山田大樹容疑者が逮捕時に住んでいた自立支援センター『渋谷寮』

「渋谷寮の食事はあまりおいしくない弁当なのですが、容疑者は“うまい、うまい”と喜んで残さずに全部食べていたのが印象的でした」

 と、Aさんは話す。

12歳の少女に性的暴行、強盗未遂

 今年10月11日の夕方、無職の山田大樹容疑者は東京都世田谷区の路上で、帰宅途中だった中学1年生の少女(12)に後ろから近づき、肩をつかんで脅し、近くの民家の駐車場に連れ込んで性的暴行に及んだ。

 さらに、少女のリュックサックを取り上げて金品を盗もうとするも、金目のものが見つからなかったため何も取らずに逃走した。

 警視庁北沢署と第二機動隊は防犯カメラなどの映像から容疑者を特定。事件から約1か月後の11月19日、山田容疑者を強盗と強制性交の疑いで逮捕した。

 警察の取り調べに山田容疑者は“身に覚えがない”と容疑を否認しているという。

 山田容疑者が逮捕時に住んでいたのは、渋谷区にあるホームレスや元受刑者など生活困窮者に宿と就業をサポートする自立支援センター『渋谷寮』だった。冒頭のAさんは、ここの入寮者の1人だ。

 容疑者について、渋谷寮に問い合わせると、

「うちは『特別区人事・厚生事務組合 厚生部自立支援課』というところに委託されて運営しているだけなので、何もお答えすることができません」

 そこで、渋谷寮を生活困窮者に斡旋する渋谷区生活福祉課に聞くも、

「個人情報保護法のため、容疑者が入寮した日付まではお答えできない。だが、事件後だということは間違いない。“泊まるところがないし、仕事も探したい”ということで受け入れた」

 そんな中、前出のAさんは容疑者について詳しく教えてくれた。

「容疑者はたぶん10月18日に入寮してきたと思うよ。半月ごとに6000円が支給されるんだけど、1日当たり400円ぐらい使える。そのお金で、タバコを買っていましたね」

 喫煙時には独特なクセもあったようで、

「タバコを持っていないほうの手はポケットに突っ込んでいて、股間を触りながらモジモジ吸うのよ。あれはシャイだからやっちゃうんだろうな」

 容疑者は、別の入寮者Bさんに自身の生い立ちも語っていて、

「京都生まれで、“幼いときに父親をがんで亡くした。母親は首つり自殺をした”と言っていた。母親はネグレクト(育児放棄)で、1週間ご飯を与えてもらえなかったこともあったらしいよ。だから、食事に対する執着が人一倍強いんだとか。結局は母親から家を放り出されたので、養護施設で育ったと聞いた」

 さらには、容疑者は刑務所にいたことをにおわすような発言もしている。

「きっかけは忘れたけど、刑務所の話をしたことがあって。すると容疑者は“やめてくださいよ。思い出しちゃうから”って言ってたんだよね」

 ほかにも父親はチンピラで、祖父は京都にある暴力団の幹部だったとも語っていたという。大阪に住んでいたときはボクシングをやっていて、亀田兄弟とスパーリングしたことも自慢していた。

 大阪時代の容疑者の知人はこう話す。

「容疑者は、小学校も中学校もろくに行ってないと言っていましたね。窃盗、暴力団関係のクスリの売人、闇金、オレオレ詐欺となんでもやっていたみたいで、少年院や刑務所にも入っていたとか」

 闇金で取り立てる相手が女性の場合、

「身体で払ってもらうこともしばしばあったと吹聴していましたね。“だけど、オレは1回ヤッた女を2回はヤラない。風俗に売り飛ばす”とか言ってました。ほんとにヒドイやつだよね」(同・知人)

「祖父が暴力団幹部」もウソ

 だが“山田容疑者の言うことはほとんどウソだ”と話すのは、大阪で犯罪者の社会復帰支援活動を行っているCさんだ。何らかの罪を犯して少年院に送致されていた容疑者。出所後、塗装業の仕事で手に職をつけさせたのがCさんだった。

「彼は悪ぶっているだけで、中身は小心者なんです。母親の自殺、祖父がヤクザの幹部はみんなウソ! ボクシングもやっていたなんて一度も聞いたことがない」

 ただ、父親を早く亡くしたことは本当のようで、

「母親が若年性の認知症だったため、子育てができなかったと聞いています。ウソを重ねて自分を大きく見せようとしていたんじゃないかな。そうじゃないと、生きてこられなかったのかもしれません」(Cさん、以下同)

 逮捕の知らせを聞いて号泣したというCさん。

 容疑者はCさんの会社で1年、別の会社で3年ほど働いた。その後は職を転々とするようになって、

「今年10月5日に私はお金を貸したんだけど、そのままとんずらして東京へ向かったんでしょうね」

 その後、10月18日に渋谷寮にたどり着くまでの数週間、東京でネットカフェに泊まったり、野宿をしたりして過ごす。そんな中、犯罪に手を染めたのだ。Cさんは申し訳なさそうにこう言った。

逮捕後もまだホラを吹いて

「実は事件後、容疑者に面会してきたんです。そしたら“事件のことは大麻をやっていたから覚えていない”と、しらばっくれていました。大麻を買う金なんかなかったはずで、またホラを吹いているんですよ……。

 本当に情けなくて、残念で、悔しくて。彼は親の愛情をまったく知らず、いわばオオカミに育てられたような少年なんです。成人してもまったく社会性が身につかないし。だから、こんな事件を起こしてしまったんだと思っています」

 さらには、容疑者をフォローする言葉も。

「容疑者は塗装に関しては1日に1万8000円ぐらい稼げる腕前も持っていて、立派にやっていけるんです。なのに、ちょいちょい悪いことをして、台無しにしてしまう。心底、悪いやつではないし、かわいいところもあるし」

 だが、どんな環境に育ったとしても、容疑者の凶行は卑劣極まりないものだ。

「おっしゃるとおりです。今回の被害者には一生にわたって残る心の傷を与えました。決して許されることではありません」

 警察関係者によると、

「実は山田容疑者はほかの罪で執行猶予期間中でした。その中での犯行だったので、実刑は免れないでしょうね」

 少女わいせつに強盗未遂。鬼畜の所業に同情の余地などまったくない。