松嶋菜々子と反町隆史(2018年)

《意外とナチュラルね》

 フードデリバリーサービス『ウーバーイーツ』のCMで、共演するMattにメイクを施されて“Matt化”する松嶋菜々子。驚きの変身を遂げた国民的女優も10月13日に48歳の誕生日を迎えて、いわゆるアラフィフに差し掛かった。

 翌10月14日にスタートしたフジテレビ系ドラマ『SUPER RICH』で、主演の江口のりこ演じる女性起業家のよき理解者として登場しているのが松嶋だ。

「『半沢直樹』(TBS系)で代議士役を務めて一躍、実力派女優の注目株となった江口さん。柄本明さんが主宰する『劇団東京乾電池』出身で、20年以上のキャリアを持っていますが、失礼ながらフジドラマで主演を張るとは思いませんでした。

 そして、彼女をサポートするのが松嶋さん。正直なところ“配役、逆じゃないの?”と目を疑いました(苦笑)」(テレビ誌記者)

 松嶋といえば1992年、フョッション誌『ViVi』の専属モデルを経て、18歳で女優としてのキャリアをスタート。1996年にNHK朝ドラ『ひまわり』のヒロインに抜擢され、1998年の映画『リング』での演技が評価されて日本アカデミー賞主演女優賞に輝いた。

「“女優・松嶋菜々子”を広く知らしめた瞬間でした」とはキー局プロデューサー。

「『やまとなでしこ』(フジテレビ系・2000年)を代表するように、凛とした真っ直ぐな女性像がハマり役で“正統派美人女優”の代名詞に。とはいえ、その芝居というよりも松嶋さんの存在そのものを見たい視聴者が多く、実際に出演ドラマも高視聴率を叩き出していました。

 そんな彼女も結婚や出産を経て、美貌やスタイルこそ変わりませんが、女優としての役割は確実に変化してきていますね」

全盛期より下がったギャラ

 松嶋のイメージをガラリと変えたのが、38歳のアラフォーを迎えて出演した『家政婦のミタ』(日本テレビ系・2011年)。それまでの華やかな役柄から一転して、演じたのは地味な衣装とメイクを施して表情を崩さず、感情を出さない影ある家政婦役。

 『ミタ』の脚本を手掛けたのは、松嶋が出演した『GTO』(フジテレビ系)や『魔女の条件』(TBS系)を担当した遊川和彦氏。そんな縁からオファーが舞い込んだというわけだが、当初は彼女の事務所は難色を示していたとも。

ギャラも全盛期より低い額を提示されたようで、何よりも松嶋さんの正統派イメージを崩したくはなかったのでしょう。でも、脚本を読んだ松嶋さん本人が“やります”と。どこかで女優としての転換期を考えていたのかもしれません。

 この頃には綾瀬はるかさんや長澤まさみさんら若手女優の台頭もあり、いつまでも“綺麗なお姉さん”ではいられなかったのだと思います」(前出・プロデューサー)

 久しぶりの連ドラ主演作は回を重ねるごとに話題となり、視聴率は平均24.7%、最終回に至っては40%を記録するなど、女優・松嶋菜々子の“復帰”を十分に印象付けた。彼女のもとには再び多くのオファーが届くようになる。

 一方のプライベートでは、『ミタ』放送と同年の4月に長女を有名私立小学校に入学させるなど教育熱心な一面もあった松嶋。それもあってか、長女は昨年8月に英ロンドンへと留学。コロナ禍の中で母親として娘に付き添って海を渡り、帰国後にPCR検査を受けて14日間の自宅隔離も厭(いと)わなかった

夫・反町が『相棒』で成功した

 夫の反町隆史もまた劇的な“復帰”を遂げている。かつて一世風靡したイケメン俳優も結婚後の2000年代は思うような結果を残せずにいたが、2015年に水谷豊主演の『相棒』(テレビ朝日系)に抜擢されると、今年で7シーズン目。初回から124話にわたって相棒を務めた、寺脇康文の歴代最長記録に迫ろうとしている。

「ご家庭もお仕事も充実して気持ちに余裕ができたのでしょうか、松嶋さんは最近では主演にこだわらず、また連ドラにこだわらないようなスタイルに変貌したように見えます。20代、30代はプレッシャーを感じていたのか現場でもピリピリした雰囲気が見られましたが、今は自然体で仕事ができているみたいで笑顔が絶えませんよ。それに表情も柔らかくなったせいか、ますます綺麗になった気がしますね。そういえば、『相棒Season20』の初回放送日も10月13日でしたね。夫婦でお祝いをしあったのでしょうか(笑)」(芸能プロ幹部)

 近年は朝ドラ『なつぞら』(2019年)でヒロインを演じた広瀬すずの母親役が好評だったように、主演以外での活躍ぶりも目立つ彼女。また、今回の『SUPER RICH』で初共演だった江口ともすっかり打ち解けて、現場で女子トークに花を咲かせているという。

 “母親役”といえば、こんなエピソードもあったようで。今年の8月に公開された映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』に出演した松嶋。前作『妖怪大戦争』に引き続き、今作でも大森南朋や大沢たかおをはじめ多くの大物俳優が妖怪に扮していることも見どころなのだが、映画配給会社営業スタッフによると、

「主人公の寺田心くんのお母さん役を演じたのが松嶋さん。でも、聞くところによると、オファーの際に“えっ、私は妖怪役じゃないんですか?”と、どこか物足りなげな様子だったそう(笑)。本当は特殊メイクを施して妖怪に変身したかったのでしょうか」

 それで“Matt化”をOKしたのかどうかは定かではない。