主食やサラダ、デザートといった糖の多い食事をやめることでがんを防ぐ イラスト/長田直美

 がん、高血圧、認知症。それぞれの名医が「一切、食べない」と断言する「命を縮める食材」。私たちが毎日口にしている、アレもコレもヤバイらしい。ついつい好きなものを選んでしまいがちだが、食事は命に直結するもの。さっそく今日食べるものから見直してみよう。

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「私は主食をとりません」

 と、教えてくれたのは、ハタイクリニックの院長・西脇俊二先生だ。糖質を徹底的に断つ独自の“断糖療法”で多くの末期がん患者を救ってきた西脇先生は、2008年から自身も糖質抜きの食生活を始めており、現在では自宅に炊飯器もない。

糖質は「がんのエサ」

「米を炊かないから、炊飯器など不要です。がんとは、正常な細胞の遺伝子が傷ついて変異した細胞。

 では、正常な細胞が傷つく原因は何かといえば、細胞の炎症にあります。活性酸素によって傷つけられた細胞ががん化し、がんの大好物であるブドウ糖をとるとがんはみるみる増殖してしまいます。

 糖質をとることは、がんにエサを与えて、育てる行為に等しいのです」(西脇先生、以下同)

 糖ががんを育てるとは恐ろしい話だが、主食=糖質(米やパン、麺類など穀類)は食事の基本。それ抜きで食生活を送ることで弊害はないのだろうか。

「欧米には主食の概念がありません。前菜やメインという分類はありますが、パンはあくまで添え物。まず主食の概念を捨ててください。食事全体で最も糖質を含んでいるのが米やパンですから、それをやめることが断糖のスタートです」

ハタイクリニック院長の西脇俊二先生。独自の“断糖療法”で多くの末期がん患者を救ってきた

糖質制限との違い

 炭水化物抜きダイエットや糖質制限ダイエットはトレンドだが、違いは?

「大雑把に言えば同じ考え方です。肉を主食とし、糖を断つ。糖とは、炭水化物から食物繊維を除いた“糖質”のこと。健康によいといわれる野菜や果物も糖質を含みます」

 野菜や果物など、健康によいイメージしかない……。

「特に果物は果糖があるので、私は一切食べません。私たちが口にする糖質は、最終的にすべてブドウ糖、つまりがんのエサに変わるからです」

 西脇先生のクリニックではがん患者に“糖質摂取量は1日5gまで”としている。だが、5gという数字は、果物ならみかん1個、野菜ならトマト1個でたやすくオーバーする数字だ。

米やパンといった主食や、果糖の多く含まれるフルーツ、一部の野菜には糖質が多く含まれている ※画像はイメージです

「果物や野菜を制限すると、ビタミンやミネラルの不足が心配になる人も多いでしょう。肉だけでもビタミンやミネラルは補えますが、唯一不足するのがビタミンC。これはサプリメントや点滴で補えますので安心してください」

これならGOOD! ある日の断糖メニュー

<朝食>
・豚ロース肉(3枚)のソテー
・ホウレン草(葉のみ)のソテー
・目玉焼き(2個)

<昼食>
・鶏のしゃぶしゃぶ(鶏肉300g)、
・春菊(葉のみ50g)
・もやし(100g)
・豆腐(120g)

<夕食>
・鮮魚のカルパッチョ
・チーズ盛り合わせ
・ラム肉のステーキ

※野菜が「葉のみ」なのは茎に糖質が多く含まれているから。まさに徹底した断糖食だ。

西脇先生のおすすめする“断糖”メニューの一例
西脇俊二(にしわき・しゅんじ)●弘前大学医学部卒業。精神科医、精神保健指定医、認定産業医。『断糖のすすめ 高血圧、糖尿病が99%治る新・食習慣』(ワニブックス)など著書多数。テレビ出演のほか、ドラマ『僕の歩く道』『相棒』『グッド・ドクター』、映画『ATARU』等の医療監修でも活躍。

(取材・文/ガンガーラ田津美)