パウンドケーキとカステラの原料はほぼ同じ。バターが使われているかどうかに差がある。油脂が使われると洋菓子、使われないと和菓子と考えることもできる

 なんとなく聞いたことがある「おもたせ」という言葉。「手土産」とは何が違うのか。そしてそんな贈り物で人気なカステラは、洋菓子それとも和菓子なのか。知って楽しい、おもしろ雑学をお届け!

Q. 手土産とおもたせの違いってなに?

A. 自分が渡すお土産のことを「手土産」といい、もらったお土産を「おもたせ」と呼びます。(アイキャリア株式会社 代表取締役 太田章代さん)

 なんとなく聞いたことのある「おもたせ」という言葉。手土産となにが違うのだろう。マナー講師の太田章代さんにお話を伺った。

どちらも同じものを指していますが、『手土産』は訪問する側が持参したお土産のことで、一方の『おもたせ』は受け取る側がその手土産を丁寧に表現した言葉です。お客様が持ってきてくださったお土産をお出しするときに『おもたせで失礼ですが……』のように使います」

 ちなみに、「おもたせ」は「御持たせ物」の略。訪問者が持ってくるものという意味の「持たせ物」に御をつけて丁寧に表現しているのだ。

手土産を渡す際に言う「つまらないものですが」は「心ばかりですが」と言い換えてもOK。ちなみに、本来は「立派なあなたに比べたらつまらないものです」という意味

 ところが、デパートなどでは「おもたせにおすすめ」という言葉を目にすることも。購入する人にとっては「手土産」のはずなのにこれはどういうことだろう。

「言葉の意味が広くなってきて、細かい使い分けをしなくなってきているのかもしれません。それは自然な変化ですが、本来の意味を知っている人に使ってしまうと失礼にあたることもあるので、正しい意味を知っておくのは大切です」(太田さん、以下同)

「手土産」と「おもたせ」の使い分けのほかに注意したいポイントはあるだろうか。

手土産を渡すときは紙袋から出し、机越しではなく横に行き、相手と向き合って両手で渡します。ただ、屋外などで紙袋から出して渡すべきではないときは『紙袋のまま失礼いたします』とひとこと添えると上品です」

Q.カステラは洋菓子?それとも和菓子?

A. 洋菓子と思われがちですが、明治維新以前に伝来したお菓子なので和菓子です。(日本菓子専門学校 専任教師 福本圭祐さん)

 和菓子っぽいパッケージで味は洋菓子っぽいカステラ。厳密にはどちらなのだろう。

 日本菓子専門学校の福本圭祐先生によると、

「和菓子か洋菓子かの判断基準はそのお菓子が日本に伝わってきた時代によります。明治維新より前に入ってきたお菓子は和菓子、明治維新よりあとに入ってきたお菓子は洋菓子になります。カステラは明治維新以前にポルトガルから伝わったので和菓子です」とのこと。

 外国から伝来したお菓子なのに和菓子というのが意外。

「ほとんどの和菓子は中国から伝わってきています。まんじゅうも羊羹も、ルーツは中国で、それを日本人がアレンジしたのです。カステラはポルトガルが起源ですが、卵、砂糖、小麦粉のみで作られるパン・デ・ローというふわふわしたお菓子を、日本人の好みに合うしっとりした食感のカステラに作り変えたと考えられています」(福本さん、以下同)

 諸説あるそうだが、今の和菓子が、長い歴史のなかで日本人好みに変化した結果というのは違いない。

パウンドケーキとカステラの原料はほぼ同じ。バターが使われているかどうかに差がある。油脂が使われると洋菓子、使われないと和菓子と考えることもできる

 進化しているはずなのにずっと不便なことが。それはカステラについている紙が剥がれにくいこと。なんのために紙がついているのだろう。

「カステラを焼くとき、枠にくっつかないように紙を敷いているのです。ちなみに、温めると剥がれやすくなるので、お湯で温めたスプーンで紙をなでるといいですよ」

 試してみてはいかがだろう。