左が兄の祥太で、右が弟の慶太。'85年11月18日生まれ。神奈川県出身

 かつて注目を集めた有名人に「ブレイク中、何を思っていたか?」を語ってもらうインタビュー。当事者だから見えた景色、聞こえてきた声、当時は言えなかった本音とは? 第31回はイケメンの双子俳優としてアイドル的な人気を集めた斉藤祥太・慶太。双子だからこその苦労や人気絶頂時の意外な私生活とは─?

慶太、祥太のフリをしてファン対応

祥太自分たちがアイドルとして見られるなんて、思ってもいなかったですね

 '00年から'03年まで放送されたドラマ『キッズ・ウォー』シリーズで一躍、ブレイクした斉藤祥太・慶太。当初は兄の祥太のみの出演だった

慶太「小学生のときに双子特集でテレビに出させてもらったことがあって。そのあと自分たちで事務所に応募したのがデビューのきっかけです。最初はスーパーのチラシモデルなどをしていましたね」

井上真央

祥太双子役以外は2人で受けに行くと両方落とされることが多かったので、『キッズ・ウォー』は僕だけ受けたんです。最終オーディションの日は雨が降っていたのですが、なぜか会場の最寄りのバス停より2つ手前で降りてしまって、びしょ濡れで会場に行くことに……

 オーディション会場にはヒロイン役を演じた井上真央の姿も。彼女の意見もあり、祥太が相手役に選ばれる。

祥太真央ちゃんは直感で選んだそうなのですが、びしょ濡れの姿から、必死さが伝わったのかなと(笑)

 放送が進むにつれ、祥太への注目度もアップ。

慶太当時、僕たちが双子だと言っていなかったので、街を歩いていると“(役名の)翼くんだ!”と声をかけられる機会が増えて。最初は否定していたのですが、同じ顔だから信じてもらえないので途中から祥太のフリをしてファン対応していました(笑)

 そしてファイナルシリーズでは、慶太も出演することになった。

慶太「双子の弟がいるなら、作品をかき回す役で出そう……という話になったみたいです。スタッフのみなさんは祥太とずっと仕事をしていたこともあり、僕のことも温かく迎えてくれたので、やりやすかったですね」

ヒマな日はガテン系のアルバイト

 ドラマの人気もあり、イケメン双子俳優として次第にアイドル的な扱いを受けるようになる。

慶太「アイドル誌の『Myojo』で連載をさせてもらったり、アイドルっぽいお仕事も増えていきましたね」

祥太でも当時も自分たちのことをアイドルだとは思っていなかったです

慶太ジャニーズのみなさんが、たくさんのファンの前で笑顔で対応しているのを見ていたし、僕らには無理だなって思っていましたね

'03年放送のドラマ『ホットマン』撮影時のオフショット。まだ幼さが残る

 その言葉を裏付けるように、当時から意外なアルバイトをしていたという。

祥太『キッズ・ウォー』に出ていた高校生のころから、ヒマな日はガテン系のアルバイトをしていました。地元の友達でそういう仕事をしていた人がいたのもあるんですが、当時の事務所は給料制だったこともあり、日給で8000円とかもらえるとうれしかったですね

 '05年には、長澤まさみと共演した映画『タッチ』で主人公の上杉兄弟を演じ話題に。

長澤まさみ

祥太「双子の役もいくつかやらせていただきましたが、原作のある場合は兄役が僕、弟役は慶太……と実際の兄・弟と同じ設定でオファーがくるんですよね」

慶太それに対しては特に不満もなかったのですが、『タッチ』では祥太とまさみちゃんのキスシーンがあったので、あのときだけは兄役を演じたかったです(笑)

 しかし20歳を過ぎたころから芸能の仕事が減少したこともあり、以前からやっていたガテン系の仕事を本格的にスタートさせる。

祥太「芸能人としてはフレッシュさもなくなって、時代に合わなくなってきたんでしょうね。ずっと一線で活躍できるほうが稀ですし」

慶太アルバイトに行ける日が増えていって、気づいたらそっちの仕事が中心という感じになっていました

 水道整備の職人として、あのビッグプロジェクトに関わっていたと明かす。

慶太2人で同じ仕事をした時期もありましたが、僕は水道。祥太はガスの仕事を始めてスケジュールがバラバラなので、今日も会うのは1か月ぶりぐらい。僕はオリンピックスタジアム周辺の地下の水道整備を担当したので、五輪開催は感慨深かったです

応援してくださる方たちのために

 芸能以外の仕事を始めたことで、役者としてもプラスに働いた部分があるようだ。

慶太どんな世界でもプロの方は、求められたことに対して応えられるテクニックがあるんですよね。ガテン系以外にもベビーシッターなどいろいろな仕事を経験しましたが、プロの方たちは動きに無駄が少ないので、本当に尊敬します。役者は豊富な人生経験が役に立つと言われているので、芸能以外の仕事を経験したことは無駄ではないと思う

祥太そう思っていないとやっていられない部分もありますけどね(笑)

 昨年はデビュー20周年を記念し、斉藤という名前にちなんでどんなオファーも“3110円”で受けるキャンペーンを実施した。

祥太「僕らのファンで地方へ転勤してしまう子にサプライズでケーキを持っていくドッキリなど、いろいろなお話をいただき楽しかったですね」

慶太学生時代に僕らと写真を撮った女性から“子どもが生まれたから、また一緒に写真を撮ってほしい”という依頼もありました。当時の写真を今でも大事にしてくれていたのを見て、応援してくださる方たちのためにも芸能の仕事ももっと頑張らないとダメだなと改めて思いました

YouTube『祥太慶太チャンネル』では、さまざまな企画に挑戦中。最新情報は2人のTwitterなどSNSをチェック!

 YouTubeの『祥太慶太チャンネル』では、過去の作品の裏話からクロスを張り替える姿まで、さまざまな動画を公開している。

祥太「自分にはこれしかない! と決めちゃうと芸能活動も人生も余裕がなくなってしまう気がするので、自分の興味のあることは何でも挑戦していきたいです」

慶太僕は結婚して先日娘も生まれたので、まずは家族第一で。そして楽しく笑顔で過ごすことが目標です

 最後に双子でよかったことや『キッズ・ウォー』の思い出を改めて聞くと、当時を噛み締めながらこう答えた。

慶太いまでも個々のキャラクターがあまり浸透していないのは僕たちの実力不足だなと感じています。でも双子だったからこそいただいたお仕事も多いので、トータルで考えるとプラスだと思います

祥太ハリウッド作品(映画『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』)やフランスのCMに出られたのは、双子だからこそ。貴重な経験をさせてもらえましたね。『キッズ・ウォー』は1日に20シーンを撮影するなど、大変すぎて当時のことはあまり覚えていないですが、とにかく(井上)真央ちゃんが可愛かったなって(笑)

慶太名古屋で撮影をしていたので、早く撮影が終わったときに名古屋飯を食べに行くのがささやかな楽しみでした。でもまさかこんなに長くこのお仕事を続けるとは思っていなかったです。この年齢になるとあまり焦りもないですが、楽しく生きるためにどんな仕事も全力で頑張りたいですね!