「張り込み中のあんぱんと牛乳」も実際にはあまりなく、手軽に食べられるものとしてよく登場したのだろうとのこと(※画像はイメージです)

 思わず誰かにLINEしたくなる! 知って楽しい、おもしろ雑学を2つ紹介。今回は、刑事ドラマの取り調べシーンでよく見た「カツ丼」の真偽と、つまようじの持ち手に溝がある理由について。

実際の取り調べ事情

【Q】警察の取り調べってドラマみたいにカツ丼が出てくるの?

【A】任意の取り調べに限り、自腹で食べることができます。

 ひと昔前のテレビの刑事ドラマでは、犯人が取り調べ中にカツ丼を食べるシーンをよく見かけた。実際に、取り調べのときにカツ丼を食べることはできるのだろうか。約20年の刑事経験を持つ、一般社団法人日本刑事技術協会代表理事の森透匡さんに話を聞いた。

「テレビドラマのように、被疑者の取り調べ中に警察側がカツ丼を出すことはありません。自白を引き出すためではないかなど、供述の信頼性が疑われてしまうので、カツ丼に限らず、コーヒーやタバコなども提供することが禁止されています」

 ただし、強制ではない任意の取り調べの場合には、刑事の許可が下りれば自腹で出前をとってもらうことは可能だ。カツ丼のシーンは、まったくありえないわけではなかったのだ。

「ただ、もし仮に取調室でカツ丼をガツガツ食べるような被疑者がいたとしたら、私はその人物は“シロ”だと思います。長年の刑事経験から言うと、取り調べられている犯人は何ものどを通らないほど追い詰められている場合がほとんどですから」(森さん、以下同)

 だとすると、そもそもなぜテレビドラマで犯人はカツ丼を食べているのか。

「昔はカツ丼といえば贅沢品で、最高のごちそうでした。そのため、罪を犯した犯人にカツ丼を食べさせるシーンは、刑事の温かな人情味がドラマを見ている人にわかりやすく伝わるので、小道具としてよく使われたのだと思います」

つまようじに溝がある理由

【Q】つまようじの持ち手にある溝ってなんのためにあるの?

【A】つまようじをこけしに見立てて、焦げを隠すため。

つまようじは世界各国に存在するが、日本ではクロモジの木で作られることが多かったため、黒文字と呼ぶこともある(※画像はイメージです)

 私たちが普段何げなく使っているつまようじだが、よく見ると、手に持つ側の頭の部分が黒くなっていて、その下に溝がある。実はこれ、作る過程でどうしてもできてしまう「焦げ」をごまかそうとしているのだという。

 つまようじ専門メーカーである広栄社のつまようじ資料室管理人の稲葉修さんに詳しい話を教えてもらった。

「昔は1本の木の棒の両端を細く削り、真ん中を鋸(のこぎり)で切り落として2本のつまようじを作っていました。しかし、切った部分がささくれ立ってしまうので、代わりに薄い砥石(といし)の円盤を高速回転させて切ることに。ただ、そうすると切り口が摩擦熱で黒く焦げてしまいました。そこで、なんとかうまく処理できないかと考えて、黒く焦げた頭の部分をこけしの頭に見立てて、つまようじをこけしのように見せることにしたのです

 あの溝は、こけしのくびれを模しているのだ。ちなみに、こけしに見立てようと思いついたのは、焦げ問題をどうにかしなければと、つまようじ会社の経営者たちが集まって緊急会議を開いた際に、その部屋にたまたまこけしがあったかららしい。

 ところで、つまようじには、形や素材など多種多様な種類がある。

「実は、世界では、軸は丸ではなく三角のほうが主流です。また、ヤマアラシの毛やバラの棘(とげ)、水鳥の羽根などさまざまな素材が利用されてきました。日本でも、マグロの尾びれでできたものを漁師が使っていたこともありました」(稲葉さん)