の新聞で「青信号」と報じられたからです。

 信号機の青信号は、実際は青色ではなく緑色だが、どうして青信号というのか。

 埼玉大学理工学研究科の栗木一郎教授によると、「1930年に日本で初めて信号機が設置されたときの法令では『緑信号』と書かれていました。しかし、信号機の設置を紹介した当時の新聞記事などが『青』と報道し、青信号という呼び方が広まりました。青と緑は、明確には使い分けられず、混同されることがよくあるのです」とのこと。

 たしかに、緑色の野菜ジュースを「青汁」、新緑を指して「青々とした緑」と言うなど、日常的に緑色のものを青ということも多い。

 日本最古の和歌集である『万葉集』などを調べてみると、日本語の古い色の名前は「赤」、「青」、「黒」、「白」の4つだったと考えられるという。言語が成熟していく過程で色を表す言葉が細分化され、青色と緑色が呼び分けられるようになったのだが、今でも古来の呼び方の名残が残っているらしい。

 ただ、色の名前は混同していても、青と緑の色の違い自体は赤ん坊のころからちゃんとわかっているという。

「乳幼児の脳活動を計測した研究で、言葉を覚える前から人間は青と緑を区別していることがわかっています。おそらく昔の日本人は、色の違いは認識していても、名前としては区別していなかったのだと思われます。色の呼び方は、『青信号』のように、実際の色というよりも、多くの人がどう呼ぶかで決まるところがあるのです」(栗木教授)

缶詰は見た目以上に“優れもの”

【Q】かに缶の中に入っている白い紙ってなんのため?

【A】かにの成分と缶が反応して黒い斑点ができるのを防ぐため。

 かにの缶詰を開けると、かにの身が白っぽい紙で包まれているがどうしてだろうか。公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会の藤崎享さんに話を聞いた。

「かに缶の中の白い紙は、かにの身と缶が接触しないようにするためです。かにの身は硫黄分を多く含むので、直接触れると缶の鉄分と反応して、ごまのような黒い点ができてしまいます。衛生上は問題ありませんが、白い身に黒い斑点が付着していると見た目が悪くなります。缶の内側は合成樹脂などで塗装されていますが、そういった反応を確実に防ぐため、さらに紙で包んでいます」

 現在では、鉄ではなくアルミでできた缶詰もあり、また缶内部の塗装技術も向上したため、実は白い紙がなくても問題ないという。ただ、中身が白い紙で包まれているほうが高級感があるため、わざと昔のまま残しているのだ。

 また、紙があると中身を紙ごとまとめて取り出すことができ、かにの身が崩れないという利点もある。

 ちなみに、缶詰の賞味期間は製造後約3年間だが、なぜ缶詰は長期保存が可能なのか。

「缶詰は具材と調味料などを入れて密封し、加圧加熱殺菌します。この過程で缶の中の微生物は死滅するため、保存料や殺菌料を使わずとも、腐敗や食中毒を起こすことがありません。また、空気を抜いた真空状態で加熱をするので、食材のうまみや栄養も失われにくい。缶詰は、見た目以上に“優れもの”なのです」(藤崎さん)