フリーアナウンサーの生島ヒロシさん

「70代の今がいちばん体調がいい!」

 現役フリーアナウンサーの生島ヒロシさん(71)はそう語る。

 現在71歳。TBSの局アナ時代はもちろん、1998年から放送開始のラジオ『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』でも、生放送にもかかわらず病欠など、ただの一度も経験がない超健康体だ。

 3月には『70代現役!「食べ方」に秘密あり』(青春出版社刊)を刊行。公私ともに親交のある石原結實医師との共著で、健康を守る食べ方のコツを語っている。

 自身の番組を通じて、何人もの医師・専門家たちに健康情報をレクチャーしてもらってきたという生島さん。あまたの健康法を試してみた結果、確信したのが「若さと健康は腸が決める」ということだった。

不調の原因は腸の疲れ

 便秘、不眠、倦怠感……そんな症状は「食べすぎ」が一因なのかもしれないと生島さんは言う。

「若いころから仕事の打ち合わせ、打ち上げなどで会食が頻繁にありました。食べすぎはよくないと思っても目の前にごちそうが並ぶと、食べないことは難しいものです。新型コロナウイルスの影響で会食がパッタリなくなったときは、気持ちは寂しくなったものの、身体のほうは少食、早めの夕飯をキープできて快調、快腸! 疲れやだるさとも無縁になりました」

 老廃物や毒素を出して健康な身体を保つためには、腸が元気でなくてはならない。生島さんの腸を元気にする方法は実に単純、「少食にする」

 そうはいっても、現実はキビシイ。うっかり食べすぎてしまったら……。

「しばらく固形物をとりません。ビタミンやミネラルがたっぷり入った健康飲料で食事を済ませるのです。固形物をストップすると確実に腸を休ませることができます」

 さらに、腸内環境を整えるために毎日必ずやっていることが発酵食品をとること。味噌、納豆、キムチ、ヨーグルトなどを冷蔵庫に常備しているそう。

 発酵食品は、微生物の働きによって原料が発酵したものだが、発酵することで栄養素が増え、吸収率も上がる。その結果、免疫力アップ、腸内環境改善だけでなく生活習慣病の予防にもなるという優れものだ。

「寝る前断食」で薬が不要に

 お腹がすいていなくても空いた時間にいろいろとつまんでしまう、という人は少なくないはず。

「1日のうちで『確かに空腹だ』といえる状態がなくなっていくのです。若いころはそんなことが当たり前でしたが、それが健康にとってよくないと気づきました」

 胃がまだまだ強かった若いころはそれでも元気でいられたかもしれないが、加齢とともに胃の消化力は低下していく。意識して空腹状態をつくってあげないと胃が消化活動に集中できず、当然胃に負担がかかる。

 子どものころから胃腸が弱かったという生島さん。冷え性も相まって、ちょっとしたことでお腹をこわしてしまうため、昔は胃腸薬を手放せなかったという。

 食べると調子が悪くなる、でも食べないと身体に悪い……。そんな悪循環から抜け出せないでいたところ、石原医師から「空腹の効能」を聞いた。

 夕食は遅い時間を避け、就寝の4時間前には済ませる。それが胃を十分に休ませることにつながって、胃薬が手放せない生活から解放されることに。

「『お腹がすいて眠れなさそう』と思いますか? とんでもない。まったく逆で、ぐっすり眠れます。就寝4時間前に夕食を終えるようにしてから明らかに睡眠の質が向上しました。目覚めもスッキリ」

 もうひとつ、胃腸を休ませるためにしていることが「冷たい飲料を飲まない」。胃腸は冷えに弱く、冷えの原因は「食べすぎ」にもある。食べすぎると冷えは悪化し、そのダメージは胃腸を直撃、身体全体の調子も衰えさせる。

〜胃腸を若返らせる!生島さん流 プチ断食のコツ〜

(1)ちゃんとした食事は夕食のみ
 朝食はホットドリンクで身体を芯から温める。夕食は就寝の4時間前に、少なめに。

(2)食べすぎない
 腸を元気にする秘訣は「少食」。つい食べすぎてしまった場合は、しばらく固形物を抜く。

(3)空腹に慣れる
 お腹がすくと何か食べる癖がついてしまっている人もいるのでは。空腹状態のときは胃を消化活動に集中させ、腸を休ませることができる。

(4)身体を冷やさない
 冷えは胃腸に悪い。キンキンに冷えた飲み物は厳禁。

生島さんの1日の食事スケジュール

「少食にする」とはいっても、具体的にはどの程度の量をどのくらいの間隔を空けて食べるべきなのか気になるところ。ラジオ出演のある日は午前3時半に起きるという生島さんは、起きてまず何を口に入れるのか──。

「白湯を1杯ゆっくり飲んだら次は葛根湯。ときどきハチミツを入れた紅茶を飲むことも」

 固形物は一切とらず、朝食はたったそれだけ。その後、1時間半の生放送を終えて自宅に戻り、2~4時間ほど仮眠をとる。午後は時間があればジムに行くそうだが、遅くとも夜10時には就寝するため、6時までには夕食を済ませる。昼食は一切とらないというから、食事といえる食事は夕食のみ。

「ある程度の年齢になったら、小腹がすいたらちょっとつまむくらい。しっかり食べるのは1日1食でちょうどいいのだと思います」

 若いころは1日3食しっかりとることが健康的なのかもしれない。しかし年を重ねるにつれて見た目が変化していくように、当然内臓の働きにも変化がある。若いころと同じ食事内容のままでは胃に負担がかかるばかりだ。

 共著の石原先生もプチ断食を強く推奨。

「血流がよくなるから細胞が生き生きしはじめて、女性は肌がきれいになったとか、男性なら髪の毛が生えてきたなんてこともあります。断食の健康効果はいろいろあって、つまりは『健康長寿の秘訣』ってことです」と石原先生。

 楽しい老後を若々しい元気な身体で迎えたい。「どう食べないか」を意識した食生活が一助となりそうだ。

『70代現役!「食べ方」に秘密あり』(青春新書インテリジェンス、生島ヒロシ・石原結實共著)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

『70代現役!「食べ方」に秘密あり』(生島ヒロシ・石原結實共著)
 71歳の現役人気アナウンサーと73歳の自然療法の名医が記す、人生100年時代を楽しく、健康に生きるための簡単習慣。共に小さいころは身体が弱かったにもかかわらず、70代の今、なぜ風邪ひとつひかずに元気でいられるのか。ふたりの健康の秘密を初公開。

PROFILE●生島ヒロシ(いくしま・ひろし)●1950年宮城県気仙沼市生まれ。フリーアナウンサー。米カリフォルニア州立大学ロングビーチ校卒業後、TBS入社。’89年に独立。現在、TBSラジオ『生島ヒロシのおはよう定食・一直線』などで活躍中。

(取材・文/オフィス三銃士)