安藤玉恵(左)と木村多江(右)、ふたりが着けている“のほほん”の文字をデザインしたイヤリングが超キュート

 人気お笑いコンビ、阿佐ヶ谷姉妹のエッセイをドラマ化した、よるドラ『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(11月8日スタート、NHK総合月曜夜10時45分~)に主演する木村多江と安藤玉恵。

 東京・阿佐ヶ谷の6畳一間のアパートで共同生活を送る擬似姉妹の日常を描いた作品の魅力をQ&A!

プレッシャーは「ゼロでした」

Q 出演オファーを受けたときの感想は?

木村多江(以下、木村) 最初はピンとこなかったけど、よくよく考えたらネタもやるし大変なことになったぞ、と。阿佐ヶ谷姉妹さんについての情報量はテレビを見ている方たちと同じなので、演じられるのかとても不安になりました。

 でも実際にお会いしたらとっても魅力的な方たちで、これをお芝居にしたらとっても楽しそうと思いました。原作を読んだときはのほほんとしたやさしい気持ちになりました。

安藤玉恵(以下、安藤) 原作エッセイと脚本はおもしろいし、制作スタッフの雰囲気もいい。阿佐ヶ谷姉妹さんの人気に便乗しまして、おもしろい作品になるだろうという予感があり、プレッシャーはゼロでした(笑)。

 現在はドラマの撮影が半分終わりました。のびのびと演じていますね。多江さんがエリコ役と伺ったときは15年ぐらい前に義理の姉妹の役だったことを思い出しました。

Q 阿佐ヶ谷姉妹と対面した印象と役作りは?

木村 (渡辺)江里子さんがちょこちょこ動いて、(木村)美穂さんは動かない(笑)。ときどき美穂さんがボソッというひと言に対して江里子さんがちゃんと拾ってあげて温かく包んでいる印象で映像とは違うおふたりを見たような感じでした。(ドラマでも)普段から補い合って支え合っている雰囲気を出せたらいいなと観察させていただきました。役作りでは江里子さんのちょこちょこ動きと早口を取り入れました。

安藤 多江さんとドラマでの関係性ができているので、取材で私がひと言も話さなくても大切なことはきっと多江さんが話してくれると思って甘えちゃっています(笑)。美穂さんは江里子さんに返答する間が独特なので役作りに生かしていたり、じっくり考えて話すところや、突然おもしろい話をされるところも取り入れています。

Q 姉妹のシーンで意識したことは?

木村 玉ちゃんはときどき安藤玉恵がダダ漏れするんです。それをみんなが止めることはありますね。

安藤 アドリブですね(笑)。

木村 撮影の合間はセリフ、歌、ネタを暇さえあれば練習していて、本番で玉ちゃんが勢いで仕掛けてくるアドリブに笑わずにツッコめるようにしています。その練習の成果がドラマに出ているといいなと思っています。

安藤 阿佐ヶ谷姉妹さんの独特な空気感が伝わるとおもしろいと思うし、セリフのないシーンでも空気感を楽しんでいただけるといいなと思います。

Q 見た目で意識したことは?

木村 江里子さんの髪の長さよりちょっと長めにして(雰囲気などを)似せたり、メガネもいろいろ試しました。いま使っているのは魔法のメガネで、ものすごく江里子さんっぽくなりました。そのメガネに出会えたことでビジュアルは近づけたかなと思います。

安藤 美容室に写真を10枚ぐらい持ち込んで美穂さんに見えるような髪型にするために前髪のサイドを丸くしました。洋服はエッセイにもある無地のロングTシャツにTシャツを重ね着する美穂さん流おしゃれスタイルにしています。

木村 (玉ちゃんが)ちょっと猫背にしているのも似ている。

安藤 身長差も似ていて、多江さんがちょっと高いです。ピンクのドレスを着て阿佐ヶ谷で撮影したときには遠くで見ていた人に“あっ阿佐ヶ谷姉妹だ”と言われて安心しました。ふたりでピンクのドレスを着るシーンはワクワクします。

木村 似ていると信じて演じています。

Qネタに挑戦した感想は?

阿佐ヶ谷姉妹に扮した木村多江(右)と安藤玉恵(左)

木村 阿佐ヶ谷姉妹さんにお会いしたときに玉ちゃんが“ふたりの前でやろう”ととんでもないことを言い出すんです。“怖いものがなくなるから”って練習していたネタをやらせていただきました。(ドラマでも)素人が頑張って阿佐ヶ谷姉妹さんのマネをしているとお許しをいただけたら。

安藤 ネタをやるというより演じている気持ちですね。

木村 ちゃんと笑わせるのは間が数秒でも違うとおもしろさが変わってしまう。芝居は音楽やカメラワークでおもしろさを演出してもらえるけど、ふたりだけで勝負するというのはおもしろい反面、芸人さんの大変さを実感しました。

 (役に影響されて)最近は芸人のような気分にもなっていて、どうにか売れないものかしらと思うほどです(笑)。

安藤 ネタを生み出す苦しさも描かれていて、お互いをより観察してさらにおもしろくする作業は難しいですよね。

木村 私たちができないことをやっているので尊敬でいっぱいです。

安藤 そうですよね。

Q 阿佐ヶ谷姉妹のような関係性に感じることは?

木村 演じて思ったのは玉ちゃんがいると安心する。ほかの共演者と芝居するときに玉ちゃんがいなくなると急に不安になる。そういう存在がいることは心強くて安心できます。いろんな人と関係を築くのは大変でストレスを感じている方も多いと思いますが、安心できる人がいるっていうのは幸せなことだと思いました。阿佐ヶ谷姉妹さんのお互いを傷つけ合うことなく補い合って助け合って支え合っている姿はうらやましいと思います。

安藤 それに加えてふたりでツッコみ合っているのも好きです。作品を通して思ったのは、とっても親しい人、一生を一緒にいたいと思える人はひとりでいいんじゃないかと思いました。いろんな人とたくさんつながらなくても、ひとりでもわかり合える人がいれば心強いし、十分だと思います。おふたりのことを考えると温かい気持ちになります。

Q ドラマの見どころは?

木村 阿佐ヶ谷姉妹さんは、なんでもない日常でのやさしさや、ささやかな幸せを体現され、ネタにもなっている。阿佐ヶ谷姉妹さんの恩恵にあずかって私たちも伝えられるのはすごく幸せだなと思って演じさせていただいています。

安藤 エッセイを読んで“命を大事にしている”と感じました。植物や小動物など自分以外の命にも気持ちをはせる。そういうことが伝わるといいなと思います。

よるドラ『阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし』(11月8日スタート、NHK総合月曜夜10時45分~)

【あらすじ】“阿佐ヶ谷姉妹”という擬似姉妹の芸人として活動しながら、アルバイトで生計を立てているエリコ(木村多江)とミホ(安藤玉恵)。見た目は似ているが性格は対照的なふたりが東京・阿佐ヶ谷のアパートでの同居生活、大家や街の住民たちとの心温まる交流を描いたホームドラマ。

初出:週刊女性2021年11月16日号/Web版は「fumufumu news」に掲載