(左上から)田中みな実、華原朋美、加藤綾菜、有村昆、福原愛、徳光和夫

 コロナ禍の東京五輪開催や、選挙率の低い総選挙など慌ただしく過ぎた2021年ももう終盤。華やかな芸能界でも、人気を獲得して“上がった人”もいれば、失言やスキャンダルで“下がった人”もいる、浮き沈みが激しい1年だった。

 そこで今回は、作家としては日本屈指の芸能界ウォッチャーの岩井志麻子先生と、タレントの徳光正行さんのおふたりが週刊女性に集結。今年の芸能界を総括してもらいました!

評価が爆上がりな人たち

 まずは“2021年上がった人”。生き馬の目を抜く芸能界で、高評価を得たのは?

●加藤綾菜

 今年6月に結婚10周年を迎えた加藤茶・綾菜夫妻。結婚当初は驚異の“45歳の年の差婚”に対し、“財産目当て”“保険金目当て”などと激しいバッシングを受けていた。しかし彼女が「介護福祉士実務者」の資格を取得すると、評価が一転。高齢な夫の健康を支える妻として注目を集めている。

加藤綾菜さんと加藤茶さん、今年で結婚10周年!

徳光 加藤夫妻は、本物の純愛ですよね。綾菜さんは加トちゃんのことが大好きなんだろうな。

岩井 もしかしたら彼女の好みなのかもしれないね。「とにかく巨乳の女性が好き!」という男性がいるのと同じで「とにかく枯れきった加トちゃんが好き!」なんでしょうね。

徳光 たしかに、加トちゃんが可愛くてしょうがないという気持ちが伝わってきます。

岩井 紀州のドンファンも、綾菜さんみたいな女の子と巡り合えてたら、結末は違っただろうね……。

徳光 確かに……。

 加トちゃん夫妻の穏やかな幸せが末永く続きますように。

●田中みな実

 2年前、50万部を突破したファースト写真集を皮切りに、ドラマやバラエティーで活躍するフリーアナウンサーの田中みな実。今年は主演映画も公開され、その人気は天井知らずだ。情報番組で共演し、彼女の素顔をよく知る徳光さんは「田中みな実フィーバーは必然」と語る。

田中みな実

徳光 みな実ちゃんは自分磨きをしっかりしていて、21時以降は何も食べないし、どんなに楽しい飲み会でも22時には帰るんですよ。昔はぶりっ子キャラといわれて女性の敵だったけど、今は完全にファン層が女性ですよね。

岩井 見事に女性を味方につけたよね。裏の努力が伝わったんだろうなあ。私が気になっているのは、かつて一世を風靡(ふうび)した女子アナ・脊山麻理子さんは、田中さんと違ってなぜ過激になり続けているのか。

徳光 令和に脊山さんの行く末を気にかけてるのは、たぶん岩井先生だけですよ! 双方を知る僕としては、ふたりは完全に正反対のタイプです。例えば、みな実ちゃんは女性向けメディアでは脱ぐけど、脊山さんは男性誌ばかりで脱ぐし、いろんな男性としょっちゅう週刊誌ネタになっている。ここに大きな差があります。

岩井 なるほど、令和で生き残るには“努力”と“清潔感”と“同性の味方”。この3つがポイントなのね。

 三拍子がそろった田中みな実の熱狂時代は、来年も続く?

●華原朋美

 田中みな実とは別の方向性で同性の支持を集めたのが、歌手の華原朋美だ。長期間の活動休止や40代で未婚のまま出産などなど、長らくお騒がせ芸能人に名を連ねていたが、今年8月にマネージャーの男性と結婚を発表。朋ちゃんの幸せいっぱいの笑顔に、日本中がほっこりしたはず。

 幸せ太りが報じられるも「ありのままの姿で素敵!」と、好感度を爆上げしている。

『週刊女性』の直撃取材に笑顔で答える華原朋美('21年8月)

徳光 朋ちゃんには本当にいろいろなことがありましたよね。

岩井 そうね。でも今は子どももいて、公私ともにサポートしてくれるダーリンもいて、本当に幸せなんじゃないかな。

徳光 それに「70キロになっちゃいました!」と、いい意味で開き直れているのは、彼女にとってプラスに働いている気がします。

岩井 そうそう、人前でおならが出ちゃっても笑いに変えてるからね。ふと思ったんだけど、同じく男で地獄を見た中森明菜は、朋ちゃんのようには開き直れないだろうなあ。

徳光 時代のせいもあるかもしれないけど、明菜さんは完璧主義なイメージが強いですよね。表舞台に立つ覚悟が強すぎて、自分で納得がいくレベルに達していないから復帰していないのかも。

岩井 朋ちゃんは自分の幸せを見つけたけど、明菜ちゃんもそうなれるといいなあ。

 朋ちゃんの新たなステージと明菜の未来。歌姫たちの命運やいかに……。

●もう中学生

 段ボールを使った独特な芸風で視聴者を困惑させるピン芸人・もう中学生。一時期はあまり見かけなかったが、今年になり、若手芸人が多数出演する人気番組『有吉の壁』(日本テレビ系)で夏ごろから独特な世界観を披露し、ブーム再来。以来、バラエティーの出演本数が急増し、10月からは全国ネットで初の冠番組『もう中学生のおグッズ!』(テレビ朝日系)がスタートした。

もう中学生

徳光 ぺこぱに代表される“人を傷つけないお笑い”をする人ですよね。それでいて、彼の芸風はずっとブレていないから、時代が追いついたのかも。

岩井 ぺこぱは売れるまで芸風をいろいろ変えたらしいけど、もう中学生さんは芸風をまったく変えていないのね。現代は軸がブレないほうがブレイクするんだね。ワインやペット、葉巻など、ブームに乗るといえばこの人といわれた故・川島なお美さんとかみたいに、芸能人は流行に乗っかるものだったのに……。

徳光 すぐブームに乗っかろうとする人のほうが、芸能人らしくて見ていておもしろいですけどね。

岩井 熊田曜子さんが不倫相手と使っていたと報道されている大人のおもちゃ“ウーマナイザー”に乗っかる芸能人はいないかなあ。「私も使ってます!」って。

 令和はブレない魅力が輝く時代なのだ。

あの夫妻の今後は……

 目まぐるしく変化する芸能界にいながら、私たちに話題を安定供給してくれる“変わらない人”も存在する。

●原田龍二

 2019年に発覚した4WD不倫報道以降、謝罪行脚を行う全裸俳優の原田龍二。今年は、元女優で彼の妻・原田愛が芸能界に復帰を果たした。さらに、夫婦関係を赤裸々に綴った『別れない理由』(講談社)を出版するなど、とにかく話題に事欠かない夫婦となっている。

'21年11月22日、神前結婚式を行う原田龍二と原田愛

徳光 原田さんは、芸能界の天然記念物ですからね。原田さんの目って、ハムスターあたりの小動物みたい。黒目がちで表情が読めない。それが無邪気で可愛い印象を与えているんじゃないかな。

岩井 奥さんの気持ちわかるわ。私も夫に対して「なんであんな男と別れないんだろう」と思うことはあるけど、やっぱり可愛いんですよね。

徳光 原田さん夫婦にも、別れるという選択肢はないんでしょうね。実は僕、愛ちゃんのお兄さんと友達で同じ中学に通っていたんです。当時彼女は学校一の美少女だったんですよ! その愛ちゃんが今も変わらず美人だったのが個人的にはうれしかったです。

 来年も“打算ゼロ”で突き進む原田夫妻から目が離せない。

下がった人たちの共通項

 とはいえ、安定してばかりではいられないのが芸能界。ここからは、2021年に悪い意味で世間を騒がせた人々をピックアップする。

●福原愛

“愛ちゃん”の愛称で知られる卓球選手の福原愛は、2016年にリオ五輪台湾代表の江宏傑と結婚。ふたりのラブラブぶりが話題になったが、今年3月に福原の不倫疑惑が報じられ、同時に夫のモラハラ疑惑も浮上。疑惑だらけで何も明かされないまま、今年7月に離婚を発表した。

福原愛と江宏傑

岩井 日本に住む私たちの感覚だと、メダリストの愛ちゃんと結婚した元夫のほうが“玉の輿”だと思うでしょ。でも、台湾出身の知り合いは「福原愛のほうが玉の輿だった!」って怒るんですよね。

徳光 彼は台湾の名家の出身なんですよね。

岩井 そうそう。あと、家族のつながりとか、日本と台湾の文化の違いもあったでしょうね。ただ、あの泣き虫で可愛かった、“みんなの愛ちゃん”がエグい不倫をしていたとなると、一般人たちにとって裏切られた感は強いというか。

徳光 愛ちゃんだってすでに立派な大人なんですけどね。子どもに会えていないわけで、かわいそうではあります。そういえば、愛ちゃんは今、中国での人気が復活しているらしいですよ。向こうでは「台湾人のモラハラ夫が全部悪い!」という感じで擁護されてるとか。

岩井 じゃあ次は中国本土のイケメンと一緒になるのかなあ。

 中国発のSNS「微博」で、中国への“愛”をつぶやいているという福原。もはや日本での好感度に未練なし?

●徳光和夫

 森喜朗元首相の「女性の会議は長い」や、野球評論家の張本勲の「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って」など、女性軽視的な発言が即炎上した2021年。

徳光和夫

 司会者界の重鎮・徳光和夫も、今年10月、水道橋博士のYouTubeチャンネルに出演し、明石家さんまが話題にのぼると「(さんまさんなら)まだ、AKBの1人や2人妊娠させられますよ」と発言。大炎上してしまった。

 父のセクハラ発言に対し、息子の徳光正行さんはしみじみ語る。

徳光 うーん、父はすでに、この先ずーっとテレビに出続けられる年でもないですからねえ。これ以上は、なんとも……。

岩井 私も含め、世の人は“朝のニュースでニコニコしてる人”だと思ってましたからね。

徳光 ですよねえ。ただ、ラジオでオヤジを擁護してくれたさんまさんにまでボヤが移ってしまったのは、本当にごめんなさい!

 そう言って父に代わって頭を下げる正行さんだった。

●有村昆

 映画コメンテーターの有村昆は、今年5月に若い女性とのラブホ密会が発覚。当時彼はフリーアナウンサーの丸岡いずみと結婚していたが、7月に離婚を発表している。かつては精神的に不安定な妻を支える夫として評価を受けていたが、スキャンダルによって好感度は急降下した。

結婚当時の有村昆と丸岡いずみ(2012年8月)

徳光 アリコンさんの女グセの悪さは、もともと有名でしたからね。何の意外性もない。

岩井 特に、女性に自分の好きな体位を答えさせるという「クイズ・セックス!」発言はひどかったね。

徳光 あはは! これは自虐も込めてお伝えしたいんですけど、アリコンや僕のように“親の力”で有名人のゲストを呼びまくって派手な結婚式を挙げたヤツは、ほぼ離婚します。

岩井 なるほど、説得力が違うね(笑)。

 アリコンの離婚劇は、予想された結末だったのかも?

評価が乱高下した人

 そして今年の顔の中には、この1年で“乱高下”した人も。名前が挙がったのは元プロ野球選手の清原和博。2016年に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕されるも、薬物依存から立ち直ろうともがく姿に注目が集まった。

 そして今年は、自身の長男が名門・慶応大学の野球部で4番バッターを務めていることが判明し、親子二代で頑張る姿に胸打たれた人もいたはず。

 それもつかの間、日ハムの監督に就任したBIGBOSSこと新庄剛志の服装について、自身のYouTubeチャンネルで批判したところ大炎上。なぜなら、清原自身も野球評論家時代に真っ白なスーツを着て取材を受けたり、どでかいダイヤのピアスをしたりと、服装が乱れていた過去があるため「おまえが言うな」と批判されたのだ。

新庄剛志、清原和博

徳光 清原さんほど純粋無垢な人はいないですよね。ドラフト会議で巨人に袖にされて、紆余曲折を経て入団したら戦力外通告を受け、いまだに巨人を憎んでいます。彼は日本でもっとも背の高いアダルト・チルドレンですよ。

岩井 プロ野球に疎い私でも、清原さんは知ってますよ。報道によると、なんでも群馬の有名な女性の密売人のところにまで覚醒剤を買いに行っていたんでしょ?

徳光 そうです。そうだ! 清原さんの人生をテーマにした映画が作られるとしたら、岩井先生にその大物女性密売人の役を演じてもらいましょう(笑)。

岩井 いいね。オファーお待ちしてます!

 乱高下する清原の人生、ぜひ映画化してほしい。

上がった人の共通点

 2021年の芸能界を振り返ったふたりは、ある共通点を見いだしたようす。

岩井志麻子と徳光正行

徳光 今年は、自分の幸せを見つけたり、自分の道を貫いたりした人が輝きましたね。

岩井 朋ちゃんを筆頭に加藤綾菜、田中みな実、みんな時代に寄り添いつつも、ブレずに“自分”を貫いた人たちだよね。朋ちゃんはバラエティーに積極的に出演したり、綾菜さんは介護の資格を取ったり、みな実さんは自分がきれいになるための努力の過程を惜しげもなく披露した。今の時代、自分を見失ったら芸能界にはいられないかも。

徳光 そうですね。反対に、セクハラや不倫に厳しい今の時代にマッチできなかった人が下がってしまった印象。来年はもっとこの傾向が強くなるのかなあ。

 時代の転換期を目の当たりにしながら、2022年を占うふたりだった。

ふたりが選んだ2021年個人的MVP!

●岩井志麻子

<上がった人>華原朋美

夫婦で結婚指輪を見せる華原朋美と夫のAさん

 個人的にも交流がある朋ちゃんは、多くの日本人にとっての“ちょっと心配な親戚の子”的なポジション。そんな彼女の幸せそうな姿に胸をなでおろしました。今の朋ちゃんは開き直った自分を楽しんでいると思うので、これからも上がっていくはず!

<下がった人>紗栄子

紗栄子

 ダルビッシュ有さんから「ZOZOTOWN」創業者の前澤友作さんと来て、「次はどんな金持ちと付き合うんだろう?」とワクワクしてたんですよ。そしたら17歳の新進気鋭のアーティストと熱愛報道!? 勝手にショックを受けてしまいました。唸るほどの金持ちと付き合ってこそ彼女だと思うので、次に期待しています!?

●徳光正行

<上がった人>はいじぃ(YouTuber芸人)

Youtuber芸人のはいじぃ(本人のYouTubeチャンネルより)

 今年、個人的に“上がった”のははいじぃさん。芸人としての実力は謎。彼のYouTubeチャンネル「はいじぃ迷作劇場」は、飲食店に出向いてご飯を食べているだけなんです。それが実においしそうで、登録者は88.7万人(12/9現在)。

 食べっぷりはもちろん、こういう知名度の上げ方もあるんだと、一気にファンになりました。

<下がった人>清原和博

清原和博

 YouTubeチャンネルの立ち上げ直後は、自分のネガティブな行為に対して反省を述べたりと好印象だったのに、最近は新庄をさげすんだり、反則ばかりする格闘家・秋山成勲を褒めたりしている姿勢にがっかりしています。YouTubeも見なくなってしまいましたね。

岩井志麻子(いわい・しまこ)●作家。1964年、岡山県生まれ。『ぼっけえ、きょうてえ』で'99年に日本ホラー小説大賞、翌年には山本周五郎賞を受賞。2002年『チャイ・コイ』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞。コメンテーター、女優としても活躍。
徳光正行(とくみつ・まさゆき)●1971年、神奈川県生まれ。フリーアナウンサー・徳光和夫の次男。タレント・キャスターとして活躍する傍ら、現在も父からお年玉をもらう“クズ二世”としてもブレイク。YouTube「徳光ちゃんねる」でも活躍。

<取材・文/大貫未来(清談社)>