パチンコ玉もよく売れるそう

 メルカリやラクマなどの影響で2次流通市場が拡大中。しかし、これらの“客”は基本的に「日本国内」限定の話。世界に目を向ければ、商圏が何倍、何十倍と広がる。パートでは難しい金額を海外通販で稼ぐ主婦がいる。月30万円の利益を上げる彼女に聞いた“稼ぐコツ”。海外で売れる“宝物”は、案外あなたの家に眠っていたり、日本で二束三文で埋もれている……かも?

 コロナ禍もあり、新たな働き方が模索されている昨今、副業・兼業を検討している人も少なくない。副業でも兼業でも、まとまった額を稼げたらどれだけ生活が楽になるか。それを実現している主婦がいる。

 水野恵子さん(仮名)・45歳。彼女は主婦として家庭を守りつつ、パートなどはせず“家庭”にいたまま月に30万円程度稼ぐ。水野さんが暮らすのは東北地方の人口10万人に満たない地方中小都市。この立地が示すのは、モノと機会にあふれた都会でしかできないことではなく、どこに住んでいてもできるということ。

 その方法は海外通販だ。『eBay(イーベイ)』という、世界最大級の越境EC(電子商取引)・ネットオークションサイトがある。こちらに商品を出品し利益を得ている。

「よく売れるのは、日本アニメのフィギュア、プラモデル、ぬいぐるみ、K-POPグッズ、あとは日本工芸品、海外のビンテージ人形などですね」(水野さん、以下同)

ポケモンのフィギュアセット(画像はeBayより)
東京ディズニー・シーのぬいぐるみ(画像はeBayより)
銅花瓶(画像はeBayより)

 そのような“売れ筋”の選び方とは。

「まずはeBayのサイトを見て、過去に販売された商品をリサーチして売れ筋を見極める。フィギュアの場合は日本で発売間近のものを確認する。また、コンビニで売っているハズレなしでキャラクターグッズが当たる『一番くじ』のグッズは、海外からは手に入れづらいのでチェックします」

 これまでいちばん利益率が高かったのは、『ファイナルファンタジー』のぬいぐるみセット。仕入れ値は1000円、利益は20367円。海外でモノを売るうえでのコツとは。

「販売実績が多いセラー(売り手)をチェックして売れている商品を探します。あとは過去90日間で売れた商品をカテゴリー別に探し、複数売れている商品を特定します。その商品から、さらに色違いや年代別、キャラ違いを出品するというやり方はよくしています」

“言葉の壁”はないのか。

「翻訳アプリなどを使いつつ、中学校レベルの簡単なテキストでやりとり可能です」

 仕入れから出品、販売、入金までの一連の流れは?

「売れそうな商品が見つかれば、現在売りに出されている同じ商品の最安値を調べて利益計算し、利益が15%を超えればその価格で出品。商品が発送完了される前には、eBayと連携している外貨決済プラットフォームを経由して、販売手数料などもろもろの手数料を引かれた分が入金されます。配送のラベルはeBayの管理画面と連携している無料の管理ツールを使用しています。英語で宛名入力しなくても自動で宛名ラベル印刷となるので楽です」

 また、仕入れをせずに販売をスタートする場合も。

「商品を購入せず、無在庫で出品する場合は、販売価格は最安値より1ドルほど下げて出品。売れたら販売先より仕入れます」

 海外での利益となるため、円相場も関係してくる。

「売上金はレートの高いときに指定口座に送金します。私の場合、海外口座があるためそこに移してから、さらに海外送金プラットフォームより、日本口座に送金。今は円安なのでかなりお得です」

月30万円稼ぐ1日5時間の作業

 このような海外販売を始めたきっかけとは。

「海外版のメルカリで日本の100円均一のグッズを出品し、それが高く売れていました。また、『鬼滅の刃』が流行(はや)りだしたころで、グッズも同様に出品していました。その経験から“日本製品を簡単に売ることができるのでは?”と考えて、eBay輸出にたどり着きました」

“転売”には『古物商』の申請及び許可が必要なのかということがたびたび話題になる。そのような注意点について、eBay輸出販売のコンサルタントである太田ゆうま氏にも話を聞いた。

「古物商に関しては、規定がわりとざっくりとしたものになっています。“永続的に利益を目的とする場合”は必要という形になっているのですが、何回売るとNGなどの基準がない。基準がぼんやりとしている分、指摘を受けにくいのですが、逆に1回や2回で指摘を受ける可能性もある。やるのであれば古物商の許可を取っておくべきでしょう。取ること自体は難しいものでもないので」

 詐欺などを未然に防ぐために、eBayはさまざまな“縛り”があるという。

「最初の出店時、商品価格の合計は“500ドルまで”で“10品まで”。どちらかを満たしてしまうとそれ以上出品ができません。その後、eBay上で売買をすることなどで“信用”を獲得し、その出品の枠をeBayにお願いして増やしていく。このような縛りができた背景は、例えば高額のブランド品などをいきなり出品し、販売して、お金だけ受け取って発送しないという人たちが過去にいて、信用がない人たちにいきなり高額や多数の取引をさせない目的があるのではないかと思います」(太田氏、以下同)

 海外販売ゆえに起こるトラブルは?

「海外で物を買うと“関税”がかかることがあります。そこで、“関税がかかって、思ったよりも高くなったから払わない”と商品を受け取らない人や出品者に“払え”と言ってくる人もいます。それほど多いわけではないですが」

 逆にメリットは。

「国内で販売するよりも圧倒的に売れるものが多い。日本国内は需要もわかりやすいですが、海外では“これが?”というものも売れる。

 つり革が月に100個以上売れていたり。アマゾンで安く仕入れることができますね。数百円で仕入れて、数千円で売れたりします。あとはパチンコ玉。何に使っているのかわからないのですが(笑)。アニメなどの“クールジャパン”的なものはもちろんよく売れますが、それ以外の“日本物”もよく売れますね」

つり革(画像はeBayより)
パチンコボール(画像はeBayより)

 前出の主婦・水野さんも、信用の面などスタート当初にアカウントを“育てる”ことは少々大変と話すが、

「出品に慣れてしまえば、出品、梱包、配送を外注化し、自分は指示するだけで作業しなくてもよいので、この外注化が成功すれば田舎にいようが、海外に出かけようが、ネット環境さえあればそれなりに成り立つビジネス。

 朝の3時間だけ出品作業をして月に15万円などの利益を出している主婦もいるみたいです。私の1日の作業は大体5時間くらい。検索で上位に表示されるように、忙しい日でも必ず1個でも出品はしますが、好きな音楽を聴きながら誰からも命令されず、自由な時間で作業できるので始めてよかったと思っています」

 あなたも始めてみる?