LLBROTHERS(右・兄TAKANORI左・弟MASAYA)

 伝説のテレビ番組『風雲たけし城』が34年ぶりに復活。同じくビートたけしがMCを務め、復活してほしいバラエティー番組といえば、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』。その中の「高校生制服対抗ダンス甲子園」で人気を博した実力派・LL BROTHERSが、当時受けたというテレビの洗礼とは……?

最初は乗り気ではなかった

 『元気が出るテレビ』といえば「高校生制服対抗ダンス甲子園」を思い出す人は多いはず。現在は政党「れいわ新選組」代表である山本太郎のメロリンQなども話題だったが、実力派として人気を博したのがL.L BROTHERS(現:LL BROTHERS)だ。第1回、第2回と連覇を果たし、テレビドラマにも出演、歌手デビューまで果たすなど、まさに番組が生んだスターである2人。今回は兄のTAKANORIさんを中心に話を聞くことができた。

「僕とMASAYAは、『ダンス甲子園』はもちろん、番組も見たことがなかったんです。同級生から『ダンスの番組やってるよ! 出なよ!』と言われたのがきっかけでしたが、真剣に取り組んでいたので、お笑いの番組に出るのは嫌で、全然乗り気ではありませんでした」(TAKANORIさん、以下同)

 結局、福岡のダンサーの先輩に声をかけられ、断りきれずオーディションに連れていかれたところ、既にオーディションは終わっていた。踊りを一応見せたところ、出演をオファーされたが、当初は辞退した。

「番組を見てから決めてくれ、と言われ、その後番組を見て、全国に同じように踊っている人たちがいるって知れたのはうれしかったし、僕たちのダンスを全国の人に見てもらえるチャンスだと思い、一度だけのつもりで出ることにしました。無駄にプライドが高かったんでしょうね(笑)」

 もっとも、ビジュアル・実力・体格とどれをとっても頭ひとつふたつ抜きん出ていた。

「初めて出た九州大会の当日、実は『学生服を着て踊る』っていうルールを初めて聞かされて、僕はもう高校を卒業していたし、仕方なく、会場に用意されていた学生服の上着だけを借りて、シルエットが気に入らないから裾を切って短くしました(笑)」

MCハマーを前に……

 人気が出るにつれて「むちゃ振り」を受けることも多くなっていった。MCハマーの来日時、ダンス甲子園メンバーが面会をするという企画の際も、そんなテレビの洗礼を受けた。

「僕たちは行かないつもりでした。どうしても来てほしいと言われ、絶対に踊らないという約束で参加したのにその場で『やっぱりMCハマーの前で踊れ』と言われまして。急きょ作らされた振りだったから、MASAYAが途中で間違えてしまって、撮り直しもできず。オンエアではそれを緊張して踊れなくなったことにされてしまって。当時は子どもでしたから、あのオンエアの内容はショックでしたね」

 パフォーマンスの質に対して妥協をしなかった2人。歌手としてデビューした後、人前で歌うことに自信をつけるのは一筋縄ではいかなかった。

「いきなり歌えと言われてもはじめは本当にヘタクソで(笑)。でも、ダンスが好きなのも、突き詰めれば音楽が好きってことなので。目的はバックダンサーではなくフロントに立つことでしたから、いろいろな方に力を借りてなんとか続けてこられましたね」

 EXILEファミリーなど、『元テレ』で見た彼らに憧れてダンスを始めたダンサーやシンガーは多いという。

 現在LL BROTHERSは自身の楽曲制作やアパレルのデザインを手がけるほか、TAKANORIさんはメジャーアーティストへの楽曲提供や自らのブランド立ち上げの準備中、MASAYAさんは地元福岡県でボーカル指導を行うなどソロでも活動の場を広げている。

「今MASAYAと振り返っても、大変なこともあったけどダンス甲子園に出たことは100%よかったと思う。やはりあの経験がなかったら今の僕たちはいないので感謝しています」

 昨年デビュー30周年を迎えたという2人。コロナ禍でライブやイベントは無期延期になったというが、落ち着くころにはうれしいお知らせも届くだろう。

LL BROTHERS
 エルエルブラザーズ 兄TAKANORI・弟MASAYAからなる福岡・久留米市出身の兄弟ダンスボーカルユニット。ユニット名の由来は兄弟どちらも高身長からなる体格から。1991年『L.L BROTHERSのテーマ』でメジャーデビュー。自身の音楽活動のほか、EXILE、安室奈美恵、CHEMISTRYなどへの楽曲提供も行っている。TAKANORIさんソロでは、三代目J Soul Brothers、GENERATIONS、THE RAMPAGEなどへの楽曲提供も。

そのほかにも……
元気が出るテレビ有名人
「あの人は、今!」


●三上大和
「平成口ゲンカ王決定戦」で青森弁が印象的だった高校生。父親は政治活動家として知られた故・羽柴誠三秀吉さん。現在は父が経営していた建設会社の代表取締役。

●演歌好き小学生の「篠原君」
 憧れの女性歌手のもとに駆け寄る際に坂から転げ落ちて爆笑をさらった。現在はテレビ東京の政治部官邸キャップで、選挙特番の際は池上彰のサポート役。

●川崎徹
 人気CMディレクターとして活動する傍ら、レギュラー陣の中でもユニークな存在だった。現在はおもに小説家として作品を発表している。

●元気美佐恵
 女子プロ予備校出身。リングネームは番組名から。全日本女子プロレスのオーディションに唯一合格した。2008年にプロレスを引退し、現在は居酒屋を経営している。

●オープニングテーマの歌手
 ノリのいいオープニングのテーマ曲を歌っていたのは、ジャズ歌手の奥土居美可さん。CMやアニソン歌手としても知られ「ペットフードはドギーマン!」なども彼女。

取材・文/高松孟晋