春野菜いろいろサラダ撮影/廣瀬靖士

 実は寒い季節に身体にたまりまくっている老廃物。春野菜にはその“毒素”を排出してくれる成分がたっぷり含まれています。季節の変わり目の「だる重」ボディを内側からスッキリ変えていきましょう。

野口知恵さん

 管理栄養士、日本野菜ソムリエ協会認定野菜ソムリエ上級プロ。講演、レシピ開発、コラム執筆、メディア出演など幅広い活動を通じて、野菜・果物×栄養とおいしさを伝えている。

阪下千恵さん

 料理研究家、栄養士。作りやすく栄養バランスのよい料理が好評で、特に野菜を使ったレシピが人気。『ホットクックで作る ときめきアジアごはん』(日東書院)など著書多数。

春野菜には “毒素”を排出してくれる成分がたっぷり

 だんだん暖かくなると「春が来た~!」と、心もうきたつもの。けれどもこの時期は、むくみやコリ、胃腸の不調、だるさや、自律神経の乱れを訴える人が少なくない。

「冬の間に老廃物をため込んでしまっていることが原因のひとつです」とは管理栄養士の野口知恵さん。

「寒さや運動不足から、冬は血行不良になりがち。すると酸素や栄養素が身体中に行き渡りにくくなるのに加え、老廃物も流れずに滞ってしまいます。夏に比べ水分もとらなくなるのも、血行不良の原因。尿や汗の量が減るので、老廃物が排出されにくい身体に」(野口さん、以下同)

 そこで春野菜。身体にため込んだ毒素や老廃物を、体外に排出する効果が高いのだ。

「春野菜は菜の花やふきのとうなど、苦みのあるものが多い。その苦み成分こそ、デトックスに役立つんです」

 苦み成分は“植物性アルカノイド”という栄養素で、腎臓の機能を高め、毒素の排出を促す効果がある。菜の花には“イソチオシアネート”という肝臓の解毒作用を高める成分もあり、デトックス効果は大。他にも、タケノコの白い塊は“チロシン”というアミノ酸で、やる気をアップさせ活動的に。アスパラやさやえんどうには栄養ドリンクにも使われるような“アスパラギン酸”が含まれ、疲労回復をサポートしてくれる。

 また野菜にはカリウムや食物繊維が豊富なのも見逃せない点。「冬は寒いので味の濃いものを食べがちで、身体がナトリウム過多となれば、むくみや高血圧の原因に。カリウムはナトリウムを体外に排出させるので、しっかり摂りたいですね」

 野菜を使ったレシピに定評のある料理研究家の坂下千恵さんは、「新キャベツや新玉ねぎ、新ジャガイモは、水分量がとても多い。栄養と一緒に、冬場に不足した体内に必要な水分をしっかり補うことができるはず」と話す。

 うれしい効果がめじろ押しの春野菜。期間限定の旬のおいしさを堪能しつつ、身体の中からフレッシュに変身させちゃおう。

毒素排出に重要な栄養素

カリウム

 多くの野菜に含まれる成分。ナトリウムを排出する作用があるので、塩分のとりすぎを調節するうえで重要。体内の水分調節にも関わる。

イソチオシアネート

 菜の花や春キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる。腎臓のろ過機能を向上させて新陳代謝を活発化し、老廃物を体外に排出。免疫力アップにも効果的。

植物性アルカノイド

 ふきのとう、菜の花などに含まれる苦み成分。腎臓のろ過機能を高め、身体の中の老廃物やたまった水分の排出を促し、新陳代謝を高める働きが。

春のわくわく感をこのひと皿で!
春野菜いろいろサラダ

【 材料と作り方(2人分) 】※以下、電子レンジはすべて600Wを使用
1 キャベツ1~2枚は3cm四方に切り、塩少々をまぶして軽くもみ、5分おく。アスパラガス4本は根元の皮をピーラーでむき、長さを3等分にして約1分ゆでる。さやえんどう8枚は筋をとり、約1分ゆでて冷水にとる。新玉ねぎ1/4個は薄切りにして水にさらす。すべて水けをきっておく。

2 新じゃがいも小2個は皮つきのままくし形切りにして、約10分ゆでてザルにあげる。

3 ゆで卵2個は半分に切る。むきエビ8尾は塩少々をまぶして軽くもみ、水で流して水けをふき、沸騰した湯で約3分ゆで、ザルにあげて水けをきる。

4 オリーブ油大さじ2、酢大さじ1、塩小さじ1/4、こしょう少々を混ぜ合わせ、(1)と(2)を加えてあえる。器に盛り、ブラックペッパー、粉チーズ各適量をふる。

みずみずしくて苦みもマイルド
【新玉ねぎ】

 血液をサラサラにする働きのあるアリシンや、抗酸化作用が期待できるケルセチンというポリフェノールが豊富!

簡単料理なのにオードブル感のあるリッチなひと皿
新玉ねぎとスモークサーモンのマリネ

新玉ねぎとスモークサーモンのマリネ 撮影/廣瀬靖士

【 材料(2人分)】
新玉ねぎ 1個
スモークサーモン 80g

 (A)
  オリーブ油 大さじ2
  白ワインビネガー(または酢) 大さじ1と1/2
  粒マスタード 小さじ1と1/2
  砂糖 ひとつまみ
  塩、こしょう 各少々

ディル(あれば) 適量

【 作り方 】
1 玉ねぎは薄切りにして水に5分ほどさらし、ペーパーに包んで軽く絞り、水けをきる。

2 スモークサーモンは2~3等分に切る。

3 (1)と(2)をAであえ、器に盛り、ディルをちぎってちらす。

☆POINT
アリシンは水に溶け出しやすい特徴が。水にさらすときは短時間がおすすめ

甘くてふっくらやわらかい
【春キャベツ】

 解毒作用や抗酸化作用を高めるイソチオシアネートのほかビタミンCやビタミンUなど、栄養ぎっしり。

キャベツの甘みとコクで奥深い味わい
キャベツカレー

キャベツカレー 撮影/廣瀬靖士

【 材料(2~3人分)】
キャベツ 1/5個(250g)
新玉ねぎ 1/2個
豚ひき肉 150g
トマト 1個
水 1と1/2カップ
ウスターソース 小さじ1
カレールー(市販品) 3かけ(60g)
ごはん 2人分

【 作り方 】
1 キャベツ、トマトはざく切りに、玉ねぎはくし形切りにする。

2 鍋に豚ひき肉を入れて中火にかけ2~3分炒める。(1)の玉ねぎ、キャベツを入れて1〜2分炒める。トマト、水、ウスターソースを加えて中火で1度沸騰させ、弱火にしてふたをし、野菜がやわらかくなるまで10分ほど煮る。

3 カレールーを入れ、弱火で混ぜながら煮る。ごはんを盛り、カレーをかける。

☆POINT
ビタミンCやUは水溶性。ルーにたっぷり溶け出しているのであますところなく栄養をいただけちゃう!

水分量が多く皮ごといける!
【新じゃが】

 ビタミンCの含有量が多く、風邪や病気に対する免疫力を上げ、鉄やカルシウムの吸収も高めてくれる。

トースターで簡単!大人も子どもも大好きな味
新じゃがと鮭のチーズ焼き

新じゃがと鮭のチーズ焼き 撮影/廣瀬靖士

【 材料(2人分)】
新じゃが 2個(300g)
生鮭(切り身) 2切れ
マッシュルーム 4個
塩、こしょう 各少々

(A)
  プレーンヨーグルト  大さじ1
  マヨネーズ 大さじ1

溶けるチーズ 60g

【 作り方 】
1 じゃがいもは洗って耐熱容器に入れ、水大さじ2(分量外)を入れてふんわりとラップをし、電子レンジで約5~6分、途中上下を返して、竹ぐしが通るまで加熱する。8mm~1cm厚さに輪切りにし、塩をまぶす。

2 マッシュルームは5mm厚さに切る。鮭は骨と皮を除いて、ひと口サイズに切り、水けをとって塩、こしょうをまぶす。

3 耐熱容器に(1)と(2)を交互に並べ、混ぜ合わせたAをかける。チーズをのせ、トースターで5~7分焼き色がつくまで焼く。

☆POINT
活性酸素を抑制するサーモンのアスタキサンチンとの共同作用で、抗酸化作用がよりパワーアップ!

※2022年3月15日号の『週刊女性』では、ほかにも菜の花やふきのとうなど、春野菜を使ったレシピを紹介!

レシピ・調理/阪下千恵 スタイリング/鈴木亜希子 取材・文/樫野早苗