中京大学の入学式で取材に応じた鍵山優真

「これまでは実感がなかったんですけど、入学式に参加したら、“本当に大学生なんだな”と思いました」

 4月5日、北京五輪と世界選手権で銀メダルを獲得したフィギュアスケートの鍵山優真が、中京大学の入学式に参加した。

「中京大学は、浅田真央さんや安藤美姫さんなど、フィギュアスケートのトップ選手が多く通っていたことでも知られています。現在も世界選手権金メダルの宇野昌磨選手や、ペアで銀メダルを獲得した三浦璃来選手らが在学中です」(スポーツ紙記者)

僕はちゃんと4年で卒業したいので…

 入学式後の会見には、コーチである父・正和さんに買ってもらったという新しい紺のスーツ姿で登場。少し緊張した面持ちで、中京大を選んだ理由についてこう話した。

スケートをやるうえでの環境がいちばんの決め手となりました。中学や高校はあまり行けていなかったので、大学生活こそは楽しみたいと思いながらも、スケートでもっと上を目指したいと思ったので。父とも、“環境で選ぶならここしかないよね”という話をしました」(鍵山、以下同)

中京大学のマスコットキャラクター『チューグル』と笑顔で記念撮影をする鍵山優真

 中京大には国際スケート連盟の基準を満たしたスケートリンクがあり、選手にとってはこの上ない練習環境が整っているのだ。

 スポーツ科学部に進学する鍵山は、もちろん勉強にも意欲を見せている。

「栄養のことやトレーニングの仕方、身体づくりなどは今後につながってくると思うので、しっかり勉強したいと思います」

 これからは、かなりハードな新生活になりそう。

「単位が大変になると思います(笑)。僕はちゃんと4年で卒業したいなって思ってるので、大学生活とスケートをしっかり両立させたいです」

大学生活と競技の両立、その難しさ

“4年で卒業”なんて、わざわざ目標に掲げることのようには思えないけれど、先輩スケーターたちはそろって苦戦していた様子。

中京大学の先輩である浅田さんは、'09年に入学して、1年間の休学を挟んで'15年に卒業しています。宇野選手も、'16年に入学して現在も在学中です。また、早稲田大学に通っていた羽生結弦選手は8年生で卒業しています」(前出・スポーツ紙記者)

中京大の『オーロラリンク』

 スポーツジャーナリストの折山淑美さんも、大学生活と競技を両立する難しさを憂慮する。

「試合では遠征があり、当然、日々の練習時間を確保する必要もあります。大学の勉強や課題などをこなす時間をつくるのはかなり難しいでしょう。特に本格的なシーズンに入ると、練習以外はほとんど何もできないのではないでしょうか」

 あの選手たちも……。

北京五輪金メダリストで、アメリカの名門・イェール大学を休学していたネイサン・チェン選手は北京五輪を終えて、復学して勉強に集中したいと言っています。羽生選手もコロナ禍に卒論を仕上げていましたが、試合がなくなり時間ができたおかげだと思います」(折山さん、以下同)

 鍵山は先輩金メダリストたちに倣って、大学4年で迎えるミラノ・コルティナ五輪での金メダルに向けて、競技を優先させるだろう。

「本人も“なにがなんでも4年で卒業”と思っているわけではないでしょう」

 学業とスケートを両立する難易度は高いけど、金メダル級の努力で頑張ってほしい!