お見合いは、言わずと知れた“結婚をしたいと思っている男女が出会う婚活方法”のひとつです。どんなお相手を選ぶかは、まずはプロフィールに記されている情報を見て判断します。しかしながら、実際にお会いしてみると、文字や写真の情報ではわからなかった驚くべきリアルに直面することが多いのです。 

 ライターをしながら、仲人として婚活に関わる筆者が目の当たりにした婚活事情を、さまざまはテーマ別に考えていく連載。今回は、『プロフィールだけではわからない。お見合い現場に現れた驚くべき言動を放った男たち』です。

自分本位での言動をしていたら、結婚までは辿り着きません(写真はイメージです)

まるで映画やアニメの天才博士の風貌

 よしみさん(38歳、仮名)は、教員をしています。今の時代、先生は担任を持ったり、教科を教えたりするだけはでなく、生徒指導や部活動の顧問や研究授業などにも関わり、本当に忙しい職業です。ですが、よしみさんは、教員という職業が好きなので、できることなら結婚をしても、仕事はずっと続けたいと考えていました。

 そうなると民間企業で働く男性よりも、同業者のほうが仕事をより理解してくださるのではないかと思っていたのです。そんなときに、大学の研究室で働くというみきおさん(41歳、仮名)からお申し込みがあり、それを受諾しました。

 そして、2人はお見合いをすることになったのです。ところが、お見合いを終えたよしみさんから、「今回は、お断りでお願いします」という、連絡が入ってきました。

 お断りの理由は、こうでした。

「ティーラウンジの入口で待っていたら、ヨレヨレのスーツに、ボロボロのリュックを背負って現れたんです。髪はボサボサで、映画やアニメに出てくる、何かを研究している変わり者の博士のようなイメージでした。そして、手に持っていたビニール傘の柄のところには、謎のガムテープがグルグルグ巻きにされていてて。一流ホテルの落ち着いた雰囲気の中で、ひときわ異彩を放っていました」

 そして、案内された席に着席したとたん、身体がガタガタ震え出したというのです。

「どうしてこんなに震えているんだろうと思っていたのですが、10分くらいしたら落ち着いたので、緊張なさっていたのでしょうね。で、話を振るのは私ばかり。会話はまったく盛り上がらなくて、30分もしないうちに話がつきてしまいました。なのに、『まだ1時間経っていないから。仲人から見合いは1時間と言われているので』と、席を立とうとしないんです。ひたすら苦痛の時間で、30分が3時間くらいに感じました」

 高学歴で収入もしっかりある方。でも、人とコミュニケーションを取るより、ご自身の研究に没頭することのほうが性に合っているタイプなのでしょう。

「そうした彼の個性を面白がれる女性ならいいかもしれませんが、私は、お付き合いしていくのは、難しいと感じました」

鼻を噛んだティシュでテーブルを拭く

 大学院卒の大手企業に勤めるまさるさん(38歳、仮名)とお見合いしたのは、あつこさん(34歳、仮名)。

 お見合いを終えて、あつこさんから、こんな連絡がきました。

「ホテルのティーラウンジ入口であったときから、やたらと鼻を啜っていて、なんとも体調が悪そうでした」

 体調の悪い方との会話は避けたいと、誰もが思う時節柄です。とはいえ、ホテルの入口には、検温器と消毒用のアルコールが設置されていたので、「熱はないのだろう」とあつこさんは思いました。

「着席してからも、ずっと鼻を啜っているんですよ。『風邪ですか?』と聞いたら、『いや、花粉症で』と」

 そして、まさるさんは、その後に驚きの行動に出ました。

「バッグの中からティッシュを取り出して、マスクを外して鼻をかんだんです。そうしたらそのティッシュを広げて、自分がかんだ鼻汁を確認して、それがあまりついていなかったからなのか、ティッシュを四つ折りにして、テーブルを拭き出したんです。もうびっくりしてしまいました」

 頼んだコーヒーが運ばれてきて、テーブルの上に置かれたそうですが、それをあつこさんは、どうしても飲む気持ちになれなかったそうです。

「彼は、何くわぬ顔で飲んでましたが、一刻も早くお見合いを終えて、逃げ帰りたい気持ちになりました」

 結局、お見合いは30分で終了。「駅までご一緒しませんか?」というまさるさんの言葉に、「ちょっとトイレに寄っていきますので」とその場を、逃げるように立ち去ったあつこさんでした。

初めてのデートで不妊治療の話

 めぐみさん(28歳、仮名)は、小学校から大学まで名門の私立校育ち。大学時代に、男性と2人きりで食事をしたり、映画に行ったりしましたが、彼氏彼女としてお付き合いするほど深い交際をしたことはありませんでした。

 そんなめぐみさんは、「恋愛経験もないし、男性に免疫もないので、相談所で身元のしっかりした男性に出会って結婚をしたい」と考えて、入会をしました。

 とても可愛らしい女性だったので、たくさんのお申し込みが来たのですが、そんな中から、たかあきさん(33歳、仮名)からの申し込みに受諾をし、お見合いが成立しました。たかあきさんは、お医者様でお若いながらも高収入者でした。

 生まれて初めてのお見合いを終えて、結果報告の連絡を入れてきためぐみさんは、少し戸惑っている様子でした。

「お見合いの席で、『結婚したら仕事は辞めて、家のことをしっかりやってほしい』と言われたんです。まだ、どんな方かもわからないし、お付き合いするかどうかも決まっていないのに、そんなことを言われても、どうお答えしたらいいかわかなくて。お見合いって、みなさんが、こうした結婚後の具体的な話をするんですか?」

 それは、人によります。ただ、たかあきさんのように、結婚後のご自身の希望や理想を、お見合いの席で語ってしまう男性は、意外と多いのです。

 しかし、そうした話を前向きに聞いている女性は、ほとんどいません。例えば転勤が多いので、それについてきてほしい。子どもが生まれたら、子育てを優先して仕事はセーブしてほしい。結婚しても共働きを希望している。そうした話は、女性が男性のことを好きになってからの話。好きになっていれば、「だったらそうしよう」という気持ちも芽生えるのであって、まだ相手のことを何もわかっていないのに、「将来的にこうしてほしい」という話をされても、ピンときませんし、どう答えていいのかもわかりませんよね。

 たかあきさんとのお見合いを終えて、交際希望を出すか、お断りを出すか迷っていためぐみさんですが、私の、「お断りはいつでもできるから、迷っているならもう一度お会いしてみたら?」という言葉に交際希望を出しました。

 ところが、初めてのデートを終えて、「交際終了でお願いします」と連絡を入れてきました。その理由がこうでした。

「話の話題がすべて結婚してからの話なんです。『趣味は、なんですか?』とか『休みの日は何をしているんですか?』とか『どんな食べ物が好きですか?』とか、そんな質問は一切なくて。『結婚したら、ああしてほしい、こうしてほしい』のリクエストばかり。

 で、出産の話になったので、私が話題を変えようとしたんです。『お仕事がお休みの日は何をしていらっしゃるんですか?』と聞いたら、その質問は無視して、『子どもは20代のうちに産んだほうがいい』と言ったかと思ったら、不妊治療の話を始めたんですよ。もう、心の中で『いい加減にして!』と思いました。私まだ28歳ですし、不妊治療の話をされてもピンときません

 医学的見地からいったら、確かに出産は20代でしたほうがいいのかもしれません。しかし、目の前にいる女性とは、1時間程度のお見合いの後に交際になって、初デートをしているのです。そのお相手に不妊治療の話をするのは、あまりにも場違いです。

 お見合いの服装にしろ、行動にしろ、話題にしろ、お相手がそれをどう受け止めるのか、その想像力が大切です。自分本位での言動をしている方は、何度お見合いを繰り返しても、結婚までは辿り着きません。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊100日で結婚(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル