『第69回産経児童出版文化賞』の贈賞式ではスピーチ時にマスクを外された佳子さま(6月3日)

「生涯にわたって多様な本に接する経験は、大切な宝物になるのではないでしょうか」

 6月3日、秋篠宮家の次女・佳子さまは、都内で行われた『産経児童出版文化賞』の贈賞式に出席し、そうおことばを寄せられた。

“公務嫌い”という指摘は的外れ

「'93年から毎年、紀子さまが臨席された式典です。お代替わりに伴い、佳子さまが引き継がれたものの、新型コロナの影響で'20年は中止に。昨年はオンライン開催だったため、対面での開催は3年ぶりでした」(皇室担当記者)

 式典の様子を見ていた宮内庁OBは、佳子さまの“変化”を指摘する。

「以前は可憐なイメージが先行していましたが、最近は落ち着いた雰囲気です。スピーチでは、声のトーンやテンポを意識し、所作もずいぶん大人びていらっしゃいました」

 昨年10月に眞子さんが結婚して皇室を離れたことで、未婚の女性皇族はわずか5人に。必然的に役割も増えた。

「『日本テニス協会』の名誉総裁を眞子さんから受け継いだほか、複数の公務については佳子さまが替わって取り組んでおられます」(同・前)

 昨年5月には『全日本ろうあ連盟』の非常勤嘱託職員として就職し、“少しでも役に立てるように”との思いで、週3日のテレワークをこなされている。

「公務と仕事を両立していることもあり、国民の前に姿をお見せになる機会はそれほど多くありません。一部では“空いた時間は何をなさっているのか”“公務が嫌いなのでは”などの声も上がっています」(前出・記者)

 一方、ある皇室ジャーナリストは異論を唱える。

「秋篠宮さまが、'04年に記者会見で述べられたとおり、皇室の方々にとって公務は“受け身”で臨むものです。宮内庁が各団体からの依頼を預かり、内容に応じて各皇族に振り分けられます。最終的に参加をお決めになるのはご本人ですが、特別な事情がない限り、断ることはできないため、“公務嫌い”という指摘は的外れです」

 6月12日には『東京都障害者ダンス大会ドレミファダンスコンサート』に臨席される予定の佳子さま。

「障害のある人の家族や関係者を招待し、音楽やダンスを自由に楽しむ大会で、今回が20回目です。佳子さまは、10回、15回の節目にも出席されました」(前出・記者)

天皇ご一家からの“伝言”

 皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授は、「公務とは、皇室と国民との心を結びつけ、さらに強めるための活動」と解説する。佳子さまご自身も、'19年3月の大学卒業に際し、こう綴られていた。

《公的な仕事は、自分が何をしたいかで選ぶものではなく、依頼を頂いたものを一つ一つ丁寧に行うという考え方は父からのアドバイス》

 そう“手本”を示されてきた秋篠宮さまは、今年の春から活発な活動を続けている。

「両陛下は、社会情勢や警備上の問題により、いまだに地方訪問を再開できていません。コロナ禍で皇室の存在感が薄れてしまうかもしれないことを憂慮されているでしょう。そこで秋篠宮さまは、先んじて地方公務の“リクエスト”を受けつけることで、皇室の存在感、そして秋篠宮家に対する国民からの敬愛を取り戻そうとなさっているのでは」(宮内庁関係者)

 5月26日、27日にかけては、栃木県那須町をおひとりでご訪問。『日本動物園水族館協会』の通常総会に臨席されたほか、各所の視察もされた。

『道の駅・那須高原友愛の森』の工芸館で講師を務める齊藤コギクさんは、こう話す。

「県の伝統工芸品である『那須の篠工芸』をご覧いただいたのですが、とあるスタッフが“秋篠宮さまのシノにもかかっています”と、少々失礼にあたりそうなアドリブを……。ですが宮さまは、マスク越しにも伝わるほど、微笑んでくださいました」

5月30日、3年ぶりに開催された『千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式』に臨まれた秋篠宮ご夫妻

『那須どうぶつ王国』の佐藤哲也園長は、声を弾ませる。

「秋篠宮さまは、2時間ほどかけて回り、オオカミやカワウソなどの希少種についての専門的な質問を投げかけてくださいました。前回お越しになったのは約12年前だったので、今の園内を“ずいぶん立派になりましたね”とお褒めの言葉もいただきました。
コロナ禍以前は毎年いらしていた天皇ご一家から“園長によろしくお伝えください”との伝言までいただけたのもうれしかったです」

 それから3日後の5月30日には、紀子さまと一緒に『千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式』にご出席。6月に入ってからも、すでに複数の公務をこなされている。

「6月11日、12日の2日間かけて、ご夫妻で広島県を訪問される予定です。平和記念公園での献花なども予定されていますが、主目的は『第70回全国ろうあ大会』へのご臨席です」(前出・記者)

 大会の主催者は、佳子さまの勤務先・全日本ろうあ連盟。前述したように、佳子さまはこの日、都内で行われるダンスの催しに臨席されるため、お出ましにならない。

「職員として、事前準備の業務にかかわる可能性は高いと思います。佳子さまが、その“裏話”をご夫妻に共有されれば、当日もより充実した時間になりそうですが……」

悠仁さまのため、姉の決断とは

 前出の宮内庁関係者は、そう憂色を浮かべて続ける。

「眞子さんと小室圭さんの結婚騒動を通して、“親子の不和”が生まれたことで、ご家庭内での会話は限られているそうです。姉の結婚を誰よりも応援されていた佳子さまと、小室家への不信感を募らせていたご両親の間にできた“溝”は、いまだに埋まらないとか」

 そんな中でも、佳子さまが秋篠宮家の一員として邁進されるのには理由がある。

「“眞子さんに心配をかけまい”というお気持ちが、何より強いのでしょう。皇室から逃げるがごとく渡米した眞子さんですが、残された家族……特に佳子さまや悠仁さまのことが気がかりで仕方ないはずです」(秋篠宮家関係者)

 前出の小田部教授も、佳子さまのお立場をこう慮る。

「紆余曲折ありましたが、眞子さんが“天皇家を支える皇室の一員”としての使命感と達成感を大切にされなかったことは、今でも悔やまれることです。佳子さまには、その点を見誤ってほしくないと願うばかりです」

 佳子さまからは、並々ならぬ責任感が感じ取れるという。

「悠仁さまが成人し、高校を卒業されるまでは、皇室にとどまって内親王としてのお役目を果たすおつもりだと拝察します」(前出・秋篠宮家関係者、以下同)

'19年8月、『少年の主張全国大会』に佳子さまと悠仁さまのみでご臨席

 今年4月、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた。悠仁さまは'24年9月に成年を迎え、'25年3月に高校を卒業される見通しだ。

「“将来の天皇”というプレッシャーを背負う悠仁さまにとって、多感な時期に姉2人と離れ離れになることは、相当おつらいに違いありません。佳子さまは、“弟のために、あと3年は結婚しない”という気概を持っておられると思います」

 佳子さまは、初めての『歌会始の儀』で弟にまつわる和歌を詠まれたほど、愛情が深い。

「3年後には30歳。眞子さんが結婚した年齢と同じです。何かと比較されることが多い皇室においては“姉思い”なご判断ともいえるでしょう」

 佳子さまにとっての“結婚適齢期”は、まだ先になりそうだ─。


小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代皇室史を専門とし、『皇室と学問 昭和天皇の粘菌学から秋篠宮の鳥学まで』(星海社新書)など著書多数