和傘に加え日傘をさして移動車に乗る栗山千明の周りには、撮影自粛を呼びかけるスタッフが

《百万石まつりを楽しみにしてくださっていた皆様、誠に申し訳ございませんでした》

 6月12日、自身のツイッターで謝罪の意を示したのは、女優の栗山千明。彼女が参加した『第71回金沢百万石まつり』で起こったトラブルとは――。

「コロナ禍の影響で、今年は3年ぶりの開催でした。お祭りの目玉は、6月4日に行なわれた『百万石行列』。著名人が前田利家公とその正室、お松の方に扮し、金沢の街を練り歩くというもので、34万人もの観客が詰めかけました。今回は利家公を竹中直人さん、お松の方を栗山千明さんが演じましたが、対応に不満の声が上がっていて……」(スポーツ紙記者)

栗山サイドが“撮影禁止令”を要求

 過去には松平健と斉藤慶子、近年では加藤晴彦と藤本美貴など、さまざまなキャストが演じてきた“利家とまつ”。いったい、何が起きたのか。

お祭りでは、利家公やお松の方などを撮影するのが観客の楽しみにもなっていたんですが、今年は写真や動画撮影の自粛が呼びかけられたんです。例年は実行委員会によって“写真コンテスト”も開かれていましたが、今年は中止。これらの旨がお祭りの直前に通達されたことにも、批判が集まっています」(同・スポーツ紙記者)

 SNS上には《撮影禁止って正直興ざめする》《メインイベントなのに残念》など厳しい声が寄せられている。実行委員会は竹中と栗山両名の《肖像権保護》を理由としているが、『週刊女性』は、祭りの開催前からある情報を入手していた。

「実は、栗山さん側が、出演の条件として観客による撮影の禁止を求めているそうなんです。守られないなら、出演しないとまで主張しているようで……」(地元マスコミ関係者)

 なんと、栗山サイドが“撮影禁止令”を要求しているのだという。情報をもとに、祭りの運営に携わる関係者にさらに詳しい話を聞くと、要求はそれだけではないとのこと。

「撮影が禁止となれば、当然写真コンテストも中止となりますが、加えて栗山さん側は“SNSで肖像がアップされた場合、24時間以内に削除要請をする”“24時間以内に削除要請をしなかった場合、1件につき100万円を要求する”という、とんでもない条件をお祭りの運営側に提示したというのです」

和傘に加え日傘をさして移動車に乗る栗山千明の周りには、撮影自粛を呼びかけるスタッフが

 にわかには信じがたい条件だが、事実であれば今後の開催にも関わりかねない。6月4日、編集部はその様子を確認するべく、現地に向かった。

『百万石行列』が始まり、栗山演じるお松の方が現れると観衆から大歓声が。栗山は手を振り笑顔で声援に応じたが、彼女が乗る車の周りには《「お松の方」の撮影はご遠慮ください》というプラカードを持ったスタッフが前に1人、左右に2人ずつ、計5人帯同。

実行委員会を直撃!

 しかし、その後、白馬に乗った利家公こと竹中が登場すると、同様のプラカードを持ったスタッフが2人帯同しているものの、自ら観客のいる側道に近づくなど、竹中は大サービスを見せた。

「毎年来ているけど、こんなことは初めて。栗山さんはどうしちゃったのかしら。和傘の下に真っ黒な日傘をさしているのも、世界観に合わないし……」(居合わせた女性)

 例年とは異なる異様な光景に、観客も戸惑いを隠せない様子。イベントの終了後、竹中と栗山はそれぞれ車に乗り込んだが、声援が送られ続けると、3分ほどたったころ、竹中は再登場。観衆に近づき、握手に応じるなど笑顔で“神対応”を見せた。

 祭りの開催後、SNS上には例年通り写真がアップされたが、やはり栗山側はこれをよしとしなかった。

「運営側に対し“SNS上の写真が消えていない”“日よけ加工がされていない和傘のせいで、日傘をさした本人が叩かれている”として、公式な謝罪を求めているそうです。“謝罪がなければ、栗山のSNSで声明を出す”と伝えたとも聞きます……」(祭りの関係者)

 盛り上がりを見せた祭りの裏でトラブルとなっているようだが、実情はどうなのか。詳しい事情を尋ねるべく、祭りの実行委員会に名を連ねる金沢市観光政策課に話を聞いた。

――栗山さん側から、撮影禁止を条件として提示された?

「撮影自粛のお願いは、あくまでも昨今のSNS上への無断アップロードなど、肖像権に関するトラブルを考慮したうえで、関係者などと調整した結果、判断したものです。写真コンテストの中止も同様です」

――“肖像がアップされた場合、24時間以内に削除要請をする”“しなかった場合、1件につき100万円を要求する”という条件は?

「観光政策課としては、そのようなお話はいっさいお伺いしておりません。私自身、たった今ご質問を聞いて、驚いています……」

 金沢市としては、まったく認識していないという。では、いったいどこに対して突きつけられた要求だったのか。『百万石まつり』を担当したというイベント代理店に電話で問い合わせると……。

――『百万石まつり』における栗山さんの撮影規制に関して、お伺いしたいのですが。

「あー……。いろいろ、今話せないので。ちょっといろいろ難しくて、現状何もお答えできません……」

金沢市長までコメントを出す事態に

 終始歯切れの悪い答えのまま、通話を終えた。関係者が口をつぐむ、栗山を巡るトラブル。事実を確認するべく、6月上旬、栗山の所属事務所に、撮影禁止や無断投稿の取り締まり及び100万円の要求、謝罪を求めていることなどに関して問い合わせると、以下の回答が寄せられた。

《一般の方の撮影を御遠慮頂きたい旨は、今回の御依頼を頂いた際にお伝えし、承諾して頂きましたのでお引き受け致しました。その他については事実ではございません。
弊社は金沢市及びお祭り実行委員会と直接お話した事は一度も無く、間に代理店やキャスティングなど沢山の方が関わっていらっしゃいますので、出演者を守るために色々とご配慮いただいた結果、残念ながら相互の認識に相違が生じた部分はあるかもしれません》

行列では観客の集まる側道に近寄り、祭りの終了後には握手にも応じた“神対応”の竹中直人

 “撮影禁止令”に関しては事実を認めたものの、“1件につき100万円”という無断投稿の取り締まりに関する要求などに関しては事実ではないとし、“認識の相違”との表現にとどまった。

 一方、竹中側はというと、

「今回の『百万石まつり』においては、竹中に関するSNS上での写真や動画の使用はまったく問題ございません。観客の方が大勢いらっしゃるああいったイベントでは、撮影は止めようもないと思いますので」(竹中の所属事務所)

 祭りでの撮影・録画行為に、なんとも寛容な姿勢を示した。

 6月10日、金沢市の村山卓(たかし)市長は、今回の騒動を受け「実行委員会が契約する相手方の事務所あるいは、仲介する事務所との間でしっかりと事前の取り決めをする必要がある」「契約する際にもう少し詰めておくべき所だったのかもしれません」と説明し、竹中・栗山との契約書に市民の撮影禁止といった項目はなかったことを明らかにした――。

 “加賀百万石の祖”と称される利家公は草葉の影で今、何を思う。