昨年12月の『オー!マイ・ボス!』のロケに参加する上白石萌音

「いけんいけん! 離さんで~」

 不安な表情で自転車に乗る少女が叫ぶと、後ろで青年が笑顔で荷台を支える─。

 11月4日に放送されたNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』のワンシーンだ。今回の朝ドラには、初めての試みがあって……。

「昭和、平成、令和の3世代にわたって、ラジオ英語講座をテーマに、ヒロインが恋愛、仕事、結婚に奔走する物語。朝ドラでは初となる祖母、母、娘という3人のヒロインが登場します。祖母役を上白石萌音さん、娘役を深津絵里さん、孫役を川栄李奈さんが演じます」(スポーツ紙記者)

 冒頭のシーンは、上白石と彼女が憧れる青年役、Six TONES(ストーンズ)の松村北斗との“自転車デート”でのやりとりだ。

「上白石さんは岡山県の和菓子店で生まれた看板娘役で、松村さんは家業の繊維業を海外に展開することを夢見る大学生役。ふたりの甘酸っぱい関係からも目が離せませんが、これから太平洋戦争など、さまざまな試練に巻き込まれていきます」(同・スポーツ紙記者)

歌と踊りが大好きだった幼少期

 上白石は鹿児島県で育ったが、子どものころから表舞台への憧れがあったようだ。

「小学校に入る前、親戚が入所している老人ホームで妹の上白石萌歌さんと2人で、ステージに立って歌を披露したんです。歌と踊りが大好きで、小学生のころはミュージカルスクールに通っていましたよ」(テレビ局関係者)

 '11年に第7回『東宝「シンデレラ」オーディション』で審査員特別賞を受賞し、芸能界に足を踏み入れた。

 高校から東京に上京し、都内の高校に進学。一見、順調にスターダムを駆け上がったかに見えるが、今年9月に発売した自身のエッセイ『いろいろ』(NHK出版)の中では、当時の苦悩を明かしている。

《高校一年で上京してしばらくは都会を相手に過剰にビクビクしていて、「馴染めなかったりいじめられたりしたらどうしよう」とネガティブな気持ちでいっぱいだった》

 自分に自信が持てなかったようだが、学内では“あること”でも目立つ存在だった。

「萌音ちゃんは運動神経が抜群で、リレーの選手に選ばれていましたよ。足も速いし、体育のソフトボールでもヒットを連発。仕事と体育祭の日程が重なったときは、リレーだけ走りに来たことも(笑)」(上白石の知人)

 鹿児島を離れて10年近くたつが、地元愛は健在だ。

「'19年に中学校、昨年は小学校が創立30周年を迎えました。中学校の創立イベントでは、萌音さんが登壇して生徒たちにメッセージを送ったそうです。小学校には、コロナ禍であることを考慮して、萌歌さんと一緒にビデオメッセージを送りました。生徒たちは大喜びだったといいます」(地元住民)

 芸能界に入って3年後の'14年に公開された映画『舞妓はレディ』で初主演を務めたが、そこでは大成する予感を感じさせるエピソードが。

「撮影期間中、キャストやスタッフでお酒を飲みながらバーベキューをしたとき、上白石さんは長谷川博己さんや富司純子さんなどそうそうたる面々にも臆せず、いろんなテーブルを回って積極的に話しかけていました。彼女は当時未成年だったのでジュースでしたが、すっかり飲み会に溶け込んでいましたよ(笑)」(前出・テレビ局関係者)

 ここ数年は多くのドラマに出演し、仕事が途切れないが、そこには地道な努力があって─。

“色分け台本”で役作り

昨年12月の『オー!マイ・ボス!』のロケでは、休憩中にけん玉の練習をしていた

「台本を覚えるときに蛍光ペンや色ペンを使うのですが、その際“自分が演じる役がおとなしい役なら暗い色”“ハキハキした役なら明るい色”と塗り分けているんです。“色分け台本”のおかげで、すぐに役に入り込むことができるようです」(芸能プロ関係者)

 女優、歌手に加えて、上白石は大学生の顔も持つ。大学内でも、評判は上々だ。

「入学前に英語力を試す試験があり、その成績でクラス分けされるのですが、萌音ちゃんはトップクラス。授業態度もまじめで、知的財産や文化に関する講義を受けているところを見ました。人当たりがよく、クラスのグループLINEにも入っているそうです」(同じ大学に通う学生)

 

 同じ芸能界で活躍する妹の萌歌とは、よきパートナーとして支え合っている。

上白石萌歌

「都内のマンションで一緒に住んでいます。仕事、趣味、プライベートなことも、すべてさらけ出せるみたいですね。どちらかの舞台の初日には、手紙で“がんばって”など、ひと言メッセージを書くのが恒例なんだとか」(前出・芸能プロ関係者)

 そんな“姉妹ルーティン”を欠かさない一方、一緒にカラオケへ行くことも。

「2人とも、最近のJ-POPから'80年代の懐メロまでレパートリーが豊富。萌音ちゃんは、aikoさんの『キラキラ』やRADWIMPSの『前前前世』をよく歌うそうです。そのほかにも、JUDY AND MARYやキャンディーズの曲も歌えるんですよ」(同・芸能プロ関係者)

 コラムニストのペリー荻野さんは、上白石にはあの“国民的女優”の面影があると指摘する。

“トンチンカン”女優との共通点

「綾瀬はるかさんのように“トンチンカン”が似合うと思います。ちょっとドジな役を演じても視聴者は受け入れてくれて、さらに応援したくなる親戚の子のような魅力があります。毎朝、顔を見ることになる朝ドラにはうってつけ。そうした役は一歩間違えると嫌みに見えてしまうので、演じられる女優は実は多くありません」

 たしかに、昨年放送された『恋はつづくよどこまでも』、今年1月の『オー!マイ・ボス! 恋は別冊で』(ともにTBS系)と、ドジながら成長する役が続いた。こうした役を演じるタイミングも重要だという。

「例えば、仕事をバリバリこなす役や悪女役を演じた後に、ドジな役に戻るのは難しいです。その点、彼女は10代で『舞妓はレディ』の純粋な少女役、20代でドジながら成長していく女性役と、年齢を重ねるとともにいい役に恵まれていると思いますよ」(ペリーさん)

“萌音旋風”がカムカムすること間違いなし!?