「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
福原愛('19年11月)

第69回 福原愛

 北京オリンピックが閉幕しましたが、メダルを取るという偉業をなしとげたアスリートたちも、結婚などの私生活はそれなりに困難を伴うものなのかもしれません。『週刊文春』2022年1月27日号が体操界のキング、内村航平のモラハラ疑惑および離婚危機を報じましたが、『FLASH』2022年3月1日号によると、元卓球日本代表の福原愛の“友人”が、愛ちゃんから不倫疑惑のあったA氏と再婚の意志があると聞かされたそうです。

 ここで愛ちゃんをめぐる報道について、振り返ってみましょう。2016年に台湾の卓球選手・江宏傑と国際結婚をし、台湾でお子さん二人を育てていた愛ちゃん。仕事のために日本に一時帰国しますが、『ポストセブン』が2021年3月4日配信の記事で、愛ちゃんとA氏との不倫疑惑を報じました。

世の中には“結婚に向かない人”も存在する

 記事によると愛ちゃんは知人を介した食事会でA氏と6〜7年前に知り合ったそうです。ソフトクリームをあーんと食べさせ合ったり、中華街食べ歩きなど、はた目には横浜デートを楽しんだかのような二人。その後、横浜のホテルに泊まったそうですが、記者に直撃された愛ちゃんは「それは事実ですが、ホテルの部屋は2部屋取っていた」「精神的にあまり安定していない私を、サポートしてくれる仲のよい友達の1人」と不倫関係を否定しています。4月1日発売の『週刊文春』では、愛ちゃんは夫からのモラハラや、義母、義姉からの干渉に悩んでいたこと、相談相手のA氏が実は既婚者だったと報じられています。

 もし二人の関係が本当に“お友達”ならA氏が既婚者でも問題はないはずですが、そうでないならW不倫となって、大分ヤバいことになりそうです。『週刊文春』2021年12月30日・2022年1月6日号では、A氏本人が11月に離婚し、その後、愛ちゃんと交際を始めたので不倫ではないと記者の質問に答えています。『文春』はA氏の元妻も直撃していますが、元妻ははっきり、離婚は愛ちゃんとの報道が原因であると認めています。愛ちゃんとA氏の交際は順調のようで、冒頭で述べたとおり「彼と結婚するつもり」と友人に報告したそうです。

「彼と結婚するつもり」と言っていた女友達が、実際には結婚しないというケースもよくあることです。これはオンナ同士の他愛ないおしゃべりの範疇(はんちゅう)ではないかと私は思いますが、もし愛ちゃんがA氏と本当に再婚するつもりなら、よーく考えたほうがいいと思います。なぜなら、世の中には“結婚に向かない人”というのも存在しているからです。

 婚活女性の相談を受けている私のもとによく寄せられるお悩みとして、「私は恋愛体質ではない。だから、婚活がうまくいかない」というものがあります。恋愛体質というのは、今ではあまり聞かない言葉かもしれませんが、「よく恋をする人、惚れっぽい人」という意味で、「恋をしていないとオンナとして終わっている」という恋愛至上主義の時代には、女性誌で「恋愛体質になろう」という特集がよく組まれていました。確かに恋愛結婚の場合、誰かに恋をし、相手にも自分を好きになってもらわないと成立しないわけですから、恋愛をすることは大事です。

 しかし、結婚して夫婦になると「配偶者が自分以外と性的関係を結ばないことを要求する権利」である貞操権が発生します。夫が妻以外の女性とセックスをした場合、妻が相手の女性に慰謝料が請求できるのは、相手の女性が夫婦間の貞操権を侵害していると考えられるからです。どんな結婚を望むかは人それぞれですが、自分の配偶者にぜひ不倫してほしいという人はほぼいないでしょう。すぐに好きな人ができてしまう「恋愛体質」の人が、配偶者以外に恋をしても心の中で思うだけで我慢できるなら問題ありませんが、誘惑に勝てる人ばかりとは限りません。結婚は「恋愛の打ち止め」を意味しますから、恋愛大好き、オトコ大好き、好きな人がコロコロ変わるタイプは実は結婚に不向きだと思うのです。

「異性に相談するクセ」がある人も要注意

 もう1つ、「悩みごとがあると、専門家でない異性に相談するクセ」を捨てられない人は、結婚に向かないと思います。『ポストセブン』の2021年12月22日配信記事によると、愛ちゃんは日本で活動するにあたり、会社を設立することにしたそうです。その際に年下ではありますが、知識も人脈も豊富なA氏のことを思い出して彼に連絡し、上述した横浜デートに至ったとういわけです。A氏が有名大学出身で有名商社に勤務するエリートサラリーマンということで、相談相手として適任だと思ったのかもしれませんが、一流アスリートが引退後に会社を作って活動することはよくありますから、そちら方面にもっと詳しい専門家がいるはずです。本当にビジネス上の助言を求めていたなら、もっと適任者が周りにいたのではないでしょうか。

 相談は男女が親密になるための“口実”として使われることはよくありますが、相談相手を選ぶとき、人は無意識に自分が相手に好感を持っている、もしくは自分に好意を持っていそうな人を選ぶものではないでしょうか。結婚すると、夫婦関係や子育て、自分の個人的な人間関係、仕事、親戚づきあいなど、無数にもめごとのタネがあります。不安や不満を抱えるたびに男性を頼ったり、男性に相談していたら、間違いが起きる確率は格段にあがってヤバいことになると思うのです。

 愛ちゃんは離婚して間もないですし、お子さんとも離れてさみしいのかもしれません。A氏も日本人なら誰でも知っていると言って過言ではない、愛ちゃんという有名人女性とつきあえて周りが見えなくなっているのではないでしょうか。他人サマに結婚するなと言う権利など誰にもありませんが、再婚の意志が本当でも、何も「今すぐ」する必要もないように思うのです。

 結婚は“契約”ですから、結婚すると守らなくてはいけないことが増えます。その枠に収まるのが苦手なのに結婚するから、ヤバくなってしまうわけです。それなら、結婚しないという形で恋愛を続ければいいのではないでしょうか。離婚そのものがマイナスになる時代ではありませんが、異性が絡んでの離婚の場合、イメージダウンは避けられません。急がずに、ゆっくり判断してほしいものです。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」