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 手軽でおいしいスーパーやコンビニのごはん。便利だからと、ついつい依存している人も多いはず!でもそれらが危険な添加物に汚染された食品だとしたら……!? もしかしたら今すぐ命に関わるかもしれないその危険を、きちんと知っておこう!

身近なあの食べ物も添加物てんこもり!

 コロナ禍で外食が制限される一方、弁当や惣菜のように調理・加工された食材を指す“中食”の需要は昨年から伸び続けている。テレワークや遠隔授業で在宅時間が増えた家族の3食を準備する負担は大きい。そこで便利なコンビニ弁当やスーパーの惣菜の出番だ。しかし、から揚げ弁当やポテトサラダ、コロッケやアジフライ、里芋の煮物など、ずらりと並ぶ“家庭の味”は本当に安全なのだろうか。

「コンビニやスーパーの食べ物は添加物の大博覧会です」

 そう言い切るのは、添加物研究を40年以上にわたって続けてきた添加物研究者の小薮浩二郎さんだ。

「まずおにぎりとサンドイッチなどの惣菜パンが危険。理由はグリシンという添加物です」(小薮さん、以下同)

 グリシンは簡単な構造のアミノ酸のため、非常に安価で化学合成できる。グリシンは菌の増殖を抑制する作用があるので、日持ち向上剤(短期間の腐敗を防ぐ添加物)としても使われる。

「便利な添加物なので、スーパーやコンビニの惣菜、もちろんおにぎりやサンドイッチにも使われていますが、このグリシンには催眠作用がある。グリシンを主成分とする睡眠改善サプリが売られているのはご存じでしょう

 同サプリの服用量は就寝前に1包(3g)とあるが、これはおにぎり1つに含まれるグリシンの量とほぼ同じ。

「営業途中のサラリーマンやトラックの運転手さんが、コンビニおにぎりやサンドイッチを食べた後に車を運転したら、どうなりますか。急な眠気を起こして交通事故を起こす危険性もある」

 グリシンは、おにぎりやサンドイッチなどの惣菜パンのほか、かまぼこやソーセージにも幅広く使用されている。

「グリシンは合成アミノ酸ですが、別の合成アミノ酸であるL‐トリプトファンを含む食品を摂取した後、原因不明の筋肉痛症候群で死亡する事故が海外で起こっています」

 グリシンを長期摂取した場合も、身体に悪影響がないとは言い切れない。

「私は1つの基準として、調味料のタンパク加水分解物とアミノ酸等が含まれている加工食品は購入しません」

 と、教えてくれたのは添加物に詳しいジャーナリストの郡司和夫さんだ。両方が入っている食品は要注意。例えば、コンビニのおでん。汁はタンパク加水分解物とアミノ酸等、ブドウ糖果糖液糖、つまり添加物まみれだ。

「そしてずっと浮いている具も変。以前、老舗の練り物店の社長に聞いた話ですが、某コンビニ大手に練り物を卸す仮契約を結んだところ、『おでんのだし汁の中で練り製品が8時間浮いていること』という仕様を要求されたそうです」(郡司さん)

 ところがどうしても具が沈んでしまう。同じ業界の知り合いに相談したところ、

「『まじめに作るからだよ、原料のすり身にリン酸塩とソルビットをガンガン入れたら浮くぞ』と言われたと。社長は練り物店としての矜持(きょうじ)から仮契約を解除したところ、違約金で250万円を要求されたそうです」(郡司さん)

 汁に浮き続ける具は不自然なのだ。だが人間の身体を構成するタンパク質はアミノ酸から構成されている。汁に使われるタンパク加水分解物やアミノ酸等は、人体の構成成分と同じならば安全では?

「豆腐や魚からタンパク質をとるのと、タンパク加水分解物とアミノ酸等を摂取するのでは大きく違う。それは塩酸を加えて加熱処理をしている点です」(小薮さん)

 肉や魚のタンパク質は胃、腸で消化(加水分解)され、アミノ酸となって吸収される。タンパク質に塩酸を加えて加水分解すると、アミノ酸以外に多種の物質が発生してしまう。業界は減らす努力をしているが、例えばDMCP、DCPのような発がん性が疑われる遺伝毒性を持つものも生成されてしまうのだ。

 だが、このタンパク加水分解物は法令上「添加物」ではなく「食品」である。そのため、タンパク加水分解物を使用した加工食品は、「化学調味料無添加」と表示できる。そんな表示のからくりについて、小薮さんは惣菜の揚げ物を例に挙げる。

「コンビニ弁当やスーパーの惣菜コーナーの天ぷらの衣はきれいな黄色をしている。あれは合成着色料のおかげです。ところが表記は着色料(βカロテン、ウコン)となっているため、消費者は何か身体によい成分かと勘違いしてしまうのです」(小薮さん)

 合成着色料を使えば、古くなった油で揚げても天ぷら衣の色はきれいだ。もっと油が古くなって茶色くなったら、今度はカツやコロッケを揚げるのに使えばいい。

「その揚げ物が陳列され酸化すれば、人体にとってきわめて有害なものになります。老化を早め、脱毛や肝障害を引き起こすこともあります」
(小薮さん)

安い・長持ちで乱用される中国産添加物

 例えば、とあるポテトサラダの食品表示ラベルを見てみよう。「乳化剤」「増粘剤」「発色剤」「カゼインNa」など、家庭の味には使われない名称が並ぶ。おにぎりにも、「加工デンプン」「グリシン」「カラメル色素」「アミノ酸等」と、見慣れぬカタカナ。

「最近のおにぎりは、国産米使用と書いてあることも多いのですが、消費者はコメの国産にこだわりながら、添加物がほぼ安価な中国産であることを知らない」(小薮さん)

 それもそのはず、添加物の生産国表示は義務づけられていないからだ。今、ほとんどの添加物は中国をはじめとする外国からの輸入。かつお節や昆布からだしをとるより、中国産の化学調味料グルタミン酸ナトリウムなどの粉を添加したほうが安いのだ。

「安くうまみが出せるから、コンビニ弁当やスーパーの惣菜にどんどん使う。合成保存料、pH調整剤、グリシンなどを添加すると保存性が高くなるので、消費・賞味期限が延長でき、販路拡大につながり、儲けが大きくなる。食品を大量に安く製造し、長い期間売るために、添加物は存在するのです」(小薮さん)

 問題になるのは、安い添加物の安全性だ。

「添加物業界で『混ぜ屋』という仕事があります。メーカーのオーダーに応じて、いろんな添加物を混ぜたり、新しい添加物をプロモートしたりする。新しい酸化防止剤入りましたよ、みたいな仕事ですね」(郡司さん)

 混ぜ屋の情報によると、数年前から中国産の人工甘味料や、pH調整剤に不可欠なクエン酸ナトリウム等を使っているという。グルタミン酸ナトリウムも30%程度はやはり中国製だ。

「これらの中国産製品は、本来の工程をすっ飛ばしてコストを下げるため、圧倒的に安い。しかし混ぜ屋の間でも、中国産の質の悪さは評判。輸入の際に食品衛生法で摘発されるケースも」(郡司さん)

 日本国内でも、過去に粗悪なリン酸塩で死者も出たというので、おそろしい。

「食品添加物の安全性試験は人間ではなくラット(ねずみ)を使っている。寿命2年のラットの試験で人間への影響がわかりますか?医薬品では動物による試験の後、人間の臨床試験を行っています。とても添加物の安全性が確保されているとはいえません」(小薮さん)

 厚生労働省のHPでは、「食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け」「人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで」使用を認めている、と謳っている。その言葉ははたして、信じられるものなのだろうか。

コレが危ないTOP3

第1位 おにぎり・惣菜パン
 
 おにぎりや弁当に添加され、腐敗を防ぐグリシン。約100gのおにぎり1個、カレーパン1個に眠気を催す量のグリシンが!

おにぎり・惣菜パン

第2位 揚げ物

 コンビニで人気のホットスナック。パーム油など低価格の油で揚げたうえ、陳列して光と空気に触れることで、油は完全な酸化状態に。

揚げ物

第3位 おでん

 添加物で食感とカサ増しした練り製品、化学調味料で味つけした汁、環境ホルモンの溶け出すプラ容器。3種のリスクが湯気の向こうに。

おでん

群司さん&小薮さんが成分表示表をCheck!
危険な添加物リスト


添加物(表記名)/用途・目的/主に使われる食品/危険注意コメント

●グリシン/調味料・日持ち向上剤/おにぎり、パン/菌の増殖抑制のため、調理パンやおにぎりに使用される。居眠り運転による死亡注意。

●pH調整剤/日持ち向上剤、調味料、酸味料/おにぎり、パン、寿司、サラダ、ゆでうどん/メインの用途は保存料。ただし、食品のpH調整や調味料として使用すれば、表向きは保存料としての表記は不要。

●アミノ酸等(L-グルタミン酸ナトリウム、L-アラニン、リボタイドナトリウム)/うまみ調味料/弁当、惣菜類、せんべい、スナック菓子/ほとんどすべての加工食品に使われている。これを避けるのはかなり難しい。

●※ブドウ糖果糖液糖(異性化糖、コーンシロップ)/人工甘味料/菓子、加工肉、ソース類、スポーツドリンク/血糖値を急激に上昇させ、糖尿病のリスクを高める。食品衛生法上では添加物ではない。

●リン酸塩/結着剤、膨張剤、乳化剤、保水剤、pH調整/かまぼこ、ウインナー、ハム、チーズ、ラーメンの麺/いろいろな用途に使える万能添加物。いろいろな加工食品に隠れて使用されている。リンの過剰摂取で骨粗鬆症のリスクも。

●ソルビット(ソルビトール)/甘味料、保水剤、柔軟剤、保湿剤/ガム、あめ、カステラ、ハム、煮豆、佃煮/過剰摂取で下痢、アレルギーなどを起こすことも。

●βカロテン、ビタミンB2/着色料/和洋菓子、麺類、清涼飲料水、マーガリン/どちらも化学合成された着色料。ビタミンBは黄色4・5号のこと。

●ビタミンC(アスコルビン酸ナトリウム)/酸化防止剤/パン、かまぼこ、ウインナー、ジュースなど/ビタミンCと表記されているが、れっきとした化学合成品。

●カラメル色素/着色料/ソース類、しょうゆ、たれ類、飲料、ウイスキー、漬物、乳製品/法令上は天然添加物だが、合成添加物とすべき。カラメル作成時に副産物として発がん性物質が生じることも。

●※タンパク加水分解物/調味料/ほとんどのうまみを感じる惣菜、スナック菓子、たれ類、だし/食品衛生法上は添加物に含まれていないが、添加物以上に添加物といえる。製造過程で発がん性物質が生成されている。

とある1日の不健康ゴハン

・朝 惣菜パン+野菜ジュース

 死を招くトランス脂肪酸を含むマーガリンのほか乳化剤、pH調整剤、発色剤と添加物だらけのパン。香料と残留農薬入りジュース。

・昼 のり弁+ペットボトルのお茶

 コスパ重視の弁当は、グリシンでつや出しした米に増粘剤や乳化剤入りの魚フライ、合成着色料で色づけした漬物。お茶には酸化防止剤。

・おやつ だんご+シュークリーム

 だんごには発がん性のあるカラメル色素、膨張剤でふわふわのシュークリームの中には、乳化剤と加工でんぷん入りのクリーム。

・夜 惣菜+発泡酒

 動脈硬化リスクのある酸化油のから揚げ、素材より加工でんぷんと増粘多糖類が多いポテサラ、人工甘味料入りの発泡酒で不健康に乾杯!

 教えてくれたのは…郡司 和夫さん ●東京生まれ。法政大学卒業。フリージャーナリスト。身近な生活用品の安全、環境汚染を中心に執筆活動を続ける。主な著書に『これを食べてはいけない』(三笠書房)、『生活用品の危険度調べました』(三才ブックス)ほか著書多数。

 小薮 浩二郎さん ●岡山県生まれ。九州大学大学院農芸化学専攻科(栄養化学講座)修了。製薬会社の研究部門ほか、添加物開発の最前線で添加物研究に従事。食品メーカー顧問。小説『白い濁流』(笑がお書房)がドラマ化。NHK PB日曜夜10時〜放映中。

〈取材・文/ガンガーラ田津美〉