ヒロミ

 ヒロミ(57)が『うたコン』(NHK総合)に登場した。郷ひろみではなく、芸人のヒロミだ。

ヒロミ、好感度上昇のヒミツ

 歌ったのは『神様との約束』。ヒロミが芸人仲間のはなわに「ママの歌を作ってくれないか」と頼み、できあがったというコミックラブソングである。

 ちなみに「ママ」とは妻の松本伊代(56)芸能界有数の天然キャラだ。はなわには、ガッツ石松の天然ぶりをネタにした『伝説の男~ビバ・ガッツ』という曲もある。また、自分の妻の天然ぶりをネタにしつつ、妻の失踪した父に対面を呼びかけた『お義父さん』という曲も。

 そして『神様との約束』は、伊代の天然エピソードで笑いをとりつつ、挙式したハワイでヒロミが神に誓った愛のメッセージを謳いあげ、泣かせる曲だったりする。

 と、ここまでの説明を読んだ人の感想は大きく二分されることだろう。『うたコン』を見た人のネットでの反応もそうだ。「素敵」「奥さんがうらやましい」という人もいれば「チャンネルを変えたくなった」という人もいる。後者の場合、詞の内容以前に「歌が下手すぎて」という声もかなり占められているわけだが──。

 ただ、芸能というものは無関心より好き嫌いが生じたほうがよく「好き」が半分もあれば商売になる。ヒロミが約10年間のブランクから復活できた理由も、そこにあるのだろう。

ヒロミと松本伊代の長男・小園凌央

 復活後、彼が「ママ」の天然をネタにしつつ、息子たちに対しては「ママを泣かせたら俺が許さない」と言っているというのもわりと知られている。そんな「愛あるいじり」が最近の好感度にもつながっているわけだ。

大復活のカギは「家族愛」

『うたコン』の2日前には『ボクらの時代』(フジテレビ系)に出演。芸能界からいったん離れた理由について「仕事が来なくなったらやめなきゃいけない。そうなるくらいなら自分で決めたかった」という意味の発言をした。

 そして、復活については「そんなに芸能界も甘くない」し「若いのもいっぱい、それなりにやって」いるから「自分が入っていく隙間なんかもないんだろうな、みたいな感じだった」と言う。

 しかし、ブランクのあいだに「がむしゃら」より「80パーセントくらい」のほうがうまく回ることに気づいたらしい。

 たしかに、その気づきも再ブレイクにつながったのだろうが、家族愛を売りにできるようになったのも大きいのではないか。

 自分の妻を「ママ」と呼び、その日常的な失敗談を面白おかしく語る。それを「ママ」が別のところでMCやレポーターにツッコまれたりする。いわば、離れていても夫婦漫才ができてしまう構図だ。

 こうした芸風には一定の需要があり、渡辺徹と榊原郁恵などもそれを活用してきた。離婚したとはいえ、明石家さんまと大竹しのぶもそんな感じだ。若手はあまり、この芸風をあからさまにやらないので、ベテランにはおいしかったりもする。

 なお『うたコン』の翌日には、伊代が『徹子の部屋』に出ていた。ヒロミの弱点を暴露したりしつつ、同期デビューで仲のよい早見優について「仕事でもよく一緒になったり」と発言。5年前の線路立ち入り事件を思い出したが、天然キャラの彼女はそこまで深くは考えない。今後もヒロミにネタを供給し続けてくれるだろう。

 実は1月に伊代も『うたコン』に出ていた。年末には『紅白』で夫婦共演、というのもありえなくはない。復活後のヒロミは「隙間」どころか最も安定した居場所を見つけたみたいだ。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)