TBS系『ラヴィット!』(公式HPより)

《東京大阪感染者倍増》《感染猛スピード拡大》《東京641人感染急拡大》《感染親子が症状語る》《感染拡大出勤停止で人手不足…生活直撃》《沖縄最多1700人超感染》《新学期スタート 検査・小児科に大行列》《東京飲食制限スタート 初日の夜…繁華街は?》《ワクチン3回目摂取を前倒しへ》

 全国各地で新型コロナウイルス「オミクロン株」の感染拡大が報告されている1月、それに伴い『スッキリ』(日本テレビ系)、『モーニングショー』(テレビ朝日系)、『めざまし8』(フジテレビ系)の放送は過熱。新聞のテレビ欄には、連日にわたって上記のようなおどろおどろしい放送内容が表記された。

「不謹慎な言い方ですが、まるで水を得た魚のよう」とはスポーツ紙芸能デスク。2020年4月の“第1波”襲来以後、コロナ関連ニュースを逐一報じてきた各局のワイドショーや情報番組。度重なる緊急事態宣言によってリモート・テレワーク化も進んだことによって“おうち時間”が増加し、各々がテレビを見る時間も多くなったことだろう。

 そして第5波の“デルタ株”感染者が急激に減少し始めた2021年10月、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたことで、東京では11か月ぶりに時間制限なく酒類の提供ができるように。コロナ以前とまでは行かずとも街に活気が戻り、また出勤者も含めて多くの人が外出を再開。

「すると10月に衆議院議員選挙などもあって、一旦はコロナ関連のニュースはトーンダウン。ところが、11月に世界で“オミクロン株”が確認され、同月末に国内でも初めて確認されると合わせるようにニュースも“復活”。感染が拡大するたびにテレビ局も時間を割くようになっていきました」(前出・スポーツ紙芸能デスク)

時事ネタを扱わない朝番組

 それは朝の番組も例外ではなく、感染症を専門とする医師や研究者ら“お馴染みの顔”が登場し、司会者やコメンテーターがオミクロン株の拡大への恐怖感や不安感を次々と口に。2020年より幾度となく目にしてきたテレビの光景が繰り広げられ、今も冒頭のような“見出し”が踊っているわけだ。一方でーー、

《満喫旅EXITが台場エリア最新スポットへ》《ぼる塾芸能界!スイーツ部!祝日特別編》《ためスノinナガスパ絶品グルメ絶景イルミ》《超一流料理人がガチンコ採点No.1レトルトおでん》《見取り図となにわ男子冬休みに霜降りせいや》

 1月に入ってもバラエティー豊かな見出しが踊っているのがTBS系『ラヴィット!』。番組公式HPにも《日本でいちばん明るい朝番組。》とあるように、他局の情報番組とは明らかに一線を画した『ラヴィット!』がスタートしたのは2021年3月下旬。

 前身番組の『白熱ライブ ビビット』や『グッとラック!』のワイドショー路線から一転し、時事ネタを一切扱わないバラエティー番組として放送開始。出演者も麒麟・川島明、同局の田村真子アナを司会に、芸人やタレントを揃えてみせた。

 ところが、初回視聴率は2.7%と振るわず、同時間帯で随時10%前後を叩き出す『モーニングショー』には遠く及ばず。さらには放送開始から約2週間後、4月9日の放送回には1.1%を記録してしまった。

SNSで“バズる”かどうか

「確かに数字だけを見れば、これはもう危険水域。業界内外で“早くも打ち切り確定か”とも囁かれましたが、TBSさんはこの“改編”に自信を持っていたみたいですよ。日テレさんのお昼の人気番組『ヒルナンデス!』も、スタート時は散々な言われようをされていましたからね。

 それに、同局が重視しているのは“世帯視聴率”よりも“コア視聴率”で、そしていかにSNSで“バズるか”だと言います。出演者の顔ぶれを見てもそれがよくわかります」

 とは広告代理店営業スタッフ。レギュラーや準レギュラーには“第7世代”、また“6.5世代”と呼ばれる旬な芸人を配置し、乃木坂46や欅坂46のメンバーも継続的に出演。そして昨年10月からは、ジャニーズグループ『Snow Man』から宮舘涼太、佐久間大介が火曜日の隔週レギュラーとして冠コーナーを任されている。

「彼らのファンとはすなわちSNS世代で、放送時には《#ラヴィット》がツイッターのトレンドで上位にランクすることが多く、また通勤、通学者が多い時間帯だけに録画視聴率も高いと言います。ワイドショーを録画してまで見る人はそうはいません。

 1月12日の放送には『なにわ男子』の藤原丈一郎くんと道枝駿佑くんがロケでVTR出演しましたが、こちらもやはりトレンド入りしました」(前出・広告代理店営業スタッフ)

 実際、SNS上では《#ラヴィット》のハッシュタグとともに《仕事から帰ってラヴィット見るのが癒しの時間》などと、番組を楽しみにする視聴者が多く見受けられる。その一方で、

《ワイドショーのオミクロン報道にうんざりしてきたら、ラヴィット!観て和むのがよろし》
《他局に比べてコロナ関連の時間が長いなぁ。もううんざり。観ても聞いても意味ないと思うわ。#モーニングショー》
《いままで朝は絶対スッキリだったけど、ラヴィット始まってから、ほんとにラヴィット一択になったんだよね。笑 何がいいってコロナの話題がゼロってこと!!!おかげで朝から明るい気分になれる》

 一連のコロナ偏重が続くワイドショーに少々うんざり顔の視聴者もいるようだ。

『ラヴィット』は低視聴率ではない⁉︎

 芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は「もちろん、コロナを軽視すべきではありませんが」と続ける。

「SNSを使う世代は、そもそもニュースをテレビで見ることはないと思います。若いタレントさんと話した時も、時事ネタは全てスマホでチェックしているといい、また興味あるテレビ番組にしてもオンタイムで見ることはほぼなく、空いた時間に『TVer』などの動画アプリで視聴するのだと。

 つまりは“世帯視聴率”こそ『モーニングショー』が数字で抜けていたとしても、コア世代の録画・動画視聴率を含めれば『ラヴィット』が低視聴率とは一概に測れないのかもしれません。

 まあ、コロナ関連のニュースもそうですが、わざわざ朝からテレビの前でオジサンたちが難しい顔をしてまくし立てるような番組は見たくないでしょう(苦笑)」

 コア世代を意識しているのは他局も同様で、最近のワイドショーでは“オジサン”の出番を減らして若いコメンテーターを積極的に起用するなど、視聴者の“若返り”をねらった番組制作にシフトしているとも。

「その点においてTBSは、動画配信を見込んだ上での番組作りに舵を切っているように受け取れます。スマホで時間や場所を問わずに視聴でき、それこそSNSでバズれば『ラヴィット』を見たことがない人をも取り込むことができます。

 もとより世帯視聴率には期待しない、コア世帯をターゲットにしたTBSの戦略ではないでしょうか。打ち切り説も囁かれた『ラヴィット』ですが、実は“朝の顔”として十分に役割を果たしているのかもしれません」(佐々木氏)

 私たちの生活を一変させたコロナだが、それはテレビにおいても同じなのかもしれない。