覚えてる? 懐かしのアイスたち

 昭和の時代に誕生し、大人気となったアイスの数々。当時は画期的だった味や形状も、時代とともに色あせて気づけば販売終了になっていることも。今はもう味わえない懐かしアイス10種をピックアップ。『グリコ キャデリーヌ』→「冷たいチョコレートがたまらない!」『雪印 宝石箱』→銀座WAKOの宝石プレゼントCMにまつわる懐かしエピソードも!

斬新なパッケージが話題に

 明治2年(1869年)6月、日本初のアイスクリーム「あいすくりん」が、横浜市の馬車道通りで産声を上げたといわれている。そこから150年あまりが経過した現在……2020年度のアイスクリーム販売実績は5197億円に上り、過去最高を記録。

「昭和の時代に家庭用冷蔵庫が普及して以降、アイスはますます身近なものになりました。明治期には考えられないほどアイスの種類も豊富になり、私たちの生活を彩ってくれる欠かせない存在です」

 そう語るのは、アイス評論家のシズリーナ荒井さん。これまでに5万5000個以上のアイスを食してきたシズリーナ荒井さんに、思い出のアイスについて教えてもらった。

「懐かしアイスと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、雪印乳業から1978年に発売された『宝石箱』です。バニラアイスの中にフルーツの香りがついたカラフルな氷粒がちりばめられていて、まさに宝石箱のようにキラキラと輝くカップアイス。CMには絶大な人気を誇るピンク・レディーが起用され、“唇に宝石よ!”という決めゼリフも話題になりました。

 WAKOの宝石が当たるキャンペーンなどもやっていて、当時のカップアイスとしては高級な価格にもかかわらず大ヒットした商品だったようです」(シズリーナ荒井さん、以下同)

 『宝石箱』と同様に、斬新なパッケージで話題を集めたのが『アイスバーガー』だ。

「ドライアップルが入ったラクトアイスをスポンジ生地で挟み、全体をチョコレートでコーティングしたハンバーガー型のアイスです。マクドナルドが日本に上陸し、ハンバーガーが若者の間で大ブームになった時代背景を受けて生み出されました。当時のハンバーガーの容器を模したプラスチック製のパッケージデザインもかなりのインパクトがあっておもしろいですね」

 40年というロングセラーでありながら、惜しまれつつなくなったアイスもある。2019年に販売終了となった『明治うまか棒』だ。

『明治うまか棒』

「丸い棒に挿したバニラアイスをチョコとナッツでコーティングした円柱状のアイスバーで、つい最近まで売られていたので誰しも一度は親しんだ味ではないでしょうか。1979年に九州限定で発売された後、全国発売されるようになった経緯もあり、発売当初は九州で人気を誇る、ばってん荒川さんがCMキャラクターを務めていました」

 『うまか棒』と同じく、長きにわたり愛され続けてきた定番の棒アイスといえば『ダブルソーダ』が挙がるだろう。

「1965年に発売された『ソーダアイス』を前身として、1983年にエスキモーブランドで発売されました。至ってシンプルなソーダ味のアイスなのですが、持ち手の木の棒が2本あって、真ん中から割ることができるのが最大の特徴。きょうだいや友達とはんぶんこできるアイスというコンセプトだったのですが、なかなかうまく2等分できずに、いびつな形で分け合うことになった……なんて思い出を持つ人も多いようです」

「バニラアイスといえば青系パッケージ」の立役者

 アイスの代表格として思い浮かぶフレーバー(味)はやはりバニラ。日本のバニラアイスの定番イメージをつくりあげた立役者が『バニラブルー』である。

『バニラブルー』

「1953年の前身商品発売以降、世代を超えて愛されてきた“ザ・日本のバニラ”です。バニラアイスのパッケージは青系のものが主流ですが、そのイメージのルーツは『バニラブルー』だといっても過言ではありません。

 発売当初は紙製の落としぶたがのった丸いカップに入っていて、ふたについたアイスをこそげ取りながら食べるというのも、楽しみ方のひとつでした」

 バニラアイスでも、高級路線の商品として人気を博したのが『リーベンデール』だ。

「ドイツ語で“愛する人”という意味の『リーベンデール』は、北海道産の乳原料を使うといったこだわりの商品でした。1980年代は高級バニラアイスの競争も激しく、1984年にはハーゲンダッツなどの外国ブランドも日本に上陸してきました。そのなかでも洗練された白いパッケージと繊細な味わいを誇る『リーベンデール』はひときわ目立つ存在だったと思います」

 アイスが高級化する一方、昭和のラクトアイスの草分け的存在ともいえるのが、ロッテの『イタリアーノ』だ。

「アイスは含まれる乳固形分や乳脂肪分の違いによって“アイスクリーム”“アイスミルク”“ラクトアイス”に分けられます。そのなかでも植物油脂を使ったラクトアイスの世界を開拓したのが『イタリアーノ』。安価ながらも高い満足感が得られる味わいを表現していて、ガム製造などで香料のノウハウを持つ“フレーバーの魔術師”ともいえるロッテならではの商品です」

 バニラと双璧をなすアイスの人気フレーバーといえば、チョコレート。そのチョコレートをアイスで包んだ人気商品が『キャデリーヌ』だ。

「ミルクアイスでチョコをコーティングするという、当時としては新感覚の味わいでした。セミスイート、マイルドの2タイプに加え、ストレート、コニャックレーズン、アーモンドなどのラインナップも増えました。現在はホームユースの『キャデリーヌ マルチ』のみ販売されています。当時のアイスパッケージには値段が大きく表記されていたのも、懐かしいですね」

 アイスにはチョコ以外にもさまざまなものが包まれてきた。なかでも、シズリーナ荒井さんにとって衝撃的だったのが『グミキャンバー』だ。

『グミキャンバー』

「アイスキャンディーの中にかためのゼリーのようなグミが入った、独特な食感が楽しめる商品です。幼少期に食べてすごくハマった記憶があります。

 アイスキャンディー部分は果汁50%と、フルーティーな味わいが魅力で、ぜひいつか復刻してほしいと願うアイスのひとつです」

 シズリーナ荒井さんにとって、グミ入りアイスに勝るとも劣らない強烈な印象を残したのが『ソーダコング』だという。

「チョコレートをソーダアイスで包み、さらにソーダ味のアイスキャンディーでコーティングするという3層構造のアイスバーです。チョコレートとソーダの組み合わせというのはなかなか想像できないと思いますが、その斬新すぎる味わいがクセになるアイスでした。ポップなゴリラのキャラクターにも子ども心をガッチリつかまれましたね」

 数々の商品が生まれては消えていった日本のアイス史。現在ではほぼ毎週のように新商品が発売されている。

「実は流通の関係で、アイスの新商品が市場に出る曜日がほぼ決まっています。スーパーでは月曜、コンビニでは火曜に新商品が並ぶことが多いので、ぜひチェックしてみてください」

 毎週火曜日は雑誌棚の『週刊女性』と一緒に、コンビニの新商品アイスにもご注目を。

シズリーナ荒井さんセレクト!
懐かしアイス 10選

『宝石箱』雪印乳業/1978年

 高級感のある黒い容器に、バニラアイスと宝石を模した氷粒がオシャレなカップアイス。

『アイスバーガー』森永製菓/1979年
 2枚のスポンジ生地で挟んだアイスをハンバーガーに見立てた、独特な見た目が話題に。

『明治うまか棒』明治乳業/1979年
「うまか」=おいしいという博多弁の商品名。九州から全国に広がったロングセラー商品。

『ダブルソーダ』森永乳業/1983年
 棒が2本あり、2人で分けられる独特の形状が当時目新しかったソーダアイスバー。

『リーベンデール』雪印乳業/1982年
 原料にこだわり、口どけをよくして甘みを抑えた高級志向のバニラアイス。

『イタリアーノ』ロッテ/1972年
 ストロベリー、チョコレート、バニラなどのフレーバーも豊富なラクトアイスの先駆的存在。

『バニラブルー』雪印乳業/1974年
 1953年に発売された前身商品を名称変更し、世代を超えて親しまれた王道バニラアイス。

『キャデリーヌ』江崎グリコ/1984年
 ミルクアイスでチョコレートをコーティング。とろけるチョコのなめらかな食感が魅力。

『グミキャンバー』赤城乳業/1990年
 グミをアイスキャンディーで包んだ新感覚アイス。青リンゴ味とオレンジ味が発売された。

『ソーダコング』カネボウ食品/1991年
 チョコレート×ソーダという独特の味わいの3層構造のアイスバー。

お話を聞いたのは……
アイス評論家
シズリーナ荒井さん


 アイス研究家、イートデザイナー。アイス食歴37年、年間4000個以上ものアイスを食べ歩く、日本最強のアイスマニア。

市販の人気アイスで作る全51レシピを紹介。『コンビニ&スーパーのアイスが極上スイーツに!魔法のアイスレシピ』(KADOKAWA/1430円)

 市販の人気アイスで作る全51レシピを紹介。『コンビニ&スーパーのアイスが極上スイーツに! 魔法のアイスレシピ』(KADOKAWA/1430円)

取材・文/吉信 武