学校生活のいらなかった校則・行事・部活(※画像はイメージです)

 今年5月7日、山陰中央新報が「体育座りは身体に悪影響がある」と報じた記事がSNS上で話題になった。

 記事によると体育座りは、《実は、世界でも日本でしか見られない珍しい座り方で、内臓を圧迫し、座骨の痛みが出るなど体には悪影響が多いという指摘がある。集会時の座り方を見直す学校もあり、当たり前だった光景が見られなくなる日が来るかもしれない(抜粋)》と述べられていた。

「SNS上では体育座りは“廃止でもいい”との意見も多かったようです。ですが、体育座りの廃止よりも校長の無意味な長時間の話や炎天下での集会をなくしたほうがいい、という意見も少なくなかった」(教育関係者)

蒸し風呂状態で行われた校長先生の話

小~高校までの間の学校生活では無駄だと思うルールがいくつもあった。大人になってからも納得がいかないことがある(※画像はイメージです)

 東京都に住む会社員の佐藤秋野さん(30代女性・仮名)もそうした意見を持つ1人。

「実は私は小学校の全校集会でひどい目に遭ったことがあるんです。9月1日、夏休み明けの始業式の日でした」

 当時、佐藤さんは小学校5年生。その日は朝からよく晴れていて日差しが強かったことを鮮明に覚えているという。

「集会は体育館の中で行われていました。冷房はなく、窓を開けても風は入らないし、蒸し風呂状態。校長先生の話が長すぎて……。しばらくすると目の前が急に真っ暗になって倒れました」(佐藤さん、以下同)

 佐藤さんは保健室に運ばれたというが、ほかにも倒れた児童は多く、廊下まであふれていた。

「先生たちも暑そうにしていたのに長時間集会をやる必要があったのか今でも疑問です」

 大人になった今、学校生活を振り返って「これは必要なかったんじゃないか」と思うことは多々あるのだ。

 そこで本誌では読者にアンケート。小中高校時代に無駄だったと思う事柄について調査した。

学生時代のこれは「いらなかった」TOP10

全国の30~79歳までの男女100人を対象に編集部とネオマーケティングによって調査。その他の項目では名札などによるプライバシーに関する不満や友人関係の回答もあった

第1位 おかっぱ・丸刈り制服のルールがトップ

 もっとも得票数が多かったのは『制服や頭髪』にまつわる校則。

「中学のころの男子は丸刈り、女子はおかっぱかおさげという校則。ただでさえ詰め襟とかジャンパースカートとか機能性が低い制服を着ているのに、髪型まで指定されて個性が押しつぶされていたと思う」(神奈川県・49歳・男性)

「頭髪検査で生徒はおかっぱ、丸刈りなのに、点検する教師の髪が長かったのが納得いかなかった」(埼玉県・63歳・女性)

「5月の中ごろでちょっと暑い衣替え前。部活帰りにセーラー服の袖をまくっていたら生徒指導の先生に注意されたことが今でも忘れられない。みっともないとのことでしたが暑かったんです!」(愛知県・61歳・女性)

「学生時代の体育の授業はブルマーでした。色が黒なだけでほとんど下着だし、ブルマーでないといけない意味が、本当にわかりませんでした。高校の1年生のころ、体育の授業をしているときに門からのぞいてる人がいて問題になり、その後はハーフパンツになりました」(神奈川県・44歳・女性)

「中学生のときチャイムが鳴っている間は動いてはいけないという決まりがあった 静止して今から自分はどのような行動をしなければならないか考える時間といわれた。どう考えてもおかしな決まりで無駄な時間だったと思う」(千葉県・52歳・女性)

第2位 全校集会による長時間拘束

 続いて『全校集会』について。冒頭の佐藤さんのように長時間の拘束に不満を覚えている人は少なくなかった。

「とにかく無駄に長い学年集会。一部の生徒の素行の悪さを注意するために学年全員が集められ2~3時間説教されたことも」(東京都・47歳・男性)

「朝礼の校長先生の挨拶。校長先生の話はあってもいいが自分の経歴とか私事が多く、時間が異常に長くて必要最低限の報告にとどめてほしかった」(宮崎県・59歳・男性)

「校庭での朝礼。校長の話は長いし、雪が降っても外で行っていたので寒かった」(青森県・60歳・女性)

第3位 体罰や部活動での暴力

 第3位は『体罰や部活、学校生活での行きすぎた指導』に関して。

「小学校5年のころの担任は何かあるとすぐに殴ってきた。たばこを買いに校外に行かされたこともある。子どもだったからわからなかったが今思えば懲戒ものである」(兵庫県・62歳・女性)

「部活の水飲み禁止は危険だった」(神奈川県・32歳・女性)

「小学校の給食を残さず全部食べさせられていた。鍋も空にしないと先生に怒られ、好き嫌いをしているわけでもなく、食が細い子はかわいそうだった。食べ物を無駄にしないように、との考えはわかるが食べきれなくて泣いてしまう子や吐いてしまう子もいて給食の時間が嫌だった。今だったら大問題になる」(静岡県・38歳・女性)

「中学校3年のとき、校長先生が夜、学年の全生徒の家に家庭訪問をして、高校受験を頑張るように励ましていた。受験勉強をしたいのに、校長先生が来るからと、PTAの役員が自宅に来て、“校長先生に失礼のないよう”と、家族にまで注意して回っていた。勉強に集中できないし、家族にとっても迷惑だった」(福島県・64歳・女性)

第4位 部活よりも学校行事

地域や学校によってもルールは異なる(※画像はイメージです)

部活より学校行事を優先するケースも

 無駄だと感じる意見は『学校行事』に関しても……。

「公立中学校なのに入学式で新入生をなぜかハレルヤコーラスで迎えていた。音楽の授業はその練習だし、言葉も曲も難しくて……。授業前や放課後、大会前なのに部活よりも優先させられていた」(神奈川県・39歳・女性)

「中学の入学後すぐに遠足で山登りをさせられたこと。体力がない私はどんどん遅れて後ろにいたクラスにも抜かれ、1人の先生が付き添ってくれて登りきったのですが、次の日に担任に呼び出され、めちゃくちゃ怒られて……今でもムカつきます」(東京都・40歳・女性)

「持久走大会、何の役にも立ってません。つらく苦しいだけの思い出しかありません」(埼玉県・52歳・女性)

 そのほかにも「特定のスポーツをしていたり、成績優秀者を先生がひいきしたり優遇していた」(大阪府・56歳・男性)ことへの不満や、「集会ごとに校歌を歌うのが無駄だった」(愛知県・48歳・女性)という意見も。

上下関係の厳しさも

 教師や校則に限らず『先輩後輩の上下関係について』言及する回答もあった。

「今とは違い、ありえないくらいの縦社会。親、先生、先輩、年上は絶対。ずっと頭を押さえつけられて生きてきたので今の若者がうらやましすぎます。自分たちはなぜあんなに我慢しなければならなかったのかと悔しいです」(北海道・59歳・男性)

 少数だが学校への『寄付』に関する不満も見られた。

 さらには英語や数学など、専門的な授業は卒業後の社会で役立つことが少なく無駄だった、という回答を述べていた人もいた。

 しかし、中には「無駄なこともあったけど、今となっては厳しい学校生活も社会に出てからの大変さに比べるといい思い出です。ただ、次の世代には残したくないものも多いですね」(富山県・60歳・女性)といった声もあった。

 学生時代の理不尽さやつらさも、時を経ることで、客観的に受け止められることもあるという。

 皆さんの学生時代はいかがでしたか?