6月3日、突然の雷雨とともにピンポン球大の雹が関東各地を襲い、被害の訴えがSNSにあふれた(写真はイメージです)

「車がへこんだ」、「トウモロコシ畑が荒らされた」、「屋根が崩れた」

 6月3日、突然の雷雨とともにピンポン球大の雹が関東各地を襲い、被害の訴えがSNS上にあふれた。

「不安定な大気が続いているので今後も注意が必要ですが、自然災害というものは、想定外の被害をもたらすことも。世界で起きた驚きのニュースを振り返るとともに、身の安全を考えていただきたい」

 とは、防災ジャーナリストの当山みどりさん。世界ではどんな自然災害が起きているのか─。

空から降る小魚(アメリカ・テキサス州)

竜巻や台風、ハリケーンなどによって海の生物が空中に吹き上げれらるという イラスト/こうき

「アニマル・レイン(動物の雨)」という言葉をご存じだろうか。その名のとおり空から生き物が降ってくる現象のことだが、これは珍しいことではあるが、ありえない現象ではないという。実際にアメリカ・テキサス州で起きたのは今年頭のこと。

「米テキサス州のテクサーカナという地方で、小魚が空から降ってくる現象がありました。水上の竜巻によって吹き上げられた可能性が高く、勢いを失ってから地面へ落下してきたのだろうと予想されています。

 住民たちは驚きましたが、バケツを用意して釣りのまき餌にするという人や、フェイスブックなどのSNSに投稿するため写真や動画を撮る人が多く見られたとか。恐怖というよりもわりと楽しんでいたようです」(当山さん、以下同)

 中国では'18年に雷雨の中、タコやヒトデ、アワビなどの海産物が降ったことも。水上の竜巻によって魚が地上に降ってくるということがあるのだ。心しておきたい。

カボチャ大の雹が降ってきた!(日本・埼玉)

今からさかのぼること約105年前の大正時代、埼玉県では強風の被害に見舞われていた。

「気象現象の歴史を綴った『気象要覧』によると、大正6年(1917年)の6月、埼玉県内に強風が吹き荒れ川越地方の屋根が吹き飛ばされるなどの被害が発生。桶川町には落雷があり、1名が即死しています。特に被害の大きかった熊谷近郊では降雹の被害が相次いでいたんです」

大粒の雹は石が空から降ってくるのと変わらない イラスト/こうき 驚きなのはその大きさだという。

カボチャくらいの大きさの雹が降ってきたという記録があります。そのときに降ったほとんどの雹は1個の重さが約1・1kg程度でしたが、そのカボチャ大の雹は3・4kgもあったそうです。

 地面に直径約51・5cmの大きな穴をあけ、小さなものでも約12cmの跡があったと記載されています。

 屋根、雨戸を突き破って屋内に入った雹の塊も少なくなかったといわれています

 打ちどころが悪いと命に関わるケガをしてしまう場合もある。どうやって身を守ればいいの?

日本で雹が降る時間は10分ほどとされていますので、頑丈な建物に避難してやり過ごすようにしましょう。傘は貫通する恐れがあるので、建物に入ってください

49・6度の熱波で777人が死亡(カナダ西部)

昨年6月、カナダを記録的な熱波が襲った。最高気温が49・6度を記録し、1日で295人が死亡したという。カナダでいったい何が起きたのか。

昨年の6月25日から7月1日の1週間で777人の死亡が報告されました。現場となったのはカナダ西部ブリティッシュコロンビア州のリトン。

 それまで、カナダの最高気温はサスカチワン州で1937年に記録された45度でした

猛暑が続く日本。決して例外ではないことを肝に銘じよう イラスト/こうき

 熱波に見舞われたのはカナダのブリティッシュコロンビア州だけではない。同じ時期に米北西部オレゴン州ポートランドでも46・6度、ワシントン州では各地で47・7度という記録的な暑さ。

 この2つの州では熱中症などで計1100人超の人が病院で治療を受けたと報じられている。

オレゴン州では猛暑によって発生した山火事が広がり620平方キロメートルが焼けました。東京23区とほぼ同じ面積が一瞬にして焼けたんです。猛暑の前に干ばつの被害に見舞われていたことがこのような火事につながった。気象条件がそろうととんでもない被害が生じるんです

 猛暑の熱波の上に火事。灼熱地獄とはこのことかもしれない。

「これらの出来事は対岸の火事ではない」

 とは、前出の当山さん。

WMO(世界気象機関)は'21年版の気象報告書で世界の状況が変わってきていることを指摘しています。猛暑や大洪水などの異常気象はもはや新しい平常になっていると伝えています。海面の上昇も過去最高を更新していますし、地球温暖化の影響は確実に迫ってきています

 今後予想される異常気象はあるのだろうか。

「寒暖差が激しくなることが予想されます。羽織ものが必要なくらい寒かった翌日には猛暑とか、気温が安定しない状況になる。気温は自律神経に直接影響を与えますから、心身の不調を訴える人が多く出るかもしれません」

 備えあれば憂いなし。いつ降りかかるかわからない自然災害に備えて、世界の驚きニュースで防衛したい!