吉沢亮 撮影/渡邉智裕

「栄一も晩年になり80歳、90歳くらいになってくるとやっぱり演じるのが難しいです。あまり年齢を意識しすぎると、彼の持っている勢いみたいなものが落ちてしまう。

 栄一は置かれている立場がどんどん変わっても、情熱を持ってときに空回りしながらやっていくスタイルは最後まで変わらないんです。あくまで第1回から続いているエネルギーは最後まで持っていたいので、そこをいちばんに考えて演じています」

三野村愛が画面から滲み出た!?

 12月26日の最終回に向け、さらなる怒濤の展開で盛り上がりを見せる『青天を衝け』。クランクインから1年以上。13歳から91歳までの栄一を演じる吉沢は、楽しさとともに寂しい気持ちも味わっているそう。

大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 日曜夜8時〜ほか)

「最初から一緒だったのがもう喜作(高良健吾)だけなんです。みんないなくなっちゃったから寂しさも感じています。別れのシーンはどれも印象的ですが、やっぱりお千代(橋本愛)の死は急すぎたしつらかったです。撮影も亡くなるシーンが最後だったんです。当初からずっと支えてくれたお千代が、これを撮ったら終わってしまうんだという寂しさで、現場では号泣してしまいました」

 明治編に入りクセのあるライバルたちが続々と登場したが、吉沢自身はこの人物とのシーンに気持ちが昂ったと話す。

「イッセー(尾形)さん演じる三野村です。クセの強い栄一をあそこまで振り回すことができる数少ない人物だったので、お芝居をしていて楽しかったです。

 何といっても、イッセーさんのコミカルで憎たらしい芝居は本当におもしろかったですし、めちゃくちゃ刺激になりました。僕自身、三野村という人物が好きになったので、もしかするとその愛が画面から滲み出ちゃっていたかもしれません(笑)」

撮影中は我慢、終わったらやりたいこと

 一方、栄一が生涯慕い続けた慶喜を演じる草なぎ剛からはこんな刺激を受けた。

吉沢亮 撮影/渡邉智裕

「栄一と慶喜の関係性に引っ張られているのかわからないんですけど、草なぎさんに対する緊張感は僕の中にまだあって。というのも、草なぎさんのお芝居って、次に何を考えどうくるのか、まったくわからないんです。

 それがまるで慶喜みたいですし、心を探られている感覚になるというか、いい意味で不安になるときもあるんです。だから、現場では2人で相談するというよりも、お互いから滲み出るものをキャッチボールしながら演じるみたいな空気感で。すごいなって思うこともたくさんあったし、いろんな刺激を受けました」

 そんな吉沢は、撮影が終わったら思い切りやりたいことが。

「ゲームですね。スマホでもやるし、据え置きのゲームもやります。ゲームをやっているときがいちばん集中しているかな(笑)。1回やり始めると時間を忘れちゃうので、撮影中はそんなにゲームに触れていなかったんです。なので、撮影が終わったら溜まったゲームを、がっつりやろうかなと思います(笑)」

■クライマックスのココが見どころ!

 この先、慶喜とは泣けるシーンばかり。最後の2人のシーンは、慶喜がぼそっといいことを言うんですが、これが泣けるんですよ。あまり話せないことも多いのですが、この作品のテーマを語っているシーンなんです。慶喜の言葉にはグッとくるので、ぜひご覧いただければと思います。

■実は苦手なんです……

 やっぱり虫は苦手だし、朝早いのも弱かったり、苦手なものはたくさんあります。この作品でも虫がいっぱいいるような場所で、朝から畑を耕したりしてなかなか過酷なシーンは多かったですね。あと劇中でかっさま(和久井映見)がお蚕さんを触るシーンがありましたが、僕だったら断っていたかもしれない(笑)。幸い僕は触るシーンがなかったので、栄一でよかったなって思いました。