NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演している小池栄子

 NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で小池栄子(41)が存在感を見せている。

大河で輝く小池栄子のこれまで

 主人公・北条義時(小栗旬)の姉で、源頼朝(大泉洋)とともに鎌倉幕府の基礎をつくる北条政子の役だ。夫の死後には、朝廷とも戦い、勝利して「尼将軍」とまで呼ばれた。

 大河出演は2度目で、前回は『義経』の巴御前。こちらは自ら戦場にも出る勇ましい役だった。

 とまあ「強い女」がハマる彼女。自分でも、こんなことを言っている。

「何をしゃべっても偉そうで、圧があるって言われてしまうんですよね(笑)」

 ちなみに、デビュー時のキャッチコピーは「宇宙一のメロンパイ」。バスト91センチが売りのグラビアアイドルだった。ただし、当時主流の「癒し系」ではなく、笑顔を見せないことから「威圧系」として話題に。やはり「圧」がポイントだったわけだ。

 そこからバラエティー、ドラマ、映画へと進出していくのだが、危機にもけっこう遭遇している。2004年に事務所が分裂。「メロンパイ」の命名者でもある創業者が多くのタレントを連れて出ていった。このとき、彼女は佐藤江梨子とともに残留したが、11年後の2015年に倒産してしまう。

 また、'07年にはプロレスラーの坂田亘と結婚したものの、その後、夫の借金が発覚。その額は3億円とも報じられ、離婚の噂も流れた。夫が所属していたプロレス団体も経営難に陥り、夫は引退して、現在は小池の個人事務所の社長だ。

 にもかかわらず、彼女は危機のたびに飛躍してきた。事務所の分裂では女優業メインに舵を切り、夫の借金については個人事務所でバリバリ仕事をこなすことで返済を加速させたのだ。

ピンチをチャンスに変えてきた小池栄子

 そんな生き方の原点は、中学時代に経験した実家の没落だろう。祖父はパチンコ店の経営などで長者番付に載るほどの実業家だったが、父の代に会社が傾き、自社ビルも手放すことに。お嬢さま育ちだった小池は「一獲千金」を夢見て芸能界に飛び込んだことを著書で明かしている。

 つまり、危機を転機にかえる生き方がここから始まったわけだ。そのうえで、役に立ったのがオジサン受けのよさ。彼女は子どものころ、実家のパチンコ店に通うその日暮らしのオジサンからチョコレートをもらったりして「人が好きになった」と語っている。このあたりに、太田光などの大物芸人はもとより、村上龍のような作家にも可愛がられる素質が垣間見える。

 なお、こういうタイプは女性に嫌われがちだが、女子校育ちの彼女はそこもある意味ぬかりない。健康番組で医師に「死ぬかもしれない」と言われるほどの便秘を告白。女性ウケしそうな正直キャラを見せてきた。そうこうするうち、便秘薬のCMにも出るようになったのだから、まさに危機を転機にかえる名人といえる。

 ところで、彼女の夫はバラエティー番組で「乳吸い」という企画をやったことがある。スタッフいわく「日本一のおっぱいを楽しめている男が世界の動物の乳を吸いに行く」というものだ。そのスタッフが小池にも話したところ「亘くんは面白い人なんですけど、そういう面がなかなか出せない」として、

「面白く料理してもらえるんだったら、私のおっぱいなんてフリに使ってください」

 と、笑って答えたという。

 思えば、巨乳グラビアアイドルブームも遠い過去。消えた人も多い中、バストを女優人生の前フリのようにできたのが彼女だ。尼将軍にもひけをとらない「圧」はますます強まっていくに違いない。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)