創作活動20周年を記念した初の大規模展を開催。粘土を使ったシュールな世界観が注目され、出演ドラマでは自作の小道具が注目されたことも。アーティスト、俳優として個性が光る本人を直撃!

片桐仁 撮影/齋藤周造

コロナで中止されていた個展が開催

 俳優、芸人、彫刻家として活躍する片桐仁が、20年以上にわたり作り続けてきた作品を網羅する『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』を11月20日から東京ドームシティのギャラリーアーモで開催する。

 当初は昨年3月に予定されていたが、新型コロナウイルス感染状況とイベント等の自粛要請のため中止されていた。

「お客さんと一緒に粘土を使って作品を作り上げるワークショップなどを3つくらい企画していましたが、感染対策で全面的に見直すことになりました。1年8か月を経て、ようやく開催できることになり楽しんでもらえることをいちばんに考えました」と片桐。

 “公園魔”と題した高さ4メートル、幅5メートルを予定している巨大ランドマークをはじめ粘土作品百数十点、『TVブロス』での連載絵画も百数十点、ほかに写真や自粛期間中に家族と始めたYouTubeでの作品、ペイントアートした愛車、アーティストとしての創作年表、さらには初公開の学生時代に描いた絵画などが展示される。

個展のランドマークになる鬼がモチーフの“公園魔”の模型(イメージ)

「ギャラリーは体育館ぐらいの大きなスペース。展示数を含めて初めての大規模な個展です。公園魔は滑り台ができるようにしたかったけど安全面などを考慮して断念しましたが、写真撮影ができるスポットを用意します。ワークショップは土偶をデザインしたサンバイザーが作れるペーパークラフトや粘土での風鈴作りができます」

不条理アート展は8万人を動員

 片桐は多摩美術大学時代に小林賢太郎とコントグループ「ラーメンズ」を結成。1999年の『ヤングマガジンアッパーズ』連載をきっかけに、日用品や電化製品などあらゆるものに“粘土を盛る”をコンセプトに創作してきた。

 2015年~2018年に全国10か所以上のイオンモールで開催した不条理アート粘土作品展『ギリ展』は約8万人を動員。2019年の海外での初の個展『技力展台湾(ぎりてんたいわん)』は独自の世界観が評判を集めた。

 スマートフォンのiPhoneケースは、鯛(たい)をかたどった“鯛Phone”、目を模した“eyePhone”、モアイ像の“モiPhone”などを創作、愛用している。

左から“eyePhone”“モiPhone”“鯛Phone”。作品にもよるが制作期間は1週間から1か月を要する
“鯛Phone”のケース内側には鯛の骨を精巧に再現

「コミュニケーションツールとしてウケたいと思ったのがきっかけで作品を持ち歩きはじめました。ケースは携帯を買い替えるたびに作るので“ガラ携”と合わせると18個くらいあります。

 “eyePhone”や“鯛Phone”を首から下げていると日本人は見て見ぬふり。子どもとおばあちゃんしか声をかけてきません。でも海外では外国人にウケがめちゃくちゃいい。“What is This?”と声をかけられて、“My iPhone”と“eyePhone”を見せると大爆笑してくれるのを見て、言葉も国境も越えられると自信になりました

発想はダジャレです

 ご当地作品も手がける。“うどん県”香川県でのイベント用に作った“ウドンケンシュタイン”。青森県の縄文遺跡群を訪れた際にヒントを得た、遮光器土偶を模したペットボトルホルダー“ペットボ土偶”などがある。

「発想はダジャレです。ダジャレを思いついたときは最高! 思いつかないときは地獄です」

 俳優としての活躍も目立ち、ドラマ『99.9ー刑事専門弁護士ー』『あなたの番です』などで存在感を発揮。『99.9──』ではカレイの形をした自作のスマホケース“カレイPhone”が話題を集めた。その劇場版(12月30公開)では“モiPhone”が小道具として登場する。『あな番』も映画化され12月10日に公開される。

「テレビ、映画、舞台は演出家、カメラマン、照明、音響といったスタッフがいるなかで俳優というポジションを全うするだけだと思っています。でもアーティストはすべてを自分でできるので、僕にとっては趣味のひとつでストレス発散になります。アーティストとして売れたい、成功したいという気持ちもあるけど、ただ好きで作っているのが本音なので(俳優業との)並行は苦にならないです

愛車にフイルムを貼って大好きな土偶をペイントアート! 車のライトは遮光器土偶の目に 撮影/齋藤周造

立体物を作る手触りに開眼

 子どものころから絵が好きで、美大を目指した。

「美術、図工以外の授業は大嫌いで、ゴッホになりたかった。美大に入ったら画家で食べていけると思っていたけど、入学したらすごい世界にきちゃったなと。絵がうまいから美大に入れたと思ったら“うまくてどうする”と先生に言われ、(僕より)絵がうまい人もいっぱいいる。芸術に対してネガティブになってお笑いを始めるようになりました」

 暗澹(あんたん)たる気持ちを救ってくれたのが粘土だった。

「粘土を使う授業で、作品がうまくできて絵が上手な同級生から一目置かれました。立体物を作るときの触り心地に開眼する感覚がありました」

 粘土との出会いによって多彩な道が開けた。

学生時代の油絵とか恥ずかしげもなく展示します。見に来てくれた子どもたちに“こんなもんか”と思ってもらえれば(笑)。美術館や絵に興味がなくても子どもの創作意欲をかき立てられるような、参加している気分になれる個展にしたいと思っています」

 “アーティスト”片桐仁の今昔をまるわかりできる。

『粘土道20周年記念 片桐仁創作大百科展』
11月20日(土)~12月19日(日)/東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)/11:00~19:00(最終入館は閉館30分前)/前売り入場料:大人(高校生以上)1000円(当日1200円)、小・中学生600円(当日800円)、未就学児童無料 ※ワークショップは別途料金

初出:週刊女性2021年11月23日号/Web版は「fumufumu news」に掲載