新型スイッチに囲まれるヒカキン(公式YouTubeより)

《賞金の使い道は『ニンテンドースイッチ 有機ELモデル』40台のプレゼントに決めました!》

 1月28日、自身のYouTubeチャンネルを更新したヒカキン。1月1日放送の人気番組『逃走中 元日3時間SP』(フジテレビ系)にて、6度目の挑戦で見事に逃走成功して賞金150万円を獲得していたのだが、その使い道を決めたことを動画で報告。

 それが人気ゲーム機『ニンテンドースイッチ』を150万円分、40台を購入して視聴者にプレゼントするという太っ腹企画。ヒカキンのツイッターを通して募集を受け付け、完全ランダムの抽選によって当選者40名を選ぶという。

「彼がプレゼント用として選んだ『スイッチ』は、昨年10月に発売された有機ELを採用した最新モデルで税込価格は37,980円。しかも40台のほぼ全てが人気のホワイトカラーで、ネット界隈では発売前から完売確実とも言われた“レア商品”になります」(トレンド情報誌編集者)

 そのため大手量販店では予約購入する際にも抽選券を配布するほどで、発売と同時に店頭から消えたスイッチ。欲しくても買えない消費者が溢れていた人気商品を、ヒカキンはどうやって40台も確保したのだろうか。動画では《ちゃんと定価で正規ルートで購入しました》として、

たまたまなんだよ。年末年始で少しの間、普通に買える期間があったんですよ、有機ELモデルも。で、“お1人様1個まで”っていう制限はあったんですけど、スタッフさんとかUUUMの社員さんとかで、みんなで1台ずつ買って、しっかりと購入したものです

 スタッフ総出の“人海戦術”を駆使して、40台全て店頭にて購入したスイッチであることを明かしたのだった。ところが、「この行為に賛否の声が出ています」とはネット流通事情に詳しいライター。

やっていることは転売ヤーと同じ

「動画が公開されると、賞金を自分のために使わずに視聴者プレゼントとするヒカキンに対して“マジ尊敬できる”“かっこよすぎ”“神様、聖人”と、彼の人柄と企画を絶賛するコメントばかり並んでいます。『逃走中』で大変な思いをして手にした150万円を“配布”するとは、なかなかできることではありません。

 一方で、動画のコメント欄以外では、ヒカキンの言動は“ほめられたものではない”との声が見受けられるのも事実。というのも、彼の行為は“転売ヤーと同じ”と見られてしまったからです」

 実は、コロナ禍のゲーム機需要で品薄状態が続いていた矢先の新モデルだけに、発売前より“転売ヤー”の標的になっていた新型スイッチ。定価以上で転売できると踏まれていたのだろう。発売日当日から、フリマサイトやネットオークションには“新品未開封”と表示されたスイッチが出品されたほど。

定価の倍は当たり前で、中には10万円超えの法外な価格が付けられるほどの過熱ぶり。近年、各業界で問題視されている転売ヤーですが、その手口は様々で、商品を大量入手するために“組織的犯行”が行われることもしばしば。

 “1人1台”とする店舗においては、元締めが複数の“買い子”を雇っては各店の開店前に並ばせて何台も購入させます。お店側も何かと転売対策を講じてはいるのですが、転売ヤーもその度に抜け道を探すという“いたちごっこ”状態」(前出・ライター)

 たしかにヒカキンが“元締め”となって、スタッフたちを走らせて“1人1台”のスイッチ40台をかき集めたのなら、これは“転売ヤー”の図式と似通っているようにも見える。ネット上では《ヒカキン買い占めやめて》《転売ヤーとやってること変わらん》《転売ヤーと大差無い、迷惑行為》などと批判的な指摘も目立っているが……。

動画には広告がついている

「迷惑系ユーチューバーとは正反対の位置にいる、ファンからも“聖人”と称されるヒカキンさんのことだけに、純粋に視聴者に喜んでもらうために購入したと思いますよ。それにスイッチも、発売当初とは状況が変化して“値崩れ”が起きていますからね」

 とは、YouTube業界を取材するITジャーナリスト。なるほど、フリマサイトを覗いてみると、多数の新型スイッチの出品はあれども現在の相場は4万円台ほどに値下がりしていて、むしろ買い手がつかない飽和状態とも言えよう。とはいえ、彼らの買い占めによって定価で購入できない消費者がいたことも事実。

ヒカキンさんのことを知らない人にすれば、また買いたい時に買えなかった人にすれば買い占めること自体に嫌悪感を抱き、“やってることは同じ迷惑行為”に映ってもおかしくはありません。しかも需要が高まる年末年始に買いに走らせたことで、店によっては売り切れて買えない子どもがいたとも考えられます。

 それに当該動画には広告もついていることから、結果的にヒカキンさんは収入を得るわけで150万円は投資とも言えます。億万長者ユーチューバーは大金を使ってどんどん経済を回してほしいところですが、動画ネタのための買い占め行為は時に迷惑行為と受け取られるリスクもあるということ」(前出・ITジャーナリスト)

 再生数はすでに200万回を突破し、6万の“いいね”(2月1日時点)ついているプレゼント動画。40台のスイッチを巡って数字はさらに伸びそうだ。