“ザワつくトリオ”高嶋ちさ子、長嶋一茂、石原良純、そしてバランサーのサバンナの高橋茂雄(高嶋ちさ子の写真は公式HPより)

『ザワつく』が、とにかく強い。

『ザワつく!金曜日』(テレビ朝日系・金曜よる6時50分)。長嶋一茂、石原良純、高嶋ちさ子の、“怖いもの知らず”系の3人が、世間をザワつかせる事柄に関するトークを繰り広げる「スカッと爽快、毒舌トークが大爆発!(番組HPより)」番組だが、3人の暴言スレスレ言いたい放題の毒舌と、それぞれに対する舌戦がウケ、毎週高視聴率を記録している。昨年の大晦日に特番として放送された『ザワつく!大晦日』は、視聴率が同日の民放ゴールデン・プライムのトップを記録したことも話題となった。

罵り合いもウケている

3人の暴走トークでの掛け合い、ときにはお互いをディスり合うこともあり、そのやりとりがウケています。言うまでもなく『ザワつく』の3人は、いずれも一流の家系で育ち、自身もそれぞれの世界で確固たる地位を築いている面々。そんな彼らの、ときにはみっともなくすらみえる罵り合いは、大の仲よしであるがバトルトークを繰り広げる、中尾彬さんと江守徹さんのやりとりを彷彿させますね」

 とあるスポーツ紙記者。

 番組がスタートしたのは2018年のこと。当初は深夜0時台の放送だったが、'19年の春からゴールデンに移動。安定した人気を保ってきたが、ここにきてさらに人気の幅を広げている理由はどこにあるのだろうか。

 あるテレビ関係者は、「基本的には3人が好きなことを言う番組なのですが、そこに共感が集まっている」といい、“愛ある毒舌”で人気を得ている、有吉弘行やマツコ・デラックスと比較して分析する。

「ハッキリした物言いの毒舌というと、マツコさんや有吉さんなどが以前から人気ですが、ふたりはどちらかというとド正論で、ぐうの音も出ないこともあります。『ザワつく』の3人は言いたい放題のメチャクチャな会話なので隙がありまくるんですが、その隙が面白がられているんです。マツコさんや有吉さんは、下からの目線で物を言うことが多いですが、ザワつくトリオは真逆で対照的な立ち位置になるところも面白いですね

 最近では「ご当地ポテトチップス」や「ご当地カップ麺」のどれが一番好きなのかを決めたり、工場で何を作っているか当てるクイズを行ったり、ちょっとした話題や注目の人物にスポットを当てる企画などが人気を集めている。高視聴率を叩き出す要因として、3人のトークだけでなく扱うネタにも注目されている。

「身近な話題に対して、リラックスしながらホンネを言うところもウケています。“深く考えなくても楽しい”という今のお笑いの空気に似ているかもしれません。コロナでの閉塞感や情報過多の世の中で、何も考えずにただ見ていて楽しいコンテンツは貴重だと思いますよ」(バラエティーを手がける放送作家)

 とはいえ“言いたい放題”には炎上のリスクが伴う。しかしザワつくトリオは、これだけ好き放題言っても、炎上することがないのはなぜだろうか。前出のテレビ関係者は「炎上好きには楽しくない存在なのかもしれない」と言い、こう続ける。

“究極のバランサー”サバンナ高橋の存在

「それぞれが好き勝手なことを言っているだけなので、この人たちに文句を言ったり炎上させようとしたところで、ダメージもなければ、反応もないと思うんです。あの石原家の人、長嶋茂雄さんの息子、日本を代表するバイオリニストと、それぞれが文句のつけようがないセレブですし、多くの視聴者にとってはそもそもの世界が違う人たち。このレベルの人たちが何かを自慢したところで、一般の人たちが鼻につくような次元ではないんですよね。そこを突いたところで誰も便乗しないでしょう」

 番組では、暴走ぎみの3人の手綱を引くような存在として、進行役のサバンナ・高橋茂雄が出演しているが、この高橋の存在も重要な役割を果たしていると、前出の放送作家は指摘する。

サバンナの高橋茂雄

「高橋さんは、“究極のバランサー”のような芸人さん。どんな辛いものでもまろやかにしてくれ、ざるで濾すようになめらかにしてくれる存在。3人が暴走したときに高橋さんがいい感じにストップをかけてくれ、さらにイジってもくれる。3人だけでなく高橋さんがいるからこそ、な部分もあります」

 3人プラス1という奇跡のバランスが『ザワつく』人気のもとのようだ。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉