上白石萌音 ヘアメイク/山田佳苗 スタイリスト/嶋岡隆、北村梓

 11月1日にスタートする連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』は、朝ドラ初となる3人のヒロインが登場。大正14年に岡山で生まれた初代ヒロイン・安子を演じる上白石萌音をインタビュー。スタートを前に、先出しストーリーも!

英語に夢中になった過去

「中学1年生でデビューしたときにやっていた“朝ドラ”が井上真央さんの『おひさま』で、毎日録画して学校から帰って正座して見ていました。毎日楽しみでしたし、いつの間にか“朝ドラ”というものへの憧れに自分が目覚めているのに気づいて。誰にも言ってはいませんでしたが、その思いはずっと温めていました」

 3世代の3人のヒロインが紡いでいく『カムカムエヴリバディ』で、大正から昭和を生きた初代ヒロイン・橘安子を演じる上白石萌音。憧れの現場は毎日が楽しいと話す。

「私、昭和っぽいって言われることが多くて(笑)。個人的にも現代劇より昭和以前の役のほうがしっくりきています。安子は14歳から演じるんですが、いまの14歳の子よりも幼かったり、ときには大人びていたりするので、役をつかむのが結構大変。カットがかかって監督から“安子ちゃん、14歳ですよ”って指摘されたことも(笑)。とにかく表情や声の出し方を意識して、心の中で“14歳”って思いながら演じていました」

 岡山で生まれた安子は、ラジオ講座との出会いをきっかけに英語に夢中になっていくが、上白石自身も同じ経験をしたことがあるそう。

「小学校3年生から5年生までメキシコに住んでいたんですが、帰国してからなぜか英語に目覚めて、塾に通ったりして勉強していました。Rの発音が好きなんです、英語しゃべっているなって感じがして。“REALLY”みたいにRのあとにLがくると超楽しくて、思わず陶酔していました(笑)」

 英語を勉強したおかげで、海外でこんな思い出が。

「3年くらい前に初めてひとりで海外に行きました。行き先はロンドンで、舞台をたくさん見たんですが、向こうの観劇スタイルってフランクで、着席すると隣が見知らぬ人でもしゃべりかけるんです。それで、若いカップルの方が“今度、日本に行こうと思って”と話しかけてきたんですが、すごく仲よくなって、最後は別れが名残惜しくなり、ハグして帰りました(笑)。そんな素敵な思い出ができたので、英語を勉強していてよかったなと思いました」

【お兄ちゃんとのウラ話】

 安子のお兄ちゃん役の濱田岳さんとは、初めて映画で主演した『舞妓はレディ』以来でご一緒して。岳さんは私をご飯に連れていきたかったみたいなのですが、このご時世なので叶わなくって。そうしたら、全部の撮影が終わったあとに、出演者とスタッフ全員のメッセージが入ったアルバムをいただいたんですが、そこに岳さんは“いつ飲みにいく?”って(笑)。何年かかってでも実現させたいですね。

見どころを紹介!

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』NHK総合

 朝ドラ初となる3人のヒロインが登場する『カムカムエヴリバディ』。大正14年に岡山で生まれた初代ヒロイン・安子を上白石萌音。安子の娘で、昭和30年代の大阪から始まる2代目ヒロイン・るいを深津絵里。そして、るいの娘で昭和40年代の京都から始まる3代目ヒロイン・ひなたを川栄李奈が演じ、ラジオ講座とともに歩んだ3世代の親子の、100年にわたる家族のストーリーが紡がれていく。

 最初の岡山編では、『たちばな』という和菓子屋に生まれた安子が、ラジオ講座との出会いをきっかけに英語を学び始め、人生を切り開いていくことに。はたして、親子3世代に渡るバトンは、どのように受け継がれていくのか。波瀾万丈の物語は、朝から見逃せない!

“カムカムエヴリバディ”とは何?

 戦後に放送開始した、平川唯一さんが講師を務めたNHKラジオ英語講座のオープニング曲のタイトル。当時この曲が流れると、大人から子どもまで明るい歌声に励まされた。そこには、戦後の重苦しい日本を明るくしたいという平川さんの願いもあった。“カムカムエヴリバディ”は、いまを生きる人たちの未来を切り開くパワーワードになるのではという思いも込めて、このタイトルに決定したそう。

先出しストーリー

【第1週】

 岡山の和菓子屋に生まれた安子は、あんこの甘い匂いに包まれて成長し14歳に。ある日、店番をしていると、雉真繊維の跡取りで、大学生の稔がやってくる。偶然、稔が英語を話せることを知った安子は。ラジオ英語講座のことを教えてもらい、英語に夢中に。と同時に、稔にも次第に恋心を募らせていくが、それを知った稔の弟で同級生の勇から、跡取りの兄とは釣り合わないと言われてしまう。

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』NHK総合

【第2週】

 安子は夏休みが終わり大学のある大阪に帰った稔と文通を始めていた。そんな中、ダンサーを目指していた兄の算太が、借金問題で家から勘当される。安子は家業を継ぐ婿を迎え入れるべく見合いをすすめられ、気持ちを整理するため稔に会いに大阪へと向かう。一方、勇も安子に思いを寄せていて、甲子園に出場できたら気持ちを伝えようと練習に励むが、戦争の影響で大会が中止になり……。

11月1日スタート
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
NHK総合 月曜〜土曜 朝8時〜ほか

初出:週刊女性2021年11月9日号/Web版は「fumufumu news」に掲載