IMALUと放送作家・澤井直人

 テレビ、YouTube、CM業界などの放送作家として、数々のコンテンツを作り出してきた澤井直人(32)。今、ほかの誰よりも「人間」に興味がある平成生まれの彼が「今、話を聞きたい!」と思う有名人と対談する、好奇心と勢いだらけのインタビュー企画『令和にんげん対談』が始動! 

 記念すべき第1回のゲストは、澤井とプライベートでも交流があるというタレントのIMALU(32)。普段は聞けない結婚観や仕事に対する考え方、同年代ならではの悩みやご両親との距離感まで、オシャレ過ぎるIMALUの行きつけカフェで、澤井がとことん掘り下げながらも逆に掘り下げさられて……!?


澤井直人(以下、澤井)「IMALUさんと初めてお会いしたのって3年前くらいですよね?」

IMALU「私の30歳の誕生日を生配信するという『Abema TV』の番組でご一緒したのが最初ですよね。9月生まれなのでちょうど3年前くらい」

澤井「その後もプライベートで何回かご飯に行かせてもらったり、家探しのアドバイスを頂いたり…(笑)。ちなみに、こちらのカフェはどういう経緯で通われていたんですか?」

子どもの願望について

IMALU「地元が近いので、昔からちょこちょこ通わせてもらってるんです。小さいころから用賀には来てるんですけど“こんなオシャレなお店があるんだ!”と。コーヒーのティーバッグもあって、手土産にさせて頂くことも多いですね」

澤井「IMALUさんと連絡はとってましたけど、実際に会うのは結構お久しぶりですよね。私ごとですが、実は子どもも生まれまして…」

IMALU「あ、そうでしたよね! おめでとうございます。いい意味でコロナ禍に入ってから変わった人っていますよね。私の周りも、いつの間にか子どもが生まれていて。そうやって家庭を作る人もいれば、お酒に溺れる人もいましたけど…(笑)。今まで仲よく一緒に飲んでいたグループの人たちが、みんな方向性が変わってきたイメージです。澤井さんは幸せになったパターンですよね」

澤井「いや〜自分がまさか結婚して子どもまで授かるなんて、思ってもみなかったです」

IMALU「お酒の席では結婚の“け”の字もなかったですよね(笑)」

澤井「間違いないです。IMALUさんは、理想の結婚像ってあるんですか?」

IMALU「昔は“結婚っていいな”とか“こんな結婚式をやりたいな”とかは考えていたんですけど、今は形に問われてなくてもいいのかなって。逆に結婚した人に話を聞きたいかな。興味があるというか。結婚して何が変わりましたか?」

澤井「僕の場合は私生活がまるっきり変わりましたね。家事が何もできなかったんですけど、妻は完璧にできる人で。妻は妻で自分の足りていないところを僕が補っていると話してくれるので、相性がよかったんだと思います」

IMALU「へー! お互いを補い合っている関係でバランスがとれているのって最高ですね」

澤井「子どもがほしいっていう願望とかはあるんですか?」

IMALU「うーん、年齢的には(願望も)ありますよ。じゃあ今すぐ子どもがほしいっていうタイプではないですけど、年齢的に女性はリミットがありますし。5年後、10年後にいきなり子どもがほしいって思うかもしれませんしね。“意外と時間ないかも”と思い始めているところかな。でも仕事も好きだし、まだたくさん旅もしたいと思っています」

澤井「IMALUさんって新しい仕事に挑戦されている印象が強いです。例えば、ポッドキャストで配信されている『ハダカベヤ』ってどういった思いで始められたんですか?」

IMALUあの番組に関しては、それこそ30代になって、結婚や出産をリアルに考える年齢になって気づいたことがあったからなんです。女性は生理や出産を経験する生きものですが、そういったことに関する性教育をきちんと受けてなかったなと気づきまして。

 もし自分が出産するってなったときに“全然知識がない”と思って、女性の性の悩みなどを気軽に話せる場を作りたいなと思って始めたんですよ。毎週テーマを決めて、番組としてやってみようと。

 個人的に友達と企画して始めてみて。自分の勉強のためと、同じ立場の女性や、男性の意見も聞いてみたりして、悩みを共有し合えたり、みんなで価値観をアップデートしていければなと思っています

旅は「自分になかった価値観」を吸収できる

澤井「素敵ですね。コロナ禍を機にでも、この年齢になったからでもいいのですが、仕事への考え方って何か変化があったりしましたか?」

IMALU「コロナ前なんですけど、27歳くらいのときかな。仕事にすごく疲れちゃった時期があって。お休みを頂いて、1人でインドネシアへ旅行に行ったんです。そのときに、インプットする時間というか、心と身体を一旦休めて、旅行みたいな自分が好きなことをする時間も大事だなって感じて。

 それまでの20代前半では“休みがないほど仕事があることが幸せ”だと思っていました。でも、今ではコロナの影響もあってリモートでできる仕事も増えてきましたし、東京にいなくても仕事ができるようになってきましたよね。今は心のバランスをとりながら仕事をしていく、という意識をもっている感じです

澤井「いろいろと旅をされる中で、IMALUさんの中で具体的にどんな変化が生まれていったのでしょうか?」

対談中のIMALUと澤井直人

IMALU「視野が広がる感覚はすごくありますね。自分の居心地がいい場所って、毎日仕事をしていると自然にできていくじゃないですか。東京で仕事現場に行って仕事して…ということを繰り返していくと。

 でも、旅に出ると今とりあえず最低限の満足度を得られている場所から出られるというか。一旦出てみると、視野が広がって自分を客観視できますし、海外になると言語や文化やファッションがちがう。頭がクリアになる感じです。現実逃避の意味もあるけど(笑)。自分になかった価値観を吸収していくことが楽しいんです

澤井「なるほど〜。僕も2年前くらいに人間関係と仕事に疲れちゃった時期があって、気持ち的に似た感覚がありますね。このままテレビの仕事を増やし続けて、何を目指しているんだろう…って。20代は自分の考えた企画がより多く通ってテレビで放送されることが目標だったのが、それを達成していくとどこか、描いていた景色とはちがう景色で……。周りの作家さんと話すときも、IMALUさんがおっしゃっていたような話をよくしています!」

IMALU「企画を通すのがいちばんの目標だったのに、どうしてそういう気持ちになったんですか?」

澤井「“何のために企画を通すのか”っていう部分が大事だと気づいたからなんです。それこそ、これまでの仕事の中でいちばん印象に残っているのがIMALUさんのお誕生日企画でして」

IMALU「本当ですか! ありがとうございます、うれしいです」

「お休み」を有効活用するマインドに

澤井あの企画って、本当にIMALUさんのことをお祝いしたい人がたくさんいらっしゃったじゃないですか。あの空間って余計なことを考えず、全員が幸せだけに向かっているし、企画のための企画じゃなくて、ストーリーがある企画だったので意味があったと強く感じています。仕事の面では、ご両親(明石家さんま・大竹しのぶ)も同じ世界にいらっしゃいますが、相談したりはしないんですか?」

IMALU「全くないですね〜。会うことも年に1〜2回くらいですし。逆にコロナの時期はみんな仕事が減っていたので、いちばん会っていたかな。普段はなかなかスケジュールが合わなくて」

澤井「家族で一緒にいるときってどんな会話をされているんですか?」

IMALU「うちは基本的に父親が喋っている感じです。ほとんど芸能ゴシップの話ですね。絶対に墓場まで持っていかなきゃいけない話もあります(笑)。“マジでー!?”みたいな。私と兄がずっと父親の話を聞いている感じですかね」

澤井「IMALUさんとお兄さんだけがお客さん! 贅沢すぎる単独ライブですね!多忙な日々を過ごされてからコロナ禍に入って、ご自分の中で仕事ってどんな存在になっていますか?」

IMALU昔は頂いた仕事は“とりあえず進めよう”っていう感覚でしたが、今は“楽しそうだな”というのを基準にしている部分はあります。芸能の仕事って求められないとできませんし、できるだけやりたいっていう気持ちはあるんですけど“仕事の基準”っていう意味だと変わってきたと思います。

 昔はお休みの日があるだけで“休みがあるのやばい!”って思っていましたが、今は焦らなくなりました。“空いた時間をこう活用しよう”って頭を切り替えられるようになりましたね」

澤井「本当にそれは思います。僕も予定が空いてるだけで焦ってましたけど、今は休みを自分のためのインプットに有効活用しようって考えるようになりました」

父・明石家さんまなど家族との話も明かすIMALU

IMALU「今ってコロナの可能性があるから、体調悪かったら休まなきゃないけないですよね。でも、この仕事ってこれまでは熱があっても仕事するのが当たり前の世界で休むという選択肢はなかった気がする。

 コロナ禍になってから健康のために料理を始めましたね。外食すらできなかった時期があったので。パスタとかカレーとか。でも全然好きになれませんでした…。“外食のほうが美味しいじゃん”って(笑)健康という意味では運動されてますか? 以前よりだいぶ痩せたように見えるんですけど」

澤井「運動は全然してないんですけど、妻が痩せるメニューをずっと作ってくれまして…。コロナ禍で外食せず、その料理を食べ続けていたら3〜4か月で10キロくらい痩せました! おかげで、それまでは座らないと靴が履けなかったんですけど、今は立ちながら履けるように(笑)

IMALU「(爆笑)めちゃくちゃいいことじゃないですか! 奥さんの料理食べてみたいです〜」

澤井「ぜひ今度いらっしゃってください! コロナがまた感染拡大していますけど、落ち着いたらまた飲みにも行きたいですね」

IMALU「ぜひお願いします!」

澤井直人 
 テレビ、YouTube、広告などの放送作家として活動。2022年より対談作家の道へ。『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ(フジテレビ)』、『タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!(テレビ東京)』、『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの!?(日本テレビ)』、『高校生クイズ2022(日本テレビ)』 などを担当。

https://twitter.com/onaona525(Twitter)
https://www.instagram.com/gui_nao1990/(Instagram)


(取材・文 綾部和也) 撮影協力/『WOODBERRY COFFEE 用賀本店』