50歳から差がつく紫外線ケア(※画像はイメージです)

「光老化は自分で防げるもの。対策の甘さの積み重ねが後々の後悔につながります」

 そう話すのは、美容皮膚科医の山屋雅美先生。“日焼け止めまでがスキンケア”と認識し、毎朝習慣づけるようにしたい。

「梅雨時季はつい紫外線対策を忘れがちですが、それはダメ。晴れの日を100%とすると曇りの日は約65%、雨の日でも約20%の紫外線が地表に到達していますから、天気は関係なく日焼け止めを。外出せず家にいる日も必須です」(山屋先生、以下同)

 UVカット効果のある化粧下地も増えているが、それらはトーンアップ効果や“化粧ノリ”を目的に作られているため、効果は低め。「日焼け止め」と表示された専用品を選ぼう。塗りムラや塗り漏れを防ぐためにも、薄めに2~3度重ねて塗ること。

「小鼻や目の周り、エイジングサインが現れやすい首、反射した紫外線で焼けやすいあごの裏まで。指先を使ってていねいに塗ってください」

50代以降の紫外線対策は保湿&角質ケアもプラス

 日中の外出時には、必ず日焼け止めを塗ったうえでUVカット効果のあるマスクの着用を。またマスクの脱着による温度差や湿度差が乾燥状態をまねくことも。

「肌が乾燥すると、肌表面の角質層の状態が乱れてバリア機能が低下し、紫外線ダメージを受けやすくなります。老化やホルモンバランスの乱れで肌の乾燥が進む50代以降は、日焼け止めにも美肌・保湿作用のあるものを」

 紫外線ダメージを蓄積しないために、角質ケアも取り入れて。

「50代の肌は、ターンオーバーの周期が遅くなりがち。不要になった角質が肌にとどまり、くすみやシミの原因になる。ピーリング効果のある洗顔や化粧品で角質ケアを行いましょう」

 アラフィフを越えてなお色白美肌をキープしている3賢者にその秘訣を伺った。

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身体の中から美白をゲット!

SHOKOさん(53)

 MAKE UPプロデューサー。チャンネル登録者数約30万人のYouTubeチャンネル『SHOKO美チャンネル』では、40、50代向けにヘアメイクを中心とした美容法を伝える。

1. 南国フードを食べる

 ゴーヤ、豚肉、海藻類などをたっぷり使う沖縄料理のように、紫外線が強い地域の料理は抗酸化作用のある食材を多く使うので、特に夏は積極的に取り入れる。

2. 耳・ひじまで日焼け止めを塗る

 顔まわりはデコルテや耳、髪の生え際まで、腕はひじの内側もきっちり。朝のスキンケア後すぐに日焼け止めを細部までしっかりと塗ることで、日焼けで肌が老化する“スキ”を作らない!

3. しっかり、肌のクールダウンをする

 顔の火照りや赤みを感じたら、まずは冷やして日焼けの炎症を抑える。落ち着いたら保湿→美白ケアを。日焼け後の肌は敏感なので、すぐに美白アイテムを使うとかえって刺激に。

 “美白は身体の内側からのケアが重要”と考えるSHOKOさん。普段からメラニンの生成を抑えるビタミンCや肌の新陳代謝を促すビタミンB2といった抗酸化作用のある食べ物をとるように気をつけている。

「なるべく新鮮なものを食べるよう心がけています。夏はトマト、バジル、シソなどを家庭菜園で収穫したり。ゴーヤを育てたこともありますね」(SHOKOさん)

 食事で“肌力を高める”ことに加え、レジャーなどの前後1週間はビタミンサプリを飲んで日焼けに備えることも。

 もし、日焼けをしてしまったならば、まず肌を冷やして炎症を抑えてから整えるケアに努める。山屋先生も“日焼け後のケアの順番は重要”と指摘。

「日焼けして赤くなるのはヤケドした状態。まずはグリチルリチン酸ジカリウムなど消炎効果のある成分やセラミドが配合されているアイテムを使って即ケアを」(山屋先生)

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鉄壁UVガードの艶肌美魔女

飯塚かこさん(62)

 おうち美容研究家。1960年1月8日生まれ。50歳から読者モデルとして雑誌に登場するなど“美魔女”として注目を浴びる。ブログ『かこリーヌ50の秘密』で美肌の秘訣を発信中。

1. 全方位で日差しを完全に防御

 自宅の窓にはすべて紫外線カットフィルムを使用。外出時は、デコルテまで覆えるマスク、手袋、99%UVカットのクリアレンズのサングラス、完全遮光の帽子&日傘を必携。

2. 高濃度ビタミンCをチャージ

 ビタミンC配合の美容液は年中使用しているが、夏は濃度30%のものにグレードアップ。毎日、朝と夜に使う。さらにビタミンCの顆粒タイプのサプリメントも。

3. ウォーターピーリングで角質をオフ

 肌のターンオーバーを促し、化粧水などの浸透を促進させるため、夜の洗顔後はウォーターピーリングをして肌の透明感を高める。手や足の甲などボディの気になる場所も。

「身体でいちばん色白なのは下着で隠れているところですよね? しっかり隠すことは簡単で効果的な紫外線対策だと思います」

 と話す飯塚さん。1年を通じて、日焼け止めを塗るのはもちろん、マスク、サングラス、帽子、日傘を使うスタイルで外出をしている。サングラスは敬遠しがちな人も多いが、実は重要。

「目から入った紫外線から肌を守ろうとして、脳はメラニンを多く分泌するように指示。目からの紫外線も日焼けやシミの原因になります。濃い色だと瞳孔が開き、より紫外線を取り入れてしまうので、薄い色のサングラスを選ぶのが正解です」(山屋先生)

 さらに、メラニンの排出がスムーズになるよう血流アップのため皮膚を刺激するプレート“かっさ”も持ち歩く。

「紫外線ケアを徹底するようになったのは、50歳を過ぎてから。何歳からでも間に合いますよ!」(飯塚さん)

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“保湿命”で夏に負けない強肌に

YORIKOさん(55)

「Y's MakeuUp School」代表。メイクアップアーティストとしてテレビ、雑誌で活躍。50歳で始めたYouTubeチャンネル『yoriko makeup』は、同世代のためのメイク術が満載。

1. オレンジジュースを飲む

 ビタミンCを取り入れるため、1日1L飲むことも。ビタミン系のサプリも積極的に活用。水出しルイボスティーやハーブティーなどノンカフェインの飲料で水分補給もしっかり。

2. 肌の調子に合わせてパックをする

 パックは数十種類を常備。保湿力のあるクリームやクレイパックを中心に3日に1回ケア。日焼け後は炎症を抑えて肌の回復を促すアロエやきゅうりの成分が配合されたものを。

3. 日焼け止めは弱いSPFを重ね塗り

 日焼けしやすいところは重ね塗りをして、塗りムラを解消。SPFの数値が高いものは肌への負担も大きくなりがちなので、重ねない。SPF50を3回塗っても150にはならない。

 もともと乾燥肌が悩みだったYORIKOさんは、保湿ケアしながらの日焼け対策に注力。

「柔らかくみずみずしい肌は、新陳代謝がよいので肌の生まれ変わりが早く、シミも改善されやすいんです」(YORIKOさん)

 山屋先生も乾燥すると角質層の乱れが生じ、紫外線ダメージを受けやすくなるので「毎日の保湿ケアは紫外線対策に必要不可欠」と力説。

 さらに、夏の乾燥肌は秋冬の肌にも影響。

「エアコンなどの使用で夏も意外と乾燥しています。たっぷり水分をとり、保湿効果の高いパックなどを使って潤しておかないと、秋冬に地獄を見ます(笑)」(YORIKOさん)

山屋雅美先生(美容皮膚科医)

教えてくれた人は……山屋雅美先生
●美容皮膚科医。「美容皮膚科タカミクリニック」副院長。ニキビ・毛穴などの美肌治療からシミ、しわ、たるみなどのエイジング治療まで幅広い診療を一貫して行う。わかりやすく丁寧な診療が評判で遠方から訪れる患者も多い。

<取材・文/河端直子>