奈津子・丸山晴美 撮影/山田智絵

 光熱費や水道代。日々の節約が追いつかないほどの値上げっぷり!この先もどんどん上がっていくならエコ家電に買い替えるという手段も。どのメーカーも“エコ”推しのなか、ホントに買うべき商品はどれか? ボーナス前に、ぜひチェックして。

光熱費アップをエコ家電で乗り切る

 電気料金の高騰が止まらない。夏の到来を前に、大手電力5社が今月に続いて6月の電気料金の値上げも発表。東京電力が平均モデルとする家庭の電気料金は、6月分は8565円。昨年同月と比べると実に1652円、約24%ものアップ! ガス代も同様に、大手4社すべてが10か月連続となる値上がりを決定している。

 この事態、もはやこれまでの節電対策では太刀打ちできない……と嘆くなかれ。独自の節約術で知られる節約アドバイザーの丸山晴美さんいわく、「冷静に節約を考えるなら、日々の地道な工夫もさることながら、電気を使っている“家電”そのものを見直すのがいちばん手っ取り早いんです

 さらに、家電に詳しいタレントで女優の奈津子さんも、「今はどの家電メーカーも“省エネ”が第一命題。電気だけでなく、ガス、水道の節約を意識したエコ家電も各種登場しています」という。

 そこで今回この2人が「夏の節約家電探し隊」を結成! おすすめアイテムを求めて、大手家電量販店へ─。プロのアドバイスを、ぜひ参考にしてほしい。

家電で電気代を節約し隊!

「昔買った家電をずーっと使っている」という人こそ必見! その家電、電気代を無駄に食っているかもしれませんよ!

●リビング照明が蛍光灯のままなら、断然おトクな「LEDシーリングライト」に変えるべし!年間で約2000円安くなる!】

奈津子 まず見直したいのは、リビングの照明! やっぱり使っている時間が長いですから。

丸山 そうね~。コロナ禍で家にいることが増えたから、前より電気代がかさんでいる場所よね。

奈津子 おすすめは、天井からつり下げるタイプの照明ではなく、天井に直接取り付ける「シーリングライト」。部屋の広さに合ったものを選べば、照明器具を複数使う必要がないので、その点がまずおトクです。もちろん光源は、蛍光灯よりも消費電力が約37%低いLEDを選んでほしいですね!

丸山 うんうん。LEDシーリングライトのほうが電気代が安くなるのよね。1日8時間使った場合で換算すると、年間約2000円もおトクになるんだから、これはもう、節電には「LEDシーリングライト」一択でしょう!

奈津子 まだ蛍光灯を使っているなら、思い切って付け替えたほうがいいですよね。設置自体も難しくないですし。それにLEDは光の明るさの程度だけでなく、食事やテレビ観賞、読書など、シーンで色みを変えられる「調色機能」があるのもいいところですよね。

 デザインも含め、今は各社さまざまなタイプが出ているので、お部屋の雰囲気や好みに合わせて選ぶといいと思います。

丸山 節電的観点でいうと、リモコンやタイマー付きのものだと消し忘れが防げて、さらにいいかもね!

パナソニックHH-CF0892A[LEDシーリングライトパネルシリーズAIRPANELLED丸型タイプ~8畳]30800円(税込み)撮影/山田智絵 

●扇風機は今すぐ「DCモーター型」に! エアコンと併用することで節電を狙うべし 【月に約519円節約できる!】

奈津子 次は、夏に欠かせない扇風機です! 最近は、エアコンと併用している人も多いですよね?

奈津子・丸山晴美 撮影/山田智絵

丸山 扇風機で部屋の冷気をうまく循環させることは、節電対策になるからね。ただ、使う扇風機によっては、本末転倒になってしまう場合も……。古い扇風機って性能も低いし、電気代もけっこうかかるからね~。

奈津子 ポイントは、扇風機に使われているモーターの違い。昔の扇風機では、AC(交流)モーターが主流で、消費電力は平均35W程度でした。一方、最近出てきたDC(直流)モーターの消費電力は1.5~20Wと、とても省エネになっていますから。

丸山 ものすごい差! DCモーター型の扇風機なら1時間使っても電気代は約0.54円。1か月使ってもわずか約86円と、だいぶ安い。これなら安心してエアコンと併用できるわよね。エアコンの設定温度を1度上げると、電気代は約10%下がるといわれているから、扇風機の効果で設定温度を2度上げられたとして計算すると……月約519円の節約ができることに!

奈津子 そんなDCモーター型扇風機の中でも、私のお気に入りがこちら。オシャレで高性能なキッチン家電で知られるバルミューダの「グリーンファン」! 独自技術で自然界の風を再現しているので、長く使っていても風当たりしないのが特徴。

丸山 価格は少し高めだけど、元は取れるわよね。実は私も愛用中、おすすめですよ!

バルミューダEGF-1700-WG[DCモーター扇風機ザ・グリーンファンホワイト×グレー]39600円(税込み)撮影/山田智絵

●小型冷風機は節電の強い味方「パーソナルクーラー」で涼しさを持ち運ぼう! 【エアコンより電気代約96%オフ】

丸山 お、「ここひえ」の最新モデルが出てる! コレ、うちで大活躍してるのよ~。

奈津子 うちでも 私は洗面所で使っています。夏、汗をかきながらのメイクって大変じゃないですか。すごく重宝しています。

丸山 うちは、中学生の息子が自分のそばに置いて使ってる(笑)。すぐ涼しくなるから気に入ってるみたい。

奈津子・丸山晴美 撮影/山田智絵

奈津子 タンクの水の気化熱現象を利用して冷風を作る小型のクーラーなんですけど、充電さえしておけば、脱衣所やキッチン、屋外にも、どこでも持ち運んで使えるから、ものすご~く便利。すぐにエアコンの温度を下げたがる暑がりさんにもいいかも?

丸山 この最新モデルだと、消費電力はたったの4Wで1時間使った電気代はわずか0.11円。エアコンと比べたら約96%の電気代節約に。夏の節電にはマストアイテムね!

奈津子 ただしフィルターのお手入れはしないとですよね。私の場合、フィルターは、だいたいワンシーズン使ったら新しいものと交換しています。交換すると節電効果もあるので忘れずに!

ショップジャパンCCH-R4WS[パーソナルクーラーここひえR4]8980円(税込み)※「ここひえ専用防カビ抗菌フィルター」3300円 撮影/山田智絵 

家電でガス代を節約し隊!

 ガスを使う場所といえば、まずはキッチン。そこで調理時の節ガスに役立つアイテムを紹介!

●電源タップは「デジタルタイマー」が便利ふつうの節電タップより確実な節電を実現 【無駄な待機電力をカット!】

丸山 私のイチオシは、オーム電機の「ボタン式デジタルタイマー」。地味だけど、すごく役立つアイテムなの。

奈津子 電源タップのように、壁のコンセントと電気製品のプラグを中継して使うんですね?

丸山 そう。そして、ボタンで時間をセット。すると、その時間がきたら自動で電源がオフに……。

奈津子 なるほど。節電の基本、使っていない家電の電力(待機電力)のカットができると!

奈津子・丸山晴美 撮影/山田智絵

丸山 家庭の待機電力の1世帯あたりの平均額は、年間6156円! これは見逃せないわよね。もちろん、電源をオンオフできるスイッチのついた「節電タップ」もいいけど、あれだと、手動でこまめにオンオフをしないと意味がない。その点、これなら、もっと確実に節電ができるというわけ。おすすめは、スマホやノートパソコンの充電時ね。

奈津子 確かに、スマホの充電って、本当は2~3時間もあれば十分なのに、つい長時間コンセントに差しっぱなしにしがち。それって「過充電」にもなって、バッテリーに負担をかけて寿命を短くするので、絶対にしないほうがいいんですよね。

丸山 無駄な待機電力を節約、過充電も防いでバッテリーも長持ち。まさに一石二鳥ね!

オーム電機HS-AB6H[ボタン式デジタルタイマー]1400円(税込み)撮影/山田智絵 

●保温調理器を使いこなして目指せ! 節約&料理上手 【ガスも電気も使わない調理器】

丸山 奈津子さんの夏の定番メニューは?

奈津子 やっぱりカレーですね! でも、夏の煮込み料理ってけっこう過酷で……(汗)。コトコト煮込んだほうがおいしくなるとわかってはいても、ガス代はもちろん、煮ている間のコンロの火の影響で室温が上がってしまうのも、節電面でいえばつらいですよね。

丸山 そこでおすすめなのが、サーモスの保温調理器「シャトルシェフ」。これさえあれば、一挙に問題解決よ!

奈津子 前から気にはなっていたんですが、なんだかハードルが高く見えて……。使い方が難しいんじゃ?

丸山 ぜ~んぜん! 中の鍋は、ふつうの鍋と同じように直火やIHで調理OK。それを火から下ろしたあと、外側の保温容器に鍋ごと入れておくだけで高温を保ってくれるから、まるでとろ火で長時間煮込んだような仕上がりに。つまり、ガスや電気は一切使わずに、おトクにおいしくなってくれるというわけ!

奈津子 なるほど。まさに暑い夏にこそ活躍させたい調理器具なんですね。うちにも導入しちゃおうかな~。

サーモス KBG4500-CBW[真空保温調理器 シャトルシェフ4.5L クリアブラウン]1万1520円(税込み)撮影/山田智絵

家電で水道代を節約し隊!

 暑さから、夏は使う量が増えがちな水。特にお湯の節水はガス代の節約にも直結している。要チェック!

●食器洗い乾燥機でラクをしながら節約! 「手で洗うよりも節水」は、もはや常識なんです 【手洗いより年約8600円お得!】

奈津子 私、これは声を大にして言いたいんですけど、節水するなら、断然、食洗機を使うべきなんです!

丸山 確かに、まだ「食洗機より手洗いのほうが水を使わない」と思っている人は多いかもね。

奈津子 いろんなところで口をすっぱくして言っているのに、なぜなんでしょう~? 例えば、パナソニックの食洗機の場合、手洗い時の約6分の1の水でキレイにできるんです。4人家族なら1回約43リットルも節水できるのに!

丸山 手洗いだと洗剤とガスの費用もけっこうかかるから、食洗機を使ったほうが年間約8600円も節約に。初期投資は少し高いけど、総合的に見ると断然おトクよね。

奈津子 まあ、使う前に水道の工事(分岐水栓の取り付け)が必要なのが面倒だっていうのはわかるんですけど……。でも注目はこちらの「タンク式の食洗機」。なんと工事不要で、買ってすぐに使えるタイプが新登場しているんです~。スリムタイプで置く場所も選びません。もう導入しない理由がないじゃないですか!? ぜひご検討ください!

パナソニックNP-TSP1-W[食器洗い乾燥機タンク式AIエコナビECONAVIストリーム除菌洗浄ホワイト]92400円(税込み)撮影/山田智絵 

●節水シャワーヘッド に取り替えて徹底節水 選ぶポイントは、節水率と使い心地!? 【水道・ガス代が年2万1700円節約!】

丸山 私が気になるのは、お風呂場のシャワーね。シャワーから流れる水の量は、1分間で約10~12リットル。15分間流し続けたら、浴槽1杯分にもなるのよね。だから、もし家族4人がそれぞれ15分間シャワーを浴びると考えると恐ろしい量に……!

奈津子 とはいえ、なかなか自分で使う量を減らすのって難しいんですよね。特にこれからの季節はシャワーを使う機会が増えるし、正直、あまりケチケチしたくないというのが本音かも……(笑)。

丸山 だからこそ、節水シャワーヘッドは、ちゃんとポイントを押さえて選ぶべき。まずは節水力。今は60%以上節水になるものも出てるのよね。でも、私がそれ以上に重視したいのが、使い心地! これは絶対に妥協しちゃダメなのよ。

奈津子 え~、ちょっと意外です~。

奈津子・丸山晴美 撮影/山田智絵

丸山 だって、例えば、水の勢いが弱いシャワーだとどうなる?

奈津子 そうですねえ、なんだか流し足りないような気がして、長めに使っちゃうかも。

丸山 それだけは絶対に避けたいわよね。その点、サンエイの「レイニームーヴ」なら、使い心地はキープしつつ、約50%節水で、水道代がダウンできる。さらにガス代の節約にもなるから、合わせて、なんと年間2万1700円の節約に!

奈津子 あ、持ち手に「止水ボタン」があるのもいいですね!

丸山 そうそう。あと注目は、ヘッドの向きが自由自在に変えられるところ。上下60度、左右に360度首が動くから、かなり使いやすいんじゃないかな。これなら夏場のシャワー代も怖くない!

サンエイNS383-82XA-HA2[シャワーヘッドレイニームーヴグレー]5980円(税込み)撮影/山田智絵 

丸山さんに聞く!節電の敵はやっぱりエアコン&冷蔵庫

 今回、いろいろな節電アイテムを見て回ったものの、夏の節電に本気で取り組むのなら、大きな電力を消費するエアコンを節電仕様にするのが最も効果的だ。昔のものと比べて今の家電は、格段に性能が上がっているため節電率が高い。さらにここ数年のエコ意識の高まりを受け、各社が競って省エネを目玉にした商品開発をしていることもある。

 丸山さんによると、「エアコンを買い替えるなら、やはり使う時間が長いリビングのものを。機能が充実したモデルでしっかり節電&クールシェアをすれば、元は取れるはず」とのこと。

 次の大物は、冷蔵庫。冷蔵庫は24時間365日稼働しているコンビニのような家電で、その分、消費電力もバカにならない。

「最近のファミリー向け冷蔵庫は、ほとんどが省エネタイプに。もし15年以上使っているなら、ぜひ買い替えを!確実に節電効果を実感できます」と丸山さん。

 どちらも大物なだけに、購入費用を思うとつい尻込みしてしまうが……。

「コロナ禍による半導体不足などで、家電全体もこれからますます値上がりしそう。買い替えるなら今のうちですよ!」

教えてくれたのは…
 150台の家電と暮らす女優! 奈津子 ●元SDN48。芸能界イチ家電に詳しい女優・タレントで、難関資格の家電製品アドバイザーを保有。1歳の息子の育児をしつつ多くのメディアで活躍中。東京FM『スカイロケットカンパニー』レギュラー、インスタグラムnatsuko_kadenも要チェック。

 この道22年の節約のプロ! 丸山晴美 ●節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。節約や貯金、運用方法など、お金にまつわる著書多数。昨年から、1年間で100万円を貯めるオンラインコミュニティー「女性のための夢を叶える!お金の教室」を運営中。

〈取材・文/八坂佳子〉 

 協力:ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba(お問い合わせ:03-5209-1010)※記載している価格は、上記店舗で取材当時(4月下旬)のものです。〉