広島県呉市の谷本誠一市議

「国と航空会社を提訴したことについては28日の記者会見でお話しますので、そこには触れませんよ」

 広島県呉市の谷本誠一市議はこの条件のもと、週刊女性PRIMEのインタビュー取材に応じてくれた。

マスク拒否で旅客機が1時間14分遅れに

 なぜ呉市の市議会議員が国と航空会社を提訴するのか、始まりは今年2月に起きた騒動だった。釧路空港から羽田空港へ向かうエア・ドゥの旅客機内で、谷本市議と知人男性がマスク着用を拒んだため、離陸前に降ろされていたことが発覚。同機には乗客44人が乗っており、この騒動のせいで出発は1時間14分遅れとなった。

 降ろした理由について、エア・ドゥ側は、

「ほかの乗客に不快感や迷惑を及ぼし、安全や健康に危害を及ぼすおそれがあったから」

 と説明。これに対して谷本市議は、

「国交省も言っているように、飛行機でマスクを強要することはできません。着用はあくまでお願い。そして、私が降ろされたことは、明らかに基本的人権の尊重などに抵触する憲法違反なのです」

 と真っ向から反論した。

 3月1日、この件を受けて広島県呉市議会は、谷本市議の行為は市議の倫理基準に違反し、責任を免れることはできないとして、議員辞職勧告決議案を全会一致で可決した。だが、この勧告には法的拘束力がないため、辞めるか辞めないかはあくまで本人に委ねられている。

 そんななか、谷本市議は辞職どころか、国と航空会社を相手どって、降機命令の取り消しと20万円の損害賠償などを求めて、広島地裁に提訴することが明らかに。28日にその手続きをした上で、記者会見を開くことになったのだ。

 週刊女性PRIMEは2月の騒動直後に谷本市議を直撃取材。その際、マスクを拒否した真相について、

「新型コロナウイルス感染症自体がとんでもない茶番劇。世界を操る闇の組織による陰謀なんです。私はそれには屈しない」

 というトンデモ発言が飛び出していた。今もその考えは変わっていないのか、谷本市議に聞いてみると、

1月中旬、十数名が集まる“ノーマスク”懇親会に参加する谷本誠一市議(本人SNSより、一部加工)

ネットにそう書いてある

「それはネットにもそう書いてありますし、そういうことを言っている人もそこそこいる。陰謀を唱えている本だってある。それらを、私なりに解釈して陰謀だと判断している」

――では、世界を牛耳っている“闇の組織”とは一体何者なのか?

「闇の勢力ですから、本当のところはわからないんです。医学界などを支配する一部の特権階級なのか、あるいはロスチャイルドの末裔、各国の王室なども関わっているようなものとも言えます」

 さらに、谷本市議は突飛な持論を展開。新型コロナウイルスは一部の勢力が自分たちだけが利益が得られるために作った生物兵器のようなものだ、という。

「そうした陰謀に、世界中の国も、自治体も、マスコミも騙されている。マインドコントロールされている。踊らされている。服従させられていると見ています」

――公人である谷本市議が闇の組織の存在を声高に叫ぶと、それこそ闇に葬られてしまうのでは?

「それは大丈夫。陰謀論を主張しているのは、私だけではありませんからね」

マスクを着用しない理由については、

「感染拡大の予防効果がないからです。ないどころか、酸素不足になって思考能力が低下してしまう。ちなみに私は65歳で持病はありませんけれども、ワクチンを接種しません。手洗いと消毒、換気はしていますけどね」

昨年末、“ノーマスク”懇親会に参加する谷本誠一市議(本人SNSより、一部加工)

 闇の組織と徹底抗戦する手段のひとつとして国と航空会社を訴えるという谷本市議。

「だけど、28日の記者会見では、その陰謀論云々は言及しませんよ。バカにされてしまうから」
 
 この珍騒動の結末はいかに。