ひと晩保温し、かき混ぜる(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

 健康志向が高まり、今また見直されている手作りみそ。でも、完成まで時間がかかるだけでなく、あれこれ食材や道具をそろえなくてはいけなかったり、なかなか手が出せずにいる人も多いのでは。

「そんな人におすすめなのが、“ひと晩発酵みそ”。炊飯器を使って簡単に作れるうえ、初心者でも失敗知らずなんですよ」

 そう話すのは、料理家で発酵マイスターの榎本美沙さん。おからと米麹で作るみそは、やわらかな甘みが特徴で、塩分は控えめ。

「強いうまみと程よい塩けがあるのでほかの調味料をたくさん使わなくても料理がおいしくなります。みそ汁やそれ以外の料理でも大活躍します」(榎本さん、以下同)

 さらに、発酵調味料ならではの効果も。

「みそに含まれる豊富なオリゴ糖が腸内環境を整えるほか、免疫力アップや、疲労回復の効果も期待できます」

 ひと晩発酵みその作り方とともに活用レシピもご紹介。おいしくて身体にもうれしいみそで、食卓から健康に!

おからと米麹で作る!“ひと晩発酵みそ”の作り方

 炊飯器の保温機能を使うことで、ひと晩で完成する。できたてみそのおいしさは格別!

■材料(できあがり約1kg)

・米麹(生)………500g
・おから(生)……300g
・塩(粗塩がおすすめ)…50g

※乾燥麹を使う場合は、作り方2で米麹とおからを混ぜ合わせてから、ぬるま湯1/2カップを目安に加える。

【作り方】

《手順1》米麹と塩をくだく

 米麹はフードプロセッサーに入れ、細かくくだく。塩を加えてさらに攪拌し、ボウルなどに移す。

《手順2》鍋で温める

鍋で温める(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

 鍋に、おから、水1と1/2カップ(分量外)を入れて弱めの中火にかけ、混ぜながら50度くらい(指を入れてみてやや熱いと感じる程度)に温める。1に加え、手でつぶすようにしながらよく混ぜる。

《手順3》炊飯器に詰める

 片手で握れるくらいの量を取り出し、空気を抜きながら丸め、炊飯器の内釜に詰める。残りも同様に詰めたら、炊飯器に内釜をセットし、ぬれ布巾を2重にかけて保温する。

《手順4》ひと晩保温しかき混ぜる

ひと晩保温し、かき混ぜる(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

 炊飯器はふたを開けたままの状態で6~8時間おき、木べらなどで軽くかき混ぜる。清潔な保存容器に移したらできあがり。冷蔵庫で約1か月保存できる。

《注意点》
※フードプロセッサーがない場合は、米麹を包丁で粗く刻む。
※60度に設定できる調理機器であれば、ヨーグルトメーカーや保温調理鍋などでも同じ時間で発酵できる。
※炊飯器の機種によって仕様が異なるため、事前に取扱説明書の確認を。保温中のヤケドに注意!

長ねぎと厚揚げのみそ汁

みそ+厚揚げで大豆の栄養たっぷり!『長ねぎと厚揚げのみそ汁』(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

■材料 (2人分)
・長ねぎ(2.5cm幅に切る)……1本
・厚揚げ(細長く半分に切ってから1cm幅に切る)……2分の1枚(75g)
・だし汁……2カップ
・ひと晩発酵おからみそ……大さじ3

■作り方■

 鍋にだし汁を中火で煮立て、長ねぎ、厚揚げを入れてふたをし、5~6分煮る。弱火にし、みそを溶き入れる。

《ワンポイント》長ねぎは大きめにカットして食べ応えアップ。長めに煮ることでやわらかくする

じゃがいもとコーンの豆乳みそスープ

発酵食品とビタミンCで肌トラブル予防『じゃがいもとコーンの豆乳みそスープ』(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

■材料 (2人分)
・じゃがいも(8等分に切る)……1個(150g)
・ホールコーン(缶詰)……大さじ3
・だし汁……1と2分の1カップ
・豆乳(無調整)……2分の1カップ
・ひと晩発酵おからみそ……大さじ3

■作り方■

 鍋にだし汁、じゃがいもを入れてふたをし、中火で煮立てる。弱めの中火にし、8~10分煮る。豆乳を加えて温め、コーンを加え、みそを溶き入れる。

《ワンポイント》豆乳を加えたら、沸騰させないように注意

みそバタートースト

食パンとの意外なハーモニー『みそバタートースト』(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

■材料 (2人分)
・食パン……2枚
・ひと晩発酵おからみそ……大さじ2
・バター、刻みのり……各適量

■作り方■

食パンにみそをまんべんなく塗り、オーブントースターでこんがり焼く。熱いうちに、バター、刻みのりをのせる。

《ワンポイント》みそは塩分控えめなので、たっぷり塗っても塩辛くならず、おいしい

みそスクランブルエッグ

定番料理がコクのあるおいしさに『みそスクランブルエッグ』(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

■材料 (2人分)
 ★溶き卵……2個分
 ★ひと晩発酵おからみそ……大さじ1
・サラダ油………小さじ2
・万能ねぎ(小口切り)……1本

■作り方■

 フライパンにサラダ油を中火で熱し、★を流し入れ、菜箸で大きく混ぜる。半熟になったら器に盛り、万能ねぎをふる。

《ワンポイント》みその甘みだけでおいしく仕上がるので、ほかの調味料は必要なし!

きゅうりとかぶのみそ漬け

“ひと晩発酵みそ”で漬物も『きゅうりとかぶのみそ漬け』(撮影/鈴木泰介 スタイリング/久保田朋子)

■材料 (2人分)
・きゅうり(斜め薄切り)……1本
・かぶ(縦半分に切ってから縦薄切り)……1個(100g)
 ★ひと晩発酵おからみそ……大さじ4
 ★みりん(煮きる※)……大さじ1
※電子レンジ(600W)でラップをかけずに40~50秒加熱し、アルコール分を飛ばす。

■作り方■

 ポリ袋に★を入れてもみ混ぜ、きゅうり、かぶを加えてなじませ、冷蔵庫にひと晩おく。

《ワンポイント》塩分控えめなので、みそは落とさず食べられる

『からだが整う“ひと晩発酵みそ”」著=榎本美沙さん(主婦と生活社)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
PROFILE●榎本美沙さん●料理家・発酵マイスター。YouTubeチャンネル「榎本美沙の季節料理」、Instagram(@misa_enomoto)も⼈気。著書に『からだが整う“ひと晩発酵みそ”』(主婦と生活社)ほか。

(取材・文/後藤るつ子)