片づけやすいスッキリ空間に※写真はイメージ

 年末大掃除で大変な思いをしないためには、今から少しずつ手を打つのがおすすめ。コツは「狭い空間から」「1日5分だけ」片づけること!6000人の主婦を汚部屋から脱出させた人気収納アドバイザーが実践しやすいステップを指南!

 家の中はモノであふれてゴチャゴチャ、年末に大掃除をする体力も気力もない……。そんな人がまず取り組むべきことは“捨てる”こと。

「モノを捨てると、気持ちも家の中もスッキリしますよね。片づけと大掃除を一度にするのが理想的ですが、ムリなら大掃除は来年に持ち越してもいいと思うんです。日ごろの掃除がしやすいように、モノが必要かどうか精査をして減らすことを年内にやってしまいましょう」(整理収納アドバイザー・阿部静子さん)

 阿部さんいわく、片づけのいちばんのコツは「一度にやろうとしない」。

「私のセミナーや片づけメソッド講座の受講生の方は、みなさん、『一度に片づけないといけない』と思っているんですね。でも、一度に片づけをするためにはそれなりの気合と労力と時間が必要。だから、『いつかやろう』と思っているうちに時間だけが過ぎていってしまうんです

 また、一気に片づけをすることにはデメリットも。

「立て続けに作業をしていると、取捨選択が面倒くさくなって、大切なものまで捨ててしまう可能性が。そうなると、片づけたことを後悔して、また片づけようとする気持ちが薄れてしまう。モノを無理なく減らすためには順番が重要。思い入れのないものから捨てはじめ、思い出のものはいちばん最後にしましょう

 片づけベタな人には、さらに陥りがちな落とし穴が。「私の講座では『先に収納用品を買わないでください』とお伝えしています。なぜかというと、すでにたくさんの収納用品をお持ちだから。収納グッズで場所をとられてしまっていては本末転倒です」

モノが減れば“自分時間”が増える

「片づけのポイントは“1日5分1スペース”。まずは身近なところで化粧ポーチの片づけから始めてみて。小さなエリアでも片づけをすると、徐々に自信が生まれ、その繰り返しで確実に片づける力がついていきます」

 大切なのは「いる、いらないのセレクト力」が身につくこと。そのためには自分の中で何をいくつ持つのか基準を持つことも大切。

「服や靴、化粧品など、気がつくと必要以上に増えがちなものは、最終的にいくつにするのか自分なりの目標を持つといいですね」

 阿部さんは洋服をアイテムごとに3着に絞っている。「そうしておくと、洋服選びから衣替え、そうじもラク!洋服に振り回されず朝も時間に余裕ができます

 この記事を読んだら、すぐに5分の片づけを実践!小さな片づけで自信をつけて、次から紹介する、阿部さんおすすめの順番に沿ってお家を生まれ変わらせましょう!

阿部流おそうじ順路

 家の中の片づけは比較的狭い空間、さらには目につきやすく片づけた達成感を感じられるところから始めてみましょう。次に難易度が高い場所の片づけを成功させてモチベーションを上げよう!

STEP1. 玄関

【玄関に置く靴の数は、家族の人数+1足に】

「最初に玄関を片づける理由は2つ。1つは、玄関が散らかっていると『帰宅したときにグッタリと疲れてしまう』とおっしゃる方が多いということ。もう1つは、ほかの部屋に比べて狭い空間なので、片づけやすいという点」

 5分でできる玄関の片づけでおすすめなのが、たたきに置く靴の整理。

「たたきに置く靴の数は、家族の人数+1足に。それだけで玄関全体がスッキリとした印象になります」

 また、履かない靴を処分することも大切。

ベストな方法は、下駄箱の靴を全部出して履いていない靴を手放すというやり方。時間をかけずに行うなら、しばらく履いていない靴を1足、5分かけてチェックして処分してみて」

 また、下駄箱の中には年代物がしまわれていることも。

社会人になったお子さんが学生時代に履いていた靴や縄跳びなどが下駄箱から出てくる方はたくさんいらっしゃいます。また、玄関に置いてある“置物”は長年置いたままだと風景の一部になってしまうもの。こうした年代物も処分して、新しい風を取り入れていきたいものです」

〜まずはコレ捨て!〜
●履かなくなった靴

●使わなくなったグッズ(縄跳び、ラケット、ボールなど)

●年代物の「置物」

阿部さん宅の玄関のたたきに置いてあるのは、家族3人分の靴とサンダルのみ

STEP2. クローゼット

【賞味期限を決めて、着ない洋服を手放す】

 阿部さんの片づけメソッド講座の参加者たちがいちばん悩んでいるのが、クローゼットの片づけだ。

「洋服の数を減らすと管理がしやすくなり、服を選びやすくなります。収納の前には、洋服を手放す作業をすることが大切です」

 整理のプロ阿部さん宅のクローゼットはというと、

冬服でいえば、デイリーで着るスカート、ニット、カーディガンは3着ずつのみ。この数少ないお気に入りをガンガン着ます。欲しい服があると、今あるラインナップと入れ替えを考えて、1枚買ったら1枚処分。これで服が無駄に増えることはありません。たっぷり着てシーズンが終わるころに手放す服も多いのですが、服選びで迷うこともなく朝の時短にもつながります」

 おしゃれも楽しみたい人には、用途別でまとめておくことも小ワザのひとつ。

私も、デイリーのもの以外に仕事用の服もありますが、用途別にまとめているので管理しやすいです。選ぶのもラクで、また衣替えもラク

 そのためには、今あるものの処分から。洋服の取捨選択の際におすすめなのが“鏡の前で洋服をあててみる”こと。

「実際に着てみるのがいちばん効果的なのですが、難しい場合は鏡の前であててみてください。“似合わなくなった”と感じたものは手放して」

 さらに、よくあるケースというのが“やせたら着ようと思っている服”をため込んでしまうこと。

「やせたら自分のご褒美に新しい服を買う方が実は多いのです。そう考えると、後生大事に持っているより、さっぱりと処分を」

 また、“洋服の賞味期限”を決めることも効果的な方法のひとつ。

「“3年着ていない服は手放す”など、目安を決めます。人によっては、賞味期限が10年でもいい。“10年着ていない服なら手放してもいいかな”と納得して処分することができます」

 ちなみに、楽しい思い出が詰まった服をすべて手放す必要はないとのこと。

「ただ、着ていない服に場所を取られ、選ぶときに邪魔をされていると思ったら、やはり数をグッと絞ることも必要。デイリー使いには、特にお気に入りの服を種類ごとに3着だけ厳選して残すなど、残す服の数を自分で決めておくこともおすすめです

〜まずはコレ捨て!〜
●3年以上着ていない服

●やせたら着ようと思っている服

●傷んでいる服

阿部さんのシーズン中の服はこれで全部。数が少ないので管理しやすいという

STEP3. キッチン

【お箸やスプーンの浅い引き出しから着手】

カトラリーはよく使うものは手前に、使用頻度が低いものは奥に収納。毎日使うおたまと菜箸もここに収納。モノを減らし、ひと目でわかりやすく

 キッチンには、食器や調味料、調理器具、電化製品など多種多様なものが置かれ、どこから手をつければいいのか迷ってしまうことも。

キッチンでいちばん着手しやすいのは、お箸やスプーンなどが入っている引き出し。浅くて小さめのスペースなので、5分で片づけることも可能では。買い物のときにもらう割り箸やプラスチックのスプーンなど、いつか使うかもと取っておいたものや、賞味期限切れの食品など思い入れのないものから処分を」

 食器類は、使っていないものを選んで手放す。

「洗いにくい、重いなど、大きすぎる、少し欠けてしまっている、など使っていない食器にはそれなりの理由があるはずです。また、普段使っているなら別ですが、おまけでもらった食器やロゴが入ったグラスなども、手放しやすいアイテムです」

 キッチンにある処分しにくいもののひとつが“引き出物”の食器類。

「片づけサポートでうかがったお宅のほとんどに、箱に入ったままの引き出物の食器がありました。『おめでたい場でもらったものは捨てにくい』と、みなさんおっしゃいますが私は“気持ちをいただくことが大切”とお伝えしています。それに、モノは“使われてはじめて輝く”。必要な人に使ってもらえるように回していくことはモノにとっても大切です

 売る、もしくは捨てるの選択をしよう。

〜まずはコレ捨て!〜
●使い捨ての箸・スプーン

●おまけ、ロゴの入った食器

●使いにくい食器

●しまったままの引き出物

調理器具や調味料などはすべて収納。出しているのは洗剤とスポンジのみ

STEP4. リビング

【テーブルを片づけるだけで、部屋が変わる】

散らからない仕組みづくりでいつもスッキリのリビング

 家族の憩いの場であるリビングは、私物が集まりやすい場所でもある。

最初に片づけるべきはテーブルの上。テーブルの上にダイレクトメールや調味料、薬などが置かれていると雑然とした印象に。頻繁に使わないものは処分する、時々使うものは場所を移して片づけを。よく使うものはケースに入れてテーブルに置いておくと、スッキリとした印象に」

 次に手をつけるのがソファ。

「ソファの上には上着やコート、雑誌などが置かれていることが多いもの。例えば、玄関先にフックを取りつけて上着類を掛けられるようにする、ソファの隣にボックスを置くなど、家族がソファの上にちょい置きしないような仕組みをつくってみてください

 阿部さんのおすすめは“家族ごとのボックスを置く”。

「リビングにちょい置きをしたいものは自分用のボックスに入れて、各自で管理してもらうと、それだけで片づいた印象になります」

 本がぎっしりの本棚も手順次第でスッキリと。

「本棚の1段だけなら5分で片づけられます。『時間ができたらやろう』と思ってそのままになっている資格や勉強の本は、情報もどんどん新しくなりますから、手放して、本気で取り組みたくなったときに買いなおしても。私自身、何十年も本棚に入れっぱなしだった英語のテキストがありましたが、思い切って処分しました」

〜まずはコレ捨て!〜
●テーブルの上に置きっぱなしのもの

●手に取って不用だと感じた本

●1か月以上たまっている紙類

ソファの近くにちょい置きボックスを

STEP5. 洗面所

【アメニティーグッズ・試供品から処分】

 洗面所のメインの片づけ場所は「洗面台」。

「鏡の裏や洗面台下の収納には、いろいろなものが入っています。まずは試供品、ホテルのアメニティーグッズ、使用感がいまひとつの化粧品を処分

 使っていない洗剤類のボトルも処分しやすいもののひとつ。

一度使ってみて『思っていたのと違う……』となると、もうその洗剤は使わないはず。どこかのお掃除に使い切って捨てるか思い切って処分を。なくなっても困らないはずです」

 ちなみに、洗面所に洗剤類を増やさないためには次のようなコツがある。

「私の場合、住宅用洗剤はマルチクリーナー1本のみを使っています。“〇〇用”という部分専用洗剤や、大容量ボトルのものを買わずにいれば、場所を取られずにすみます

〜まずはコレ捨て!〜
●試供品、アメニティー

●使いかけの洗剤

●古いスキンケアアイテム

鏡の裏側には、洗面台で使うものだけを収納。洗面台にはハンドソープのみ

STEP6. 押し入れ・納戸

【最難関エリアは“捨てぐせ”が身についてから】

 押し入れや納戸はモノが多く、気が乗らないエリアNo1だ。

「家電や靴、おもちゃなどの箱や段ボール。空き箱はスペースをとってしまうので、まず処分を。紙袋は、『この紙袋に入る分だけ』と決めたものだけを保存し、残りはカットして棚や引き出しを仕切るボックスにしてもいい」

 また、趣味のアイテムも片づけやすいもののひとつ。

「今後、やる機会がなさそうな趣味のものは整理を。全部を処分するのが難しい場合は、5箱あるうちの1箱だけ取っておくといった具合に進めていくといいと思います」

 年賀状やクリスマスツリーのような季節の飾り物も片づけの対象に。

「年賀状も洋服と同じように期限を決めて。季節の飾り物は、子どもが巣立つとほとんど出番がなくなるものです。わが家では100円ショップでハロウィンやお正月の飾り物を2つだけ買い、使用後は処分しています」

 10年、20年使っていないものが詰め込まれていないかチェックを!

〜まずはコレ捨て!〜
●箱・紙袋類 

●年賀状

●季節の飾り物

●趣味の道具

モノを減らして。定位置を決めて管理を

捨て力に自信をつける!スモールステップ

ステップ1. 化粧ポーチ

 使っていないアイシャドーや口紅などは捨てやすいものの代表格。小さな化粧ポーチを片づけることが家という空間を片づけるための自信につながる。

ステップ2. ペン立て

 インクが出なくなったペンやスーパーの景品でもらったボールペン、切れ味の悪いハサミetc.。ギュウギュウに押し込まれているペン立てには意外と不用なものが入っている。

ステップ3. “小さな”引き出し

 洗面台やドレッサー、チェストなどの小さな引き出しも片づけの第一歩にふさわしい場所。小さければ、5分あれば中身を全部出して取捨選択をすることができる。

 教えてくれたのは……整理収納アドバイザー 阿部静子さん ●旅行会社の添乗員や航空会社地上職を経てフリーアナウンサーとして活動。49歳のときの体調不良をきっかけに整理収納アドバイザーの資格を取得。片づけメソッド講座は5年間で6000人以上が受講。著書に『ハンカチは5枚あればいい』(すばる舎)
ブログ●https://ameblo.jp/shizuko-happylife/

〈取材・文/熊谷あづさ〉