秋田めぐみ市議

「神奈川県川崎市では今、秋田めぐみ市議に対する2つの疑惑が浮上していて問題になっています」

 地方議会関係者は困惑した表情で言い放った。

 秋田めぐみ市議(40)とは何者か。本人のSNSによると、滋賀県出身で、神戸女学院大学を卒業後、みずほ銀行に入社。その後、三井物産グループへと転職したという。その間に結婚して、一男一女をもうけている。

 以降は子育てと仕事を両立しながら地域のボランティア活動などにも参加。地域貢献に目覚めた彼女は、最も長く住んでいて第2の故郷ともいえる川崎市から無所属の市議として立候補を決意。2019年4月の市議選で初当選を果たした。

「19年はちょうど無所属の現職議員が出馬を断念した時だった。そんな中、彼女が無所属で立候補したんですね。秋田さんは目立つ存在ですしね……タイミングが本当に良かったんだと思いますよ」(川崎市の市民)

 とはいえ前述した通り、大企業に勤め、母となり、地域活動に目覚めて、市議へ、と経歴を見る限り何も問題はなさそうだが……。

“怪しい人”に1年半で711万円

「当選して3か月経った7月頃から“怪しい人”に政務活動費が注ぎ込まれるようになったんです」

 そう話すのは、地方紙社会部記者だ。

 政務活動費は年間で約540万円まで使用が認められているものだが、

「“怪しい人”というのは、60歳代の男性占い師・M氏。以前から秋田市議と親交のあった人なのですが、彼が東京の六本木に会社を設立したのは19年9月で、その翌月から秋田市議の政務活動費が振り込まれるように。お金を流すために、会社を作ったかのようなタイミングですよね」(同・記者)

 M氏の会社への振り込みの名目はというと、『台風に関する調査』『コロナウイルスに関する調査』など。本当に調査を依頼していたのか……。たとえ調査していたとしても、市議が政策方針を占い師に頼っているのは問題視される行動ではないだろうか。

 しかも、その金額というと……およそ1年半に渡って20数回振り込まれており、多いときには1回60万円を超え、合計すると、711万円にものぼる。

秋田めぐみ市議が占い師・M氏へ支出した項目と金額(金屋理事長、提供)

 秋田市議の政務活動費“不正疑惑”の追求はすでに始まっている。冒頭の地方議会関係者は、こう証言する。

「川崎市監査委員が昨年、秋田市議の一部の事務所経費や広報費など100万円以上が不適法だとして返還勧告を2回出しています。だが、秋田市議はいまだに応じておらず、川崎市長の名で督促状が4回出されるという異例の事態に陥っている」

 M氏に支払われた過大な調査研究費・人件費・広報費など全額を取り戻すべき。そう話すのは、この問題を追求するNPO法人『国民の健康と生活を守る会』の金屋隼斗理事長。

「川崎市では、現在9人の市議が同じく政務活動費の不正疑惑で裁判を起こされていますが、その中でも秋田市議はとくにヒドイ」(金屋理事長、以下同)

 秋田市議はみずからM氏に金額を提示するだけで、見積書や請求書も作成していないという。一般企業ではあり得ないことだ。

「コロナ禍で生活が苦しくても、市民は税金を納めています。そんな血税から出ている政務活動費がムダ遣いされているのは我慢できない。説明責任を果たせないのであれば、早急に返還してほしい」

 だが、秋田市議は疑惑に関するヒアリングを拒否している。

秋田めぐみ市議を直撃すると…

 4月中旬、沈黙を貫く秋田市議を直撃。その場所はというと、東京・西麻布にあるマンション。彼女は川崎市議でありながら、現在、川崎市に住んでいないのではないかという疑惑もかけられている。地方自治体の議会議員は自身の自治体に居住実態がないと、議員の職を失うと地方自治法によって定められている。

「私宛てに“秋田市議は川崎市に住んでいない”などの情報が多数寄せられてきました。先日、秋田市議に対する議員資格審査特別委員会の設置を求める陳情が受理されたので、市議会がどう動くのか注目していただきたい」

 その西麻布のマンションで記者が名刺を出して名乗ると、驚いた表情になった秋田市議。政務活動費711万円が占い師に流れていることについて質問すると、

「流れているって、なんですか? お給料ですよ。あなたも会社からお給料をもらっていますよね?」

 川崎市議の年収は1400万円ほど。確かにそこから支払われているものであれば問題ないのだが……給料と経費の違いも理解していないのだろうか。

 Mさんは政治コンサルタントができる人かと尋ねると、急に無言になった秋田市議。

記者の名刺をじっと見続ける秋田めぐみ市議

 M氏のHPを見ると、彼の肩書きは占い師・パーソナルコンサルタント。占いの対面セッションは“1時間6万円”とあり、あとは「決められた運命」「魂が望む未来」などスピリチュアルな言葉が並ぶだけで政治に関する文言はひとつも見つからない。

「Mさんのホームページは見ておりませんので、占い師ということは知りません」

 多額の税金を支払う相手のことも何も調べていないのか?

「……」

 続いて、川崎市以外の居住実態があることについて問うと、

「西麻布のマンションには大切なお客さまと会うために来ているんです。お客さまに頼まれたものを買って届けに来たんです。自宅は川崎にありますから」

 だが、彼女が手に持つエコバックにはお惣菜やパン、日用品などが入っていて……。

「時間がないので、あとは日時を指定してくれれば、弁護士さんに相談してインタビューに応じますから」

 と告げて、マンションとは逆方向に足早に消えていった。

議会では“不思議ちゃん”と呼ばれている

 別の日、占い師・M氏に話を聞くため、六本木にある彼の会社を訪ねるとインターホン越しに答えた。

−−Mさんですか?

「はい」

−−秋田市議の政務活動費711万円があなたの会社に支払われていますね?

「はい……」

 政治コンサルタントはできるのかという問いかけに、終始無言となったM氏。以後は何度、インターホンを押しても、反応しなくなった。

「ヒアリングにも出てこない、督促状にも従わないので、本来は議会で辞職勧告決議案が提出されてもしかるべきところ。ですが、ほかの議員にも似たような疑惑があるからなのか、一向にそんな話にならない。議会内で彼女は“不思議ちゃん”と呼ばれていて……誰も関わりたくないのです」(前出・議会関係者)

 川崎市民をなんとも馬鹿にした話である。秋田めぐみ市議は政治家らしく、かけられた疑惑について正々堂々と説明してほしい。