2022年にNetflixで放送予定の『舞妓さんちのまかないさん』(公式HPより)

 元舞妓を名乗る女性の告発ツイートが、Twitterを中心に注目を集めている。

≪この世から抹消されるかもしれんけど、これが舞妓の実態。当時16 歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)。これが本当に伝統文化なのか今一度かんがえていただきたい。写真はお客さんと山崎18年一気飲み大会で勝利した時と飲酒≫

舞妓の存在自体が問題視される流れに

 という、舞妓の実態を暴露した衝撃的な投稿は、13万件超リツイートされ、現在もなお拡散されている。そんな中、「舞妓」をテーマにしたアニメ、またその実写版ドラマが、SNSユーザーの耳目を集めているようだ。

「ツイートの投稿者である元舞妓女性は、≪毎年後輩たちが自殺未遂したり心を病んでいくのを黙っていたくはなかった≫という理由から、今回の告発に踏み切ったそうです。彼女はほかにも、≪6年奉公で住み込み、給料0円、ちょっとしたお小遣い制度≫という知られざる給与事情や、≪外部とは手紙か公衆電話しか繋がれず、携帯電話持たせない。なぜか?外の世界を知ると逃げ出すから≫という閉鎖的な環境についてなど、次々と暴露。

 さらに、≪私は5000万円で処女を売られそうになった。そしてそのお金、舞妓自身は貰えない≫と、人身売買を思わせるような話まで飛び出し、その内容に、多くの人があぜんとなっている状況です」(芸能記者)

 そもそも舞妓とは、舞踊や唄などで宴席を盛り上げ、客をもてなす15~20歳の女性で、「芸妓の見習い」という立場。屋形(置屋)の女将である「おかあさん」の元で共に暮らしながら、日中はさまざまな芸事の稽古に励み、夜はお客さんの待つお座敷へ向かうという生活を送っている。

「元舞妓女性の告発内容以前に、一部SNSでは、そもそも未成年者が夜の酒席に呼ばれるということが『おかしい』とする声が目立つなど、舞妓の存在自体が問題視される流れになっています。これまで日本の伝統文化としてもてはやされてきた舞妓ですが、これを機に、そのイメージが“激変”するかもしれません」(前・同)

拡散され続けている滝沢ガレソ氏のツイート(Twitterより)

 そんな元舞妓女性による告発をきっかけに、2021年~2022年にかけてNHKワールド JAPANとEテレでアニメ版が放送され、今年Netflixで実写ドラマ化も決定している『舞妓さんちのまかないさん』という作品が取りざたされている。

 原作は、小山愛子氏の同名タイトルのマンガ(小学館)で、青森から舞妓を目指し、京都の花街にやって来たキヨという少女が主人公。キヨは早々に仕込みさん(舞妓候補)から脱落するも、屋形の「まかないさん」として、舞妓たちに祖母直伝の手料理をふるまうように。

実写版は配信自体が危ぶまれ

 一方、キヨの幼馴染で、一緒に花街へ出てきたすみれは、「100年に一人の逸材」として舞妓修業に邁進していく……というストーリーで、「あたたかく、おいしい食事を通して、キヨやすみれ、舞妓たちの日常がほんわかテイストで描かれる作品」(エンタメ記者)だそうだ。

 アニメ版も人気を博したが、実写ドラマ版では、キヨ役に森七菜、すみれ役に出口夏希という若手の注目株が起用され、さらに現在、映画『ベイビー・ブローカー』がヒット中の世界的映画監督・是枝裕和氏がメガホンを取るとあって、「アニメ版以上に話題を呼ぶのは必至」(前・同)だという。

「元舞妓の女性の告発ツイートから、同作を思い出した人は多かった様子。アニメ版に関しては、原作同様、ほんわかした内容だったため、告発内容とのギャップに困惑した人も少なくなかったのではないでしょうか。

 また、子どもの視聴者が多いEテレで、しかも土曜の朝から同作が放送されていたことについて、≪めちゃくちゃモヤってた!≫≪全部見たわけじゃないけど世間的にはあんなイメージで新しい子入ってんだろうなぁって思ったわ≫など、あらためて強い違和感を持ったという声が、SNS上で飛び交うことに。

 とはいえ、『舞妓さんちのまかないさん』は、『あくまでフィクション』という観点から、元舞妓女性の告発が同作に飛び火していることに反発する声も多数見受けられる。一方で、まだ公開されていない実写ドラマ版に関しては、元舞妓女性の告発による影響から、配信自体を危ぶむ声まで散見されます」(前・同)

拡散されている画像(Twitterより)

“舞妓の闇”をスルーできるのか

 実際に配信に至ったとして、監督が是枝氏であることから、「原作モノとはいえ、その内容が世間にどう映るのか懸念されている」(ウェブメディア編集者)との見方も。

「今春、映画監督・榊英雄氏による女優への性行為強要報道が問題になったことを契機に、有名映画関係者らの性加害、セクハラ、パワハラ問題が噴出しました。是枝氏は、そういった日本映画界の悪しき体質を変えようと、先陣を切って声を上げている人物。

 3月には、『私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します』という声明を出したほか、6月には、日本映画界の長時間・低賃金労働、ハラスメントといった課題改善などに取り組む統括機関の結成を目指す『日本版CNC(セー・エヌ・セー)設立を求める会/action4cinema』を立ち上げています。

 そんな是枝氏が、元舞妓女性の告発内容――未成年者の売春や児童の労働問題をスルーして何事もなかったかのように配信した場合、今回勇気を振りしぼって告発した元舞妓の決意を“無視”したように映る可能性があります。今はまだSNS上の一騒動に過ぎないですが、今後、大々的な問題になった場合、“舞妓の闇”を見て見ぬふりは到底難しく、是枝氏も自身が手がける実写ドラマに何らかの対応をせざるを得ないかもしれません」(同・前)

『少年サンデー』で連載中の『舞妓さんちのまかないさん』(小学館)

 元舞妓女性の告発をめぐる一部の反響によって、世界的に有名な是枝監督が“とばっちり”を受ける可能性がある。果たして、どのような出来になっているのか――実写ドラマ版『舞妓さんちのまかないさん』が見られる日を心待ちにしたい。