藤あや子(写真集『FUJIAYAKO』より 撮影/浅井佳代子)

『NHK紅白歌合戦』には21回出場、演歌歌手として不動のキャリアを築いてきた藤あや子。

 4月15日に発売された写真集『FUJI AYAKO』では、還暦にして初のビキニ姿を公開した。その引き締まった抜群のスタイルに、絶賛の声が寄せられている。

この年で脱ぐなんて、周囲にはどう思われるだろうってドキドキでした。“何目指してんの?”なんて言われそうじゃない。今も恥ずかしくて、まともに写真を見られないの」(藤あや子、以下同)

 友人の坂本冬美からは、雑誌に出た翌日に絵文字だらけのメールが来た。

「“めちゃくちゃいいね!!”って。うれしかったな」

 当初、フォトエッセイを作る予定で行われていた撮影だったが……、

「スタッフの間で“これは写真集にしないともったいない”なんて声が上がったんです。私は最初“写真集なんてありえないでしょ。ましてや水着なんて……”って思っていたんだけど、結局、カメラマンの浅井(佳代子)さんが素晴らしくて!」

 以前、『週刊現代』でのグラビアで撮影を担当した浅井さんの腕にほれ込んだ藤。

「こんなふうに素敵に女性を撮れる方がいるのかと。彼女に『可愛い』『いいね』と声をかけてもらいながら、女性スタッフだけで撮影しました。男子禁制の現場でしたよ」

40代から体力の衰えを感じて

 自宅ではスッピン派の藤。美肌だが、スキンケアで続けているのはクレンジング後に美容液を浸透させる“蒸しタオル美容法”ぐらいだ。実は努力という言葉もあまり好きではないそう。

シャドーボクシングでシェイプアップを図る藤あや子(本人インスタグラムより)

べつに写真集のために身体を鍛えたわけじゃないんです。昔はお酒も大好き、おいしいものをたらふく食べてって生活でした。それが40代のころから筋力や体力の衰えを感じて、このまま年をとってしまうのかなって……

 だがそのまま行動できず、10年前にようやくヨガに目覚めた。そこからピラティスをスタート、2年半前からはキックボクシングも始めた。

「自分の背中の写真を見て驚いたの。“私こんなバキバキの背中なの?”って。これ、キックボクシングの成果だと思う」

 

藤あや子(写真集『FUJIAYAKO』より 撮影/浅井佳代子))

  落ちない贅肉のラスボスは“脇腹の肉”だった。

「これはお酒が原因なんだろうな~とは思っていたの(笑)。3年前にようやく断酒して落としました!」

 きっかけはジェニファー・ロペスだ。

「彼女、50歳を過ぎてもボンキュッボンのスタイルでしょ? そのロペスが『アルコールはNGよ』って。これはもうお酒をやめようと。それから1滴も飲んでいません」

 愛猫家としても有名な藤は2匹の保護猫・マルとオレオとの日常をSNSで発信、人気を呼んでいる。

「猫への愛やときめきも大事なのかも! オス猫のマルを毎晩、お風呂入る前に裸で抱っこしてるの。素肌と素肌を合わせるって大事よ~」

 ちなみに抱っこされる役目は主にマル限定。メス猫オレオは夫に夢中なのだそうだ。

「抱っこしていると、可愛すぎてヨダレがジュワッと出てくるの。いつも裸だから、ある時なんかマルが肩に上って背中に引っかき傷ができちゃった。翌日がイブニングドレスの撮影でどうしようってなったけど……でも、その傷さえも愛おしいのよ!」

還暦を迎えたときに思ったこと

 かつては、陰のある美貌や妖艶な佇まいから魔性の女と呼ばれたこともあった。

若いころは破滅願望がありました。“若く美しいまま死にたい”みたいな。でも30歳ぐらいで美人薄命って言葉が似合わなくなって、40歳になったら……もうそんなこと言えないな~って(笑)

藤あや子(写真集『FUJIAYAKO』より 撮影/浅井佳代子)

 とはいえ“人生は年齢を重ねてもマイナスにならない”と気づいた藤。

還暦を迎えたとき、意外とまだ自分いけるなって思ったの。そして、ここからの10年は相当重要だから手は抜けないぞ、と。“自分は年なんで、もういいです”と思うのも人生だし、たった一度の人生を無駄なく自分らしく生きるのも人生。それなら、自分らしく生きたい。この写真集も“自分が生きた証”。振り返ったときに、自分が輝いていたなって思える生き方をしたいですね

取材・文/ガンガーラ田津美