園内でニワトリやアヒル、カメ、マーラなどの動物が放し飼いにされている

「堀井動物園に動物を飼育する資格はありません。動物を使い捨てにしている」

 2年前、週刊女性でそう厳しく糾弾したのは、同園の問題を長年にわたって指摘してきた動物保護団体『PEACE』の東さちこ代表。

室内動物園をこっそり再開

 同園は堀井嘉智園長が滋賀県守山市におよそ40年前に創設した個人経営の動物園。2つある飼育場でキリン、シマウマ、ハシビロコウなどの大型動物から、ウサギや犬、猫、爬虫類、鳥類、魚類まで約800種類、1000匹以上の動物を飼育。

 移動動物園や同市のショッピングセンター内で『めっちゃさわれる動物園』を展開していた。しかし、飼育場の火事や動物の脱走、悪臭など、数々のトラブルを起こしていた。 '19年、週刊女性は、その劣悪な飼育環境を報じた。複数の同園関係者によると、

「動物は動くことも困難な狭いケージや暗いコンテナ、倉庫に押し込められたように飼育されていて、掃除もろくにされていなかった。檻の中はエサの残骸が散らばり、糞尿が垂れ流されている状態でしたよ」

 ほかにも、チンパンジーに値引きされたスーパーの弁当を食べさせたり、飼育場前に白骨化した羊の頭部を放置するなど、目を疑う光景が広がっていたという。

 その後、この報道がきっかけとなって行政処分を受けた堀井園長は、5年間にわたって動物園の営業資格が剥奪されていた─。

 しかし今年7月、営業資格がないはずの堀井園長が室内動物園をこっそり再開したという情報が! 週刊女性はさっそく潜入取材を試みた。滋賀県甲賀市の郊外に、その動物園はあった。その名も『めっちゃおもろい動物園』。

 動物園というには狭すぎる園内。少し広めのペットショップといった感じだ。まず驚いたのが、ニワトリやアヒル、カメ、マーラなどが放し飼いにされていること。フクロウやインコもケージ内ではなく、そのまま木に止まっている。

 体長120㎝近くある巨大な鳥・ハシビロコウすらケージに入っていない。いくら“動かない鳥”とはいえ、噛みつく危険性のある動物の放し飼いはいかがなものか。

それでも「合法」な理由

 翌日再び訪れて、同園の代表にこちらの正体を明かすと驚きを隠せない様子。そして口から出たのは、2年前の報道に対する恨み節だった。

「あの一件で悪者にされて、一気に仕事が減って、それでコロナでまたぐんと仕事がなくなったんですよ。動物たちもどうなるのかわからなかったし、私たちスタッフも……」

 この発言で、堀井動物園の関係者であると認めたことになる。名を変えて堀井動物園を再開することは違法なのでは?

「違います。この動物たちは堀井さんから譲渡されたので、法的にはまったく問題ないんです」(同・同園代表)

 堀井園長と同園の関係について前出の東代表はこう指摘。

「実態として、同園の動物の管理等には今でも堀井園長が関与しているのは明らかです。旧堀井動物園の飼育場にはまだ動物がたくさん残っていて、その世話をしているスタッフと、同園のスタッフは共通で、同じ人たちが世話をしています」

噛みつく危険性もあるハシビロコウをケージに入れずに展示

 法的な問題は本当にないのか─。同園を、監督・指導している滋賀県動物保護管理センターに話を聞いた。

「同園は堀井さんの奥様がやっているイベント会社が申請したものなので、合法なんです。堀井園長自身は役員でも責任者、申請者でもなく、あくまでイチ従業員という立場で関わっていますからね」

 同園の飼育環境に関しては、

「利用者や近隣住民から狭い、汚い、臭いなどといった苦情がまったくないわけではありませんが、優・良・可・不可でいえば、可。60点で及第点といったところです」(同・滋賀県動物保護管理センター担当者)

 合法的に動物園を再開した堀井“元”園長を直撃した。

「動物保護団体の東代表はひどい人です。私に一度も会ってないし、直接、文句を言ってきたこともない」

「殺処分なんてできない」

 堀井元園長を知る動物園関係者はこう話す。

「彼は動物園がひとつもない滋賀県で、40年間も頑張ってきた。動物好きな子どもたちの夢を育み、貢献してきたことも事実だと思います」

 私立の動物園は経済的にも厳しいという。

「儲かった分しか、動物のエサや飼育環境には還元できないから、それで多少かわいそうなことになった動物がいたかもしれない……。でも今は飼育環境をできるだけ整えて

2年前、第2飼育場にはキリンなどの姿も見えた

いますよ」(動物園関係者)

 堀井元園長は、語気を強めてこう話す。

「動物を生かすために、この『めっちゃおもろい動物園』をやっているんです。またみなさんにここも叩かれて潰されたら、エサ代も支払えなくなって動物が殺処分になる。それでもいいんですか? 私にはできない」

 この堀井元園長の言い分に対して、東代表は怒り心頭だ。

「劣悪な環境でさんざん動物を死なせてきて、なんという言い草! 飼育できないなら、まず譲渡先を探し、所有権もあわせて譲渡すべき。エサ代が払えなくなる前に事業をたたむのが通常の事業者の感覚ではないでしょうか」

 2年前、琵琶湖のほとりにある第2飼育場にいたキリンなど大型動物のことが気になった。現在の様子について堀井元園長に聞くと、

「キリンは今も倉庫にいます。私には殺処分なんてできませんから」

 動物たちはひたすらに生きている。