緻密でファンタスティックな神紙技(撮影/吉岡竜紀)

「2年前までは大学生だったんですが、普通に就職するつもりでした。教職員免許も取っていたので、学校の先生もいいかな、とか。まさかアートで食えるとは思ってなかったです(笑)。人生が変わりました

 とは、空箱職人はるきるさん(24)。神戸芸術工科大学アート・クラフト科在学中にお菓子の空き箱などで工作を始め、Twitterで作品を公開するようになると、バズりまくり! 今やフォロワーは48万人超。現在、そごう美術館(神奈川県横浜市)にて『空箱職人はるきる展Miracle Package Art』が開催されている。

「今まで僕が制作した、ほぼすべての作品を展示しています」

 子どものころから、家にあるチラシで『仮面ライダー』の変身ベルトなどを作って遊んでいたという。まさに“三つ子の魂百まで”であり、“好きこそ物の上手なれ”。

「空き箱アート」の作品たち

きのこの山・たけのこの里の終わらない戦い

きのこの山・たけのこの里の終わらない戦い(撮影/吉岡竜紀)

「戦いのワンシーンを躍動感あふれるポーズで表現しました。“きのこソード”、“竹やり”とそれぞれの特徴を生かした武器を持たせました」

無調整豆乳のふくろう

無調整豆乳のふくろう(撮影/吉岡竜紀)

「建物など直線的な作品は、誰でも根気さえあれば作れるんですよね。でも曲線を作るのは非常に技術力がいります。動物らしい曲線を作るのにすごく苦労した、思い出の作品です」

トッポの天空の城

トッポの天空の城(撮影/吉岡竜紀)

「長細いイメージの『トッポ』を土台にして、天空の城が生えている……。そんなイメージで制作しました。360度どこから見ても面白いように作り込んでいます」

プリングルズの紳士たち

プリングルズの紳士たち(撮影/吉岡竜紀)

 はるきるさんの代表作。「『プリングルズ』の特徴的な顔に身体をつけようと考えました。“2、3頭身じゃ普通だな”と思ったので、あえて身体はすごくスタイリッシュに」

アルフォートの空飛ぶ船

アルフォートの空飛ぶ船(撮影/吉岡竜紀)

「僕が最初にSNSに投稿した作品です。すごい反響をいただいたので、この制作スタイルでずっとやっていこうと思いました。僕の原点となる作品です」

デザイン構想に1週間実際の作業は2日くらい

「だいたい作品のアイデア出し&デザイン構想を練るのに1週間くらい。実際に手を動かして制作するのは1〜2日、長くても3日くらいです。使っている道具はハサミ、カッター、接着剤、定規。小学生が図工の時間に使うような道具しか使っていません。

 僕が大切にしているのは、元の箱のデザインや雰囲気を生かすこと。ブランドロゴなどは、作品の重要なポジションに持ってくるのがこだわりです。ぜひ“元の箱のココの部分が、ココになってるんだ!”という発見をしていただければと思います」

 展示された全作品、撮影OKというのも珍しい。

「SNSで僕のファンになってくれた方がすごく多いので。その方たちはたぶん、SNSに投稿したいだろうなと思いまして(笑)。あとお子さんに向けてのメッセージになりますが、この展覧会の帰りに“僕も工作したいから、お菓子買って!”と言えば、きっと親ごさんは買ってくれると思うので(笑)、ぜひチャレンジしてみてほしいなと思います」

 遊び心満載で、緻密かつサステナブル。きっと、親子で笑顔になれる―。

開催中! 空箱職人 はるきる展  Miracle PackageArt

空箱職人はるきるさん(撮影/吉岡竜紀)

そごう美術館(横浜そごう6階)、7月3日(日)まで。
約60点を展示。事前予約不要。一般1200円など