「ソンする節約30」(写真はイメージです)

 

 老後資金を増やすために少しでも節約したい―。でも、よかれと思っていることが、全部無駄だったら?「ドリンク1杯無料クーポンを喜んで使っていたりコンセントを節電タップに挿している人は要注意」とお金のプロ。得したつもりの「間違い節約」、ついやっていないか洗い出しを!

いつもやってるアレ実は節約効果なし?

 日々の暮らしの中で一生懸命頑張っている数々の節約ワザ。やればやるほど効いているはず!

「でもソレ、全部間違ったやり方かもしれません」

 そう教えてくれたのは、節約アドバイザーの丸山晴美さんだ。

節約ワザの中には、昔はたしかに効果があったけれど今はやっても意味がないものや、ネットショッピングで送料無料にするためについで買いしたりと一見お得なようで実はソンというものも。世の中の変化とともに節約ワザも変化しているので、しっかりアップデートしましょう

 間違い節約の数々をさっそく見ていこう。

◆お得に釣られてゼニ失いに、買い物で「ソンする節約」

【01】セールは割引率で判断する
⇒数字に惑わされて無駄遣いの原因に

 3割引き、40%オフ、そんな言葉に引き寄せられて、セールでは財布のひもが緩みがち。「こんなに安いなら買わなきゃ!と数字に惑わされてしまいますが、本当に必要か考えるクセを。家に同じものがないか思い返すのも、無駄買いの抑止力になりますよ」(丸山さん、以下同)

【02】1円でも安く買うために遠くの店へ
⇒時は金なり。交通費も手痛い出費

 買い物にかかる交通費や燃料費、そして時間。その店での買い物が、これらを差し引いても得かを考えよう。さらに、せっかく遠くまで来たからと、買う予定のなかったものまで買ってしまうリスクも。「もし行くなら徒歩で行ける範囲の店に。持ち帰れる量が限られるので、余計な買い物を防げます」

「安いもの探し」は無駄買いのもと

【03】「ドリンク1杯無料券」は期限内に使い切る
⇒無料に釣られると予定外の出費に

 飲食店でもらう「ドリンク1杯無料券」。お得だからと喜んで使っていないだろうか。「ドリンクの原価は数十円程度。それ目当てにレストランで千円以上の出費をしてしまう……。割引クーポンのために不要な外食をするのは本末転倒です」。

 クーポンはお得に買い物ができる券ではなく、店側がお金を使ってもらうための呼び水として配っているもの。行く予定のない店のクーポンは使わないのが鉄則だ。

無料に釣られると予定外の出費に イラスト/まめこ

【04】特売品を買うために毎日スーパーへ
⇒「安いもの探し」は無駄買いのもと

 日々スーパーで特売品を狙えば節約になりそうだが、安いからと余計なものまで買ってしまっては、何のために特売品を買っているのかわからない。

「買い物は3日に1度程度で十分。スーパーによっては週に2~3度安売りの日が設けられているので、その日を買い物の日にして、それ以外は無買デーにするのがおすすめ」

【05】コンビニは高いので利用しない
⇒PB商品を選べばお得に使える

 コンビニの商品は定価で売られていて高いという印象があるかもしれないが、最近では低価格の商品やカフェよりも割安なコーヒーも充実し、お得感が増している。

「各コンビニでお手ごろ価格のプライベートブランドが展開され、食品から日用品まで豊富にそろっています。割高なものと割安なものを見極めて、上手にコンビニを活用してみては」

【06】節約はまず食費から
⇒思ったように減らずストレスに

 安い食材を選び、食べる量を無理に減らして切り詰めても、この物価上昇が続くなか、食費はなかなか大きく減らせない。しかも、これが原因で体調が悪くなってしまっては元も子もない。

「食費は外食費も含めて月に1人2万円未満を目標にすれば十分。節約は、住居費や通信費などの固定費からがおすすめ。額が大きいので、節約できたという達成感もありますよ」

【07】節約食材といえば「もやし」
⇒今はそんなに安くない

「昔は5~10円で買えたもやしですが、今は30〜40円。白菜や大根などの旬の食材を安いときに購入したほうがボリュームもあって日持ちもし、お得です」。ただし、もやしは年間を通して価格が安定している野菜。ほかの野菜が高いときに使いたい食材だ。

揚げ物は市販のお惣菜を買うのも手

【08】一度にたくさん作ってストックする
⇒作りすぎは節約の大敵「食品ロス」に

 毎日の食事の準備が楽になる作り置き。でもたくさん作ったのに結局食べきれずダメにしてしまったという経験はないだろうか。

「食べ物を廃棄する食品ロスは節約の大敵です。作りすぎは結果的に高くついてしまうので、煮物や揚げ物など、少量作るのが難しい料理は市販品を活用するのもおすすめ」

【09】節約のために料理は完全自炊
⇒メニューによってはお金も手間も赤字に

 自炊は食費節約の基本。でも、メニューや家族の人数によっては、自炊するほうが時間も手間もお金もかかりすぎてしまうので注意。「代表格は揚げ物です。ひとり暮らしや夫婦2人でコロッケやとんかつを食べるために、材料を買って用意し、油を使って調理するのはお金も手間も見合いません」。

 揚げ物は市販のお惣菜を買うのも手。今はコンビニで1つから気軽に買えるので、自炊すべきところと市販品に頼るところを、柔軟に使い分けよう。

自炊のメニューによってはお金も手間も赤字に イラスト/まめこ

【10】ポイントはコツコツ貯めてまとめて使う
⇒期限が切れたら終わり。どんどん使おう

 期限切れで使えなくなるリスクがあるので、積極的に使いたい。「お会計の100円ごとにポイントがつくことが多いので、100円以下の端数をポイント払いにして使っていくのがおすすめです」

【11】ショップのお得情報はメルマガでチェック
⇒過剰な情報が買い物欲を刺激し逆効果

「定期的にセール情報などが送られてくると、つい欲しくなってしまうもの。こういう情報を遮断することも節約には有効です」。配信を停止すれば物欲も減り、心穏やかに過ごせるかも?

【12】チケット類は金券ショップを活用
⇒コロナ禍でチケットがすぐ使えないことも

 さまざまなチケットが安く手に入る金券ショップ。「最近はコロナの影響で、美術館などのチケットは事前に日時を指定する必要があるなど、そのままでは使えない場合も。ちゃんと使えるか確認を」

過度なまとめ買いに注意

【13】日用品は安いときに大量にまとめ買い
⇒使い切れないと劣化や廃棄も

 日用品の値上がりが気になる昨今、安売りのときにまとめ買いをしたくなるが、過度なまとめ買いには注意が必要だ。「大量のストックは収納を圧迫するだけでなく、長期間保管しているうちに劣化して、結局捨てなくてはならないことも」。

 日用品の特売は定期的に行われるので買い込まず、ストックはどんなに長くても1年以内に使い切れる量にとどめたい。

【14】ポイントを貯めるために現金よりクレカ払い
⇒使いすぎる危険も

 クレジットカードのポイント還元はお得でうれしいもの。でもつい使いすぎてしまう心配が。「お金を使っている感覚がまだもてる、現金をチャージするタイプの電子マネーもおすすめですよ」

【15】「送料無料」になるまで買う
⇒無駄なものを買うなら潔く送料を払おう

 あといくら買えば送料無料になると思うと、無理に買い足してしまいがち。「本当に欲しいものならいいですが、送料のためにいらないものを買い足すのはただの無駄遣いです」。500円の送料のために600円の商品を買い足していないか、しっかり見極めを。

【16】「よりどり3点で割引」なら3つ買う
⇒本当に必要な数だけ買おう

 よりどり3点で○○円と聞くと、何だかいかにもお得な感じ。「こういうとき、3つ買わないとソンだと思い込んでいませんか? 3つ買うと1つ当たりの価格は下がるかもしれませんが、合計金額は高くなります。本当に必要な数はいくつなのかよく考えて」

●ネットでの買い物は朝になってから!

 夜のネットショッピングは、気分が高揚して余計なものまで買ってしまいがち。「欲しいと思ったものを買い物かごに入れたら、そこでいったんストップ! 決済ボタンは、朝もう一度かごの中身を見直して、本当に必要か判断してから押すと、無駄な買い物が減りますよ」

ネットでの買い物は朝になってから! イラスト/まめこ

髪は強風で一気に乾かすべし

◆無意識にやってない?ケチ行動、家の中の「ソンする節約」

【17】使わない電化製品のコンセントはこまめに抜く
⇒テレビのコンセントは抜いちゃダメ

 家電の中には、使用していない間も電気代がかかっているものがあるので、こまめにコンセント(正確にはプラグ)を抜きたくなるが、中には抜いてしまうことで、余計なお金と手間がかかるものがある。

「筆頭はテレビです。最近のテレビは、電源をオフにしている間も番組表などのデータを取得しています。プラグを抜くとそれらの情報が取得できず、再びプラグを入れたときに情報を改めて取り込み直すことに。これによって余計な電力がかかってしまう場合も」

テレビのコンセントは抜いちゃダメ イラスト/まめこ

【18】電気代節約のために冷蔵庫は小さいものを使う
⇒電気代は大型冷蔵庫のほうがお得

大きな冷蔵庫は見るからに電気代がかかりそうで、わが家は小さい冷蔵庫だから電気代が節約できてラッキー♪なんて思っていないだろうか。

「実は冷蔵庫は、ひとり暮らし用の2ドアのものよりも、400Lを超えるファミリー用のほうが消費電力は少なくなります。これは、性能のよい断熱材や、消費電力を抑えるAIを搭載できるため。小さいものを我慢して使っているなら、買い替えの検討を」。冷蔵庫の電力消費は家電製品の中で最大。省エネタイプを選べば大きく節約できる。

電気代は大型冷蔵庫のほうがお得 イラスト/まめこ

【19】冷蔵庫は季節ごとに設定を変える
⇒賢いAIに任せたほうが安心

 昔は、冬は弱、夏は強に設定を切り替えていた冷蔵庫。「でも、今の冷蔵庫は賢いAI搭載がほとんど。自動運転や省エネ運転にしておけば、そのときのベストな温度にしてくれます」

【20】ドライヤーは「弱」で使う
⇒正解は「強風で一気に乾かす」

 ドライヤーの消費電力を抑えようと、弱い風で時間をかけて乾かしていないだろうか。でもこれは逆効果。

「ドライヤーは弱・中・強と風量が設定できますが、どれに設定してもあまり電気代は変わりません。むしろ、強風で一気に乾かしたほうが、時短で電気代の節約になります」

エアコンのベストな設定

【21】節電タップを使う
⇒挿しただけでは意味なし

 節電タップは、電化製品を使用していないときにスイッチをオフにすることで待機電力を発生させない便利な商品。

「でも、それにプラグを挿すだけで満足していませんか? 節電タップはこまめにスイッチをオフにしないと節約になりません。さらにスイッチライトがつくタイプはその電気代もかかっています。オンオフしないと意味ないうえにランプの電気代がプラスされて、かえって余計な出費が増えていますよ!」

節電タップは挿しただけでは意味なし イラスト/まめこ

【22】お湯はその都度沸かさずポットで保温
⇒使うときに沸かすほうが節約になる

 自宅のポットで1日中お湯を保温していないだろうか。「特にひとり暮らしや家族の人数が少ない場合は、そのとき必要な分だけ沸かしたほうが電気代がかかりません」。家族が多い家庭や、来客があるときにはポットを使うなど、上手に使い分けを。

【23】エアコンの掃除はシーズン前だけ
⇒2週間に1度の掃除で冷暖房効率アップ

「エアコンのフィルター掃除の目安は2週間。大がかりな掃除は必要なく、掃除機で吸う程度でかまいません」。エアコンのフィルターの目詰まりは冷暖房の効果が下がる原因に。定期的な掃除が電気代の無駄を省いてくれる。

【24】エアコンは除湿運転より冷房がお得
⇒除湿運転の電気代は冷房の1.2倍!

 エアコンのベストな設定は『冷房・28℃・自動運転』。除湿運転は機種によっては、冷房より電気代がかかってしまうので要注意だ。「より冷房効率を上げたいなら、日中でもカーテンを閉め、扇風機を併用するのがオススメです」

【25】リモコンにはアルカリ乾電池を使う
⇒容量が小さいマンガン乾電池で十分

 ほとんど電池を消費しないリモコンに、大きな電流を流せるアルカリ乾電池はもったいない。しかも、アルカリ乾電池をリモコンに入れて長期間使うと液漏れを起こして内部を腐食させてしまうことも。「電気使用量が少ないリモコンは、容量が小さく、安く手に入るマンガン乾電池で十分です」

蛍光灯は1分でも長く消そう

【26】お風呂は自動運転
⇒細かい温め直しの繰り返しでガス代増

 冷蔵庫やエアコンは自動運転がおすすめだが、お風呂は別。「自動運転にしておくと、設定温度に保つために何度も沸かし続けるので、ガス代がかさんでしまいます」。入浴時間が1時間以上空くときは、入るときに追いだきを。

【27】洗濯機はいつも節水節電のスピードコース
⇒汚れに応じてしっかり使い分けを

 短時間で洗濯してくれるスピードコース。節約のために洗濯はいつもこれ!という人は要注意。「洗濯物の皮脂汚れは、時間とともに取れづらくなります。洗濯物をためて洗う場合、汚れが落ちきらないことも。汚れの度合いや量に応じてコースの使い分けを」

【28】トイレのタンクにペットボトルを入れる
⇒詰まって故障&汚水があふれる危険も!

「最近のトイレは節水型。ペットボトルを入れると流れる水の量が減り、紙や汚物が詰まってあふれ出す危険があります」。さらに、古いトイレを使っている場合は新しいものに変えると節約に。「トイレは15~20年で交換を。古いタイプのトイレは使用する水の量が多いので、新しいものに交換したほうが節水になりますよ」

トイレのタンクにペットボトルを入れるのは、詰まって故障&汚水があふれる危険も! イラスト/まめこ

【29】スマホの設定は変えないほうがいい
⇒画面の明るさを変えてバッテリー長持ち

「スマートフォンの設定を買ったときから変えていない人もいると思いますが、画面が明るければ明るいほど電力を消費します。最初の設定がかなり明るい場合は、適切に変えたほうが節電になりバッテリーを長持ちさせることができますよ」。設定の仕方がわからないときは人に聞こう。

【30】蛍光灯はつけたり消したりしないほうがお得
⇒今は1分でも消すほうが節約

 昔よく耳にした、蛍光灯は頻繁につけたり消したりすると電気料金がかかるという説。「それは昔の話。今はたとえ1分間でも消したほうが節電になります。もっと節約したいなら、リビングなど長時間使う部屋の蛍光灯をLEDに。寿命が長いので交換の手間も減らせますよ」

●家電や設備は定期的に見直そう!

 家電は年々省エネ化が進み、20年前のものは買い替えたほうが節約に。「給湯器も同様です。急に壊れるので、15年以上前のものは早めに交換を。壊れて黒煙が出たりすると、余計な修繕費がかかりますよ」

家電や設備は定期的に見直そう! イラスト/まめこ
教えてくれたのは……丸山晴美さん
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。22歳のときにひとり暮らしで節約に目覚め1年で200万円を貯めたことから、節約アドバイザーの道へ。著書に『節約家計ノート2022』(東京新聞)など多数。

《取材・文/後藤るつ子》