ゆたぼんの父・中村幸也氏の選挙ポスター(ツイッターより)

 あの“少年革命家”がまたもネット上で大きな物議を呼んでいる。

 沖縄在住の不登校YouTuberとして知られるゆたぼんが、26日、『RBC琉球放送』の画面に映り込んだ。なんと31日投開票の衆院選の政見放送の画面に、だ。

「ゆたぼんくんの父親・中村幸也さんが沖縄2区から『NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で』(NHK党)の公認を受け立候補しています。その政見放送で流された動画では、文部科学省の前で幸也さんが“教育のあり方を変えるべき”という主張をしているのですが、隣にはゆたぼんくんの姿も。学校に合わない子には別の場で学べる環境を作っていきたい、そう父親が主張する最中、彼も“死にたくなるくらいなら学校に行かないほうがいい”とコメントをしていました」(スポーツ紙記者)

ゆたぼんは「選挙活動に加担している」

 ゆたぼんは当時通っていた小学校で、宿題をやらなかったことをきっかけに担任とトラブルになって以降、不登校に。中学1年生になった現在でもまだ学校に通わない選択をとっている。父の政見を体現している彼が放送でコメントをすることで説得力が生まれそうなものだが……。

ネット上ではそれが“公職選挙法の『未成年者等の選挙運動の禁止』に抵触するのでは?”という声が出ているのです。あくまでゆたぼんは“投票してほしい”といった直接的な表現こそしていないものの、幸也さんは彼の不登校をきっかけに出馬を決めたことは明らかですし、そもそも政見放送は公職選挙法に基づいて行われている主張や公約を訴えることのできる政治活動の場。ゆえに出演している時点で政治活動に加担しているのではないか、とも考えられますね」(同前)

 総務省のホームページにある『未成年者等の選挙運動の禁止』の項目のなかには以下のような条項が記されている。

《(年齢満十八年未満の者の選挙運動の禁止)
第百三十七条の二 年齢満十八年未満の者は、選挙運動をすることができない。
 何人も、年齢満十八年未満の者を使用して選挙運動をすることができない。ただし、選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない》

 翌27日のNHKで放送された政見放送にもゆたぼんはVTR出演というかたちをとって、自らが不登校になった経緯などを熱弁している。また、現地にはふたりそろって選挙ポスターに登場。炎に包まれたふたりが拳を正面に向けており、その中央には『ゆたぼん党』の文字。ゆたぼんの手にはボクシンググローブがはめられていた。

選挙ポスターを貼りつける中村幸也氏(ツイッターより)

 果たしてこういった行為は公職選挙法の『未成年者等の選挙運動の禁止』に反しているのだろうか。沖縄県の選挙管理委員会に問い合わせてみたところ、次のような回答が。

政見放送に出演すること自体を公選法で禁止されているものではないのですが、子どもさんが選挙理念への働きかけを行っていると認められる場合は、未成年者の選挙運動にあたる可能性があるという実例もあります

警察の捜査が行われたうえで

 今回のゆたぼんのケースに関しては、

選挙管理委員会としましては個別の事案についてこれが運動にあたるか否かについての判断する権限がありません。選挙運動の違反については罰則等もありますので、具体的な事案ごとに、警察の捜査なりが行われたうえで事実を認定して、司法判断に委ねるということになります

政見放送に登場したゆたぼん(YouTubeより)

 ゆたぼんのケースが違反かどうかに関しては今後に持ち越しということになるが、過去にもこのような「未成年が選挙運動に参加した」と疑惑が噴出したことがあった。

2005年に新党大地で比例当選した鈴木宗男の娘・貴子さん(当時19歳)が地元の北海道で演説に帯同していたことが問題になりました。父親とともにマイクを握って“父には政治しかありません!”と声を張り上げ、名刺を配ったりもしていましたね。当時、宗男さんは収賄罪で控訴中だったのですが、娘さんの応援もあり当選と相成りました」(全国紙記者)

 持ち上がったそんな疑惑について『週刊朝日』(2005年9月23日号)は貴子氏本人を追及している。彼女は「政治家鈴木宗男を応援しているのではなく、娘としてお父さんを支えているだけです」としており、違反にあたらないと主張。さらに、記事にはこのような記述があった。

疑惑がささやかれたとき、事務所を通じて選管に問い合わせ、「家族なら大丈夫」と「潔白」を確認しているという

 その後、娘である鈴木貴子は2012年に鈴木宗男に代わって出馬し、繰り上げ当選を果たしている。ゆたぼんは果たして──。