高橋文哉(撮影/齋藤周造)

「ほかの作品とは違う緊張感がありました。でも、そんなに怖がらずにクランクインできたと思います」

『犬鳴村』『樹海村』に続く、恐怖の村シリーズ第3弾『牛首村』でホラー作品に初挑戦した高橋文哉。

 “牛の首”という怪談をモチーフに、北陸地方では有名な心霊スポットで富山県の『坪野鉱泉』『牛首トンネル(正式名称は宮島隧道)』などで撮影された。

「撮影で訪れなかったら感じなかったかもしれませんが、牛首村も映画で描かれているような居心地の悪さ感じてしまう雰囲気の場所でした。スタッフのみなさんが本物の場所を用意してくださったので、気持ちが乗っていきましたね」

 今作のメガホンを取ったホラー界の巨匠・清水崇監督は、高橋が共演者のKoki,や萩原利久と話しているところに入ってきて、“こうしよう、ああしよう”と作品について話し合う場を設けてくれたと言う。

「清水監督がフランクな方で、すごく救われました。僕、わりと人見知りなところがあって。そう思われないことも多いんですが、今回の作品では(萩原)利久くんに“最初は人見知り感が出てたよ”って言われました(苦笑)。初めのアクションを自分から起こすのが苦手で、話しかけてもらえたら全力で答えるんですけど

「あっ、はい」しか返事できなかった

 主人公である女子高校生の姉妹を一人二役で演じたKoki,とは、今作で初共演した。

「Koki,ちゃんが演じる行方不明になった女子高校生の恋人・将太を演じさせていただいたので、距離を近づけるために僕から話しかけないと、と思っていたんです。でも、何を話したらいいかわからなくて。最初は、ふたり無言でまわりの景色を眺めていましたね(笑)。そうしたらKoki,ちゃんから“(演技や映画出演が)初めてだから、何かあったら言ってね”って声をかけてくれて。それに、“あっ、はい”みたいな返事しかできなかった自分がイヤだなって(苦笑)。でも、そのうち利久くんを交えて3人でわちゃわちゃ話すようになっていました。何を話してたかな? 思い出せないくらいたわいないことです(笑)」
 
 この作品で演技に初挑戦したKoki,には、先輩として何かアドバイスをしたのか聞くと、

「何もしてないですよ。逆に学ばせてもらったことが多かったです。お芝居に全力で向き合う姿勢とか、熱量とか、忘れちゃいけないなと思っている気持ちに改めて向き合うことができました」

 初めて演技に挑戦した『仮面ライダーゼロワン』('19年)での自身の姿と重ねながら、Koki,を見ていたと語る。“一生、芝居をして生きていけたら最高だな”という思いを抱かせてくれたデビュー作以降、ドラマに映画と途切れることなく作品が続いている。昨年出演したドラマ『最愛』は、彼の存在をさらに多くの人に知らしめた。

「たくさんの方に自分の芝居が届いて、評価をしていただけることは本当に幸せです。ライダーのときとは違う年代の方にも声をかけていただけるようになりましたし」

紅しょうがをつまみながら料理

高橋文哉(撮影/齋藤周造)

 現在放送中の月10ドラマ『ドクターホワイト』にも出演中。高橋が演じる研修医・佐久間が泥酔する姿がかわいいと話題になった。

「ネットニュースに上がっているのを見ました。反響をいただけるのはうれしいですし、やっぱり演じることって楽しいと思えます。もちろん、反省することも、難しさを感じることもありますが。
 
 ドラマの明るい佐久間と違い、『牛首村』で演じた将太は暗い過去を持つ人物。恋人・詩音(Koki,)との関係性や、蓮(萩原)との友情など感情のグラデーションがすごくキレイなので、ぜひその部分も見ていただきたいです
 
 気になっていた“お酒”のことを聞いてみると、

「僕、酔っても顔に出ないんです。でも、佐久間みたいに寝ちゃうことはあります(笑)。友達と家で飲んでいると“文哉は気づいたらベッドで寝てる”って言われるので(笑)。最近は、夜、自宅でお酒を飲みながら料理を作ることが多いですね。大好きな紅しょうがをつまみながらお肉を焼いたり、パスタを作ったり。“いただきます”をするころには、いい感じで酔っていて。料理をしているときって、そのことしか考えないので、息抜きができているのかもしれません」

調理師免許を持つ腕前、友達から評価の高い料理は?

最近は、ペペロンチーノがめちゃめちゃ評判いいです。あと、カルボナーラ。少し前に、サクッと作れるようになれたらいいなと思って練習していた時期があって。毎日のように友達に来てもらって感想を聞いてました。どうせ作るなら、誰かに食べてほしいですよね。素敵だなと思う女性は、落ち着いていて、その中にも元気のある方。「ありがとう」と「ごめんなさい」が言える人だといい。

©2022「牛首村」製作委員会

映画『牛首村』2月18日より全国公開
配給:東映