1.親指の腹を上向きにし、耳の穴の奥まで入れ、上方向にゆっくり押し上げる 撮影/矢島泰輔

 テレワークなどでおうち時間が増え、同じ姿勢を続けたために上半身がどうも不調……という人も多いのでは? ゴッドハンドとして知られる骨格矯正士の清水ろっかんさんが、そんな症状をてきめんに和らげる方法を教えてくださいました。耳の穴にあるキーポイントを押すことで、こり固まった頭蓋骨周りの筋肉をゆるめることができるのだとか。さっそく試してみて!

ゴッドハンドがストレッチ法を伝授

 コロナ禍でリモートワークが増え、パソコンの前に座り続けることで、首こり、肩こり、目のかすみ……といった不調を訴える人が増えている。ストレスからくる不調も侮れず、難聴、耳鳴り、めまいといった耳のトラブル、鼻づまり、もやもやした気分も起こりやすい。

 そんななか、骨格矯正士の清水ろっかんさんは、「頭蓋骨のゆがみを耳の穴から調整すれば、首から上の不調は改善できます」と話す。

「『耳が聞こえにくい』という患者さんに頭蓋骨矯正を施すと、施術後、『よく聞こえるようになった』『耳の奥のこもりがなくなった』という声をたくさんいただきました。

 頭蓋骨が左右どちらかにズレると、ズレたほうの耳が圧迫され、鼓膜や、音の振動を脳に伝える内耳の蝸牛の機能が衰え、音が聞こえにくくなると考えられます。また、前頭骨が下がると目のトラブルにつながり、鼻骨のゆがみは鼻づまりを起こしやすくなります」

 頭蓋骨を構成している接合部は思っている以上によく動き、頭や顔の骨は簡単にゆがむという。

「頭蓋骨がゆがんでいない大人はいないといっても過言ではありません。首こりや肩こり、頭痛も頭蓋骨のゆがみと密接な関係があり、後頭骨や側頭骨を整えて、首を正しい位置に戻すことが、こりの解消につながります」

 頭蓋骨の中でも、ゆがみの解消に大きな役割を果たすのが、顔奥の中央に位置する「蝶形骨(ちょうけいこつ)」だ。

蝶形骨(色の濃い部分)は頭蓋骨の内側でほかの頭蓋骨のパーツとつながっている。蝶形骨を整えると頭蓋骨全体を調整できる

「耳の穴に指を入れると、左右の穴の大きさが異なる人がほとんどです。蝶形骨がズレると耳が圧迫され、ゆがみが強いほうの耳の穴が小さく、底が浅くなるのです。

 蝶形骨は、目や鼻、後頭骨ともつながっているため、目や鼻の働き、首こり、肩こりなどにも影響するのです。骨のゆがみではなく、聴覚の神経細胞が減ることで起こる加齢性の難聴には効果はありませんが、頭蓋骨のゆがみを解消することで聞こえやすくなる人もいます」

 そこで、ろっかんさんが誰でも蝶形骨を調整できる方法として考案したのが、耳の穴を広げることで頭蓋骨にアプローチするストレッチだ。

「耳の穴に指を入れることで、蝶形骨を刺激し、ゆがみを解消するメソッドです。朝起きたとき、とくに上を向いて寝ている人は頭蓋骨にゆがみが生じやすいので、頭蓋骨ストレッチを行って、整えてあげましょう。夜に頭蓋骨ストレッチを行うと、脳の血流がよくなって、リラックスでき、もやもやした気分も解消できます」

 この画期的なストレッチを行って、首から上の不調を改善し、スッキリとした毎日を過ごそう!

目安は1分!蝶形骨を刺激して、不調を解消!

ストレッチその1

【1】親指の腹を上向きにし、耳の穴の奥まで入れ、上方向にゆっくり押し上げる
 耳の穴を押し広げるイメージ、耳奥に親指を垂直に立てる
 ※10秒キープ

1.親指の腹を上向きにし、耳の穴の奥まで入れ、上方向にゆっくり押し上げる 撮影/矢島泰輔

【2】人さし指の腹を前向きにし、耳の穴の前にひっかけ、前方向にゆっくり押し出す
 ※10秒キープ

2.人さし指の腹を前向きにし、耳の穴の前にひっかけ、前方向にゆっくり押し出す 撮影/矢島泰輔

【3】人さし指の腹を下向きにし、耳の穴の下部に引っかけるようにし、下方向に押し下げる
 ※10秒キープ

3.人さし指の腹を下向きにし、耳の穴の下部に引っかけるようにし、下方向に押し下げる 撮影/矢島泰輔

【4】ゆっくりと口を10回開け閉めする
  ※ゆっくり丁寧に

4.ゆっくりと口を10回開け閉めする 撮影/矢島泰輔

ストレッチその2
 蝶形骨の両端を引き締め、整える

【1】両手の付け根をこめかみにあて、頭を挟むように力を込めて押し込む

1.両手の付け根をこめかみにあて、頭を挟むように力を込めて押し込む 撮影/矢島泰輔

【2】そのまま両手を前方へと押し出す。目が縦長になるようなイメージ
 ※10秒キープ×3セット

2.そのまま両手を前方へと押し出す。目が縦長になるようなイメージ 撮影/矢島泰輔

ポイント

●痛気持ちよく感じる程度の力加減で行う。力を入れすぎない

●いつ行ってもいいが、基本は朝と夜に1回ずつ行うのが目安

●ケガをしていたり、持病・痛みがある場合は、医師に相談してから行う

 教えてくれたのは…骨格矯正士 清水ろっかんさん ●30年以上にわたり、独特の骨格矯正による美容メニューを次々に開発。その高い技術力が芸能関係者に口コミで広まり、多くのメディアに取り上げられる。著書は『眼圧リセット』(飛鳥新社)、『坐骨に敷くどこでも腰楽パッド』(主婦と生活社)ほか多数。体幹矯正 ろっかん塾 TEL03-5929-7042

新刊『耳穴スイッチ』(世界文化社刊 税込み1540円)

〈取材・文/紀和静 モデル/近瀬零(青山Rabness)〉