塩せんべいをつまみにビールを飲み、プロレス観戦なんてしてたらいつの間にかポックリ!? イラスト/長田直美

 がん、高血圧、認知症。それぞれの名医が「一切、食べない」と断言する「命を縮める食材」。私たちが毎日口にしている、アレもコレもヤバイらしい。ついつい好きなものを選んでしまいがちだが、食事は命に直結するもの。循環器病の専門医・渡辺尚彦先生が警鐘する危険なメニューとは?

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 30年間24時間、自分の血圧を測り続けている渡辺尚彦先生。高血圧を中心とした循環器病の専門医として“ミスター血圧”の異名をとる。

「血圧にとってよくないのは、かたくて塩辛い食べ物です。例えば、塩せんべい。これは塩分もですが、咀嚼するときの交感神経への刺激もよくない。みるみる血圧を上げます」(渡辺先生、以下同)

かき氷で血圧急上昇!?

 もちろん、味の濃いおかずもよろしくない。また、冷えた飲み物も末梢血管を収縮させるので血圧を上げる。

食道は心臓の後ろ側と接していますから、冷たい飲み物が食道を通るとき、血管がきゅーっとなる。私の上司は冷えたビールを飲んだ瞬間、狭心症の発作を起こしました。

 塩辛をつまみに冷えたビールなんて組み合わせは最高ですが、血圧的には最悪ですから避けましょう。ちなみに私は夏にかき氷を食べただけで、上の血圧が120から140に変化したことがあります」

塩辛いもの、冷たい飲み物、固いもの。全て血圧にとって良くないものだ ※画像はイメージです

 急激な温度差によるヒートショックは、外気だけでなく身体の中に入る飲食物にしても同様なのだ!

「朝食をとることも大事です。朝食べないと、強い空腹ストレスが交感神経を刺激して、一気に血圧を上げます」

30年間24時間、自分の血圧を測り続けている渡辺尚彦先生 撮影/週刊女性写真班

朝ごはんに“和食”はNG

 とはいえ、和食は塩分が多い。塩鮭、みそ汁、漬物。納豆はカリウムが豊富でよいがタレの塩分が多い。

そのため、私は和食の朝ごはんは食べません。朝はフルーツグラノーラに牛乳、またはヨーグルトと決めています。

 すると、1食分の塩分量は約0.5g。昼と夜に塩分をとりすぎても、1日の塩分許容量6g(高血圧学会推奨値)に収めやすい。

 それだけでなく、朝に塩分をとりすぎると1日の平均血圧が高くなるというデータもある。3食のうち、特に朝食に減塩食をすすめる理由です」

 血圧を下げる習慣を『降圧標語』としてわかりやすく提唱している渡辺先生。標語の中には次のようなものがある。《いけません! しょうゆと廊下はかけちゃダメ》

「しょうゆは塩分のかたまり。薄口しょうゆで大さじ1杯あたり2.9gの塩を含みます。かけるのではなく、小皿に出してつける習慣にしましょう。しょうゆの入った汁を飲むのもだめ。美味しくてもひと口でやめる努力を」

これならGOOD! ある日の減塩メニュー

<朝食>
・フルーツグラノーラと牛乳

<昼食>
・ステーキ(汁や麺に塩分の多いそばなどより腹持ちのいいステーキがよい)

<おやつ>
・チョコレート(カカオに含まれているエピカテキンは降圧効果あり)

<夕食>
・カツオの香り和え(刺身にしょうゆはNG)
・イカと野菜のペッパー炒め(タウリンを含むイカは降圧効果あり)

※お茶は、飲めば確実に血圧を下げる杜仲茶かギャバ茶がおすすめだ。

渡辺先生がおすすめする、減塩メニューの一例
渡辺尚彦(わたなべ・よしひこ)●医学博士。東京女子医科大学医学部前教授、愛知医科大学客員教授、早稲田大学客員教授、日本歯科大学臨床教授。1987年から連続携帯型血圧計を装着し、現在も記録更新中。著書に『血圧を下げる最強の方法 30年間×24時間自分の血圧を測り続けている専門医だからわかった正しい降圧法』(アスコム)ほか他数。

(取材・文/ガンガーラ田津美)