香取慎吾 撮影/廣瀬靖士

 今年も残りあとわずか。テレビに舞台にSNSにと活躍の場を広げてきた新しい地図の3人。ここでは、17年ぶりの“丸刈り”が話題になった香取慎吾に個別インタビュー。「事務所にすごく怒られてしまった」という思い出とは…?

17年前の丸刈りは“ミス”!?

――今年はドラマ『アノニマス』、明治座の舞台、ミュージカル『日本の歴史』の再演、『ヤンチェ_オンテンバール』の路面店移転など、個人の活動も多忙でした。

「『アノニマス』も、今年だったんですね。もともと僕は昨日のことも忘れてしまうような生き方をしているので(笑)、時間感覚がおかしくなってますね。去年も今年もスタッフやキャストの方と打ち上げをすることがなかったから、区切りをつけることができないまま2年間がひとつにつながってるような感覚になってます」

――最近はどう過ごしてますか?

「舞台の最中は、6時間寝て明るい時間に行動してたんですけど、今は仕事で描いてる絵の締め切りに追われて昼夜逆転生活に戻りました」

――12月30日にはドラマ『倫敦ノ山本五十六』(NHK総合)が放送されます。

「17年ぶりに、2回目の丸刈りにしました。1回目は自分のミスだったけど……。

 大河ドラマ『新選組!』のときに、カツラだからどんな髪型でもいいんだと若き日の香取慎吾は思って(笑)。そのときにモヒカンにしちゃったんです。そうしたら事務所の人にすごく怒られて。それで真ん中の部分をすぐに刈って丸刈りにしたんですけど、そのときに『新選組!』の会見があって丸刈りで出たら、“気合入れて丸刈りに!”って勘違いされたという。それ以来の丸刈りです(笑)」

――戦争を知らない世代に、どんなふうに見てほしいですか?

「今回の作品は太平洋戦争が起きる前の話で、山本五十六が諸外国の代表とロンドンで軍縮会議に臨むというのがメインなんですけど、戦争って感情のぶつかり合いで起きるイメージだったのが全然違っていて。

 何日も会議を重ねていくうちに、心が通じ合う人がいたりするんですよね。戦争という言葉があるドラマなんだけど、戦争を回避しようと苦悩する姿などを見て感じてほしいです」

――来年、やってみたいことは?

「もっと自由に動けたらいいなって思いますね。どうなるかわからないけど、こればっかりは。でも個展とかやれたらいいなと思います」

【僕たちのあれこれ“ウラ”話】

香取慎吾 撮影/廣瀬靖士

●いま夢中になってます

「今、仕事の依頼で同時に4枚の絵を描いてるんですけど、アトリエの床に敷いた段ボールに絵の具がポタポタ垂れたりするんです。それを見てるうちに楽しくなっちゃって、本気で段ボールのほうに描き始めちゃうんですよ。で、『何やってんだよ、仕事のほうを完成させないと! お前にそんな時間はないぞ!』って自分にツッコミを入れながら描いてるのが楽しいです(笑)」

●思わずビックリ!

「今回、山本五十六を演じるにあたって初めて自主的に丸刈りにしたんですけど、けっこう気に入ってます。僕、今まで切った毛髪をずっとファスナー付きの袋に入れて、アトリエのロッカーに保存しているんですよ。それをいつか作品に使いたいなあと思ってるんですけど、今回はかなり切ったから今まで見たことのない量だった! ふたつの袋がパンパンになりました。もうびっくり(笑)」

●スゴすぎて胸が……

「10月に東京都現代美術館で行われた横尾忠則さんの展覧会へ行ってきました。“胸がちぎられるかと思った”とインスタにもコメントしたんだけど、何か素晴らしいものを見ると気持ち悪くなるんですよ(笑)。自分もこんなすごい作品を描いてみたい、いや、自分には描けないっていろんな感情がうごめいて、胸が押し潰されそうになりました」

●頭の中はフル回転

「絵を描くときはアトリエで描いてます。と言っても、ベッドもあってしばらく住むことができるくらいのスペースはあるけど。僕の場合、いきなりキャンバスに描いていくんだけど、“よし、描き始めよう!”っていうのがだいたい夜11時とか(笑)。でも何もしてないわけじゃなくて、テレビを見たり、コーヒーを飲んだり、夜にはお酒も飲んじゃうからボーッと過ごしてるように見えるけど、頭の中ではめちゃくちゃ考えてるんですよ(笑)」

【Information】
太平洋戦争80年・特集ドラマ
『倫敦ノ山本五十六』
NHK総合 12月30日(木) 夜10時〜

取材・文/花村扶美 ヘアメイク/石崎達也 スタイリスト/黒澤彰乃